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『読書感想5』

「相似」  "Counterparts
[短編]
James Joyce (1882-1941)

この作品の主人公ファリントンは、(アイルランド人) 背の高い
巨大漢で法律事務所に勤めています。事務所では、仕事に身が入らなくて手抜きをし、前借りをする。そして、アルコール中毒で
一日に5回も事務所を抜け出して飲みに行く。
当然、経営者アリーン氏に冷遇されています。その日もアリーン氏から小言を言われ激情の圧は上がり、自分の生活のあらゆる屈辱に憤り、飛び出して滅茶苦茶に飲み騒ぎたいという欲望にかられ、
時計を質に入れ6シリングを得て
いつもの連中である同僚、飲み仲間と飲み歩き、ふざけ、おごり合い力技を競い合い憂さ晴らしをします。

ファリントンは、不機嫌に家路につきます。

事務所でへまをして、時計を質に入れ、その、お金も全部使ってしまいました。ポケツトにはもう
2ペンスしか残っていません。ファリントンは、力持ちとして評判で自慢でしたが、若い男に力技も敗れ、その評判もなくしました。
抑えがたい怒りと復讐心で息が詰まるほど胸がいっぱいでした。

ファリントンは、自宅に帰りま
す。

彼には、妻と5人の子供がいます。妻のエィダーは、教会に祈りに出かけています。エィダーは、酒を飲んでいない時の夫を決めつけ、又、酔っている時の夫にいじめられています。夜なのに5人の子供を家において教会に祈りに出かけているのです。救いを求めているのです。

ファリントンは、
暗い部屋に灯りをつけるように子供に命じます。子供は、食事の準備のため灯りを消してしまいす。ファリントンは、怒って「二度と灯りを消すような事をするな。」とステッキで子供を打ち下ろします。子供は、「お父さん、ぶたないで、僕、マリアさまにお祈りしてあげるから、お父さんの事をお祈りしてあげる。」と救いを求めます。


この作品のテーマは、「相似、にかよった者」二組の対比が描かれています。


ファリントンと上司の関係。
ファリントンと子供の関係です。


Key Word とし子供の最後の言葉
「I'll say Hail Mary for you」は、
解決策とし、神に祈る、神の加護に依存するしかない姿を描いています。

登場する作中の人物達の思考、印象は、痛く読者の内側に入ってきます。20世紀の時代は現在も生きています。
現在、未来の混沌の状況における一ページを視る思いがしました。

James Joyce は、内的独白と言う実験的な手法を用いて20世紀の斬新な作家です。
Joyceは、言葉の魔術師と評されています。

『ユリシーズ』『ダブリンの人々』『若き日の芸術家の肖像』等の作品を遺しています。

読んで頂きありがとうございました。ダブリンにて英文学、学習中に撮った写真を添付しました。


James Joyceの銅像
ダブリン市街風景
まさに、ダブリンの人々に
愛されるJoyce
James Joyce





















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