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『読書感想1』

『ダロウエイ夫人』


 Virginia woolf 1882-1941
           England
20世紀のモダニズム文学の主要なブルームズベリー、グループ

ウルフは、20世紀の初め
英文学の一つの流れを形成した作家として評価を受けます。

それは『ダロウエイ夫人』に用いられた新しい手法「意識の流れ」です。固定観念を打ち破ったこの手法には、始めて接する読者は戸惑う事でしょう。私も第一印象は難解で、親しみが持てない、はるか彼方にある作品と映りました。
しかし、何度か読み重ね手繰り寄せると徐々に作品が近づいて来るのが解りました。
 
まず一つ目は、繊細に計算された構成の魅力です。

二つ目は、人間の生と死に関する問題を、主要なテーマとし「時の流れ」を主軸におき、人間・人間の意識・人間の生と死・死に対する恐怖について描いています。

次に文章は、哲学的な難解な表現も無く、日常的な語り口で読者を引き込みます。
主要なテーマでもある人間の生と死に関しての捉え方は、宗教感、あるいは世界感等により違うかもしれません。また、年代等により違って来る可能性もあるでしょう。しかし、大方の人間が持つ、死に対する恐怖は共通するものと思われます。

ウルフは、この作品の中でクラリッサの分身としてのセプチィマスの中に、象徴的に生と死を写しているようです。シエルショックの犠牲者であるセプチィマスの狂気の世界を描き、セプチィマスの自殺に共感し、自身と同体化するクラリッサが死の恐怖を超越する姿を描いています。

クラリッサの分身としてのセプチィマス!

セプチィマスの死に集約され、深い意識を含んでいるのであろうその描写法は一番難解なところでした。

また、セプチィマスの狂気の世界は、迫力を帯びて、強く印象に残りました。

心の病を持つ作者ウルフに暫く興味を転じました。機会があれば関連の研究書を紐解いて見る事にしましょう。

この
未熟な感想文を読んで頂き有り難うございました。



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