ドクター甘味

趣味がいろいろあるので、分野も書き方も縛らず、気楽に書いていきたいです。

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押し入れ宇宙【詩】

あるいは友の印象世界 フ―ジンライジングサン 物産展沖ノ鳥島展 秘密基地の買取価格 林に挟まれる冷蔵庫 アスファルトで食あたり 地震で崩れた雪だるま 枕元で鳴く白鳥の剥製 墜落するネズミ型飛行機 サスケという女 遠き日のサンドイッチ 別府温泉で火傷するカバ 足元にあった彫刻刀 冬に結婚する血糖値 マグネシウム 液晶パネル バナナが咲くから土管に隠れる コップの持ち方教室出禁 銃口をしゃぶる蔦葉 恋慕の大会 電子辞書の有給消化 ジャキジャキ邪気邪気 交換日記 鈍感六句 事情を知

    • 【詩】ベタベタな青い夏

      いつ始まったのかわからない 僕らの青春熱中症 廊下から牛みたいなサックスの音色 教室でしっけた駒が盤を鳴らす 視聴覚室も軽音学部も 言葉の意味はわからずに 中庭でリズムに合わせて舞う蝶々 濡れた床をモップで拭いて バッシュを擦らす体育館 よそ見の先にバレー部の先輩 サッカー野球に陸上に すみ分けるグラウンド 混ざり合う掛け声 早々に塾へ行くも16時 買ったばかりのポロシャツも汗がしみ 帰りのコンビニで涼みながら みんなのアイスをおごるのは じゃんけんに勝った人

      • 映画『君たちはどう生きるか』をようやく観に行った【ほぼエッセイ】

        その日は東京に台風が直撃していて、洗濯機日和だった。 公開されてから1年以上観ることができていなかった『君たちはどう生きるか』の上映館を調べ、下高井戸に向かった。 高いが下にある井戸とは一体何か。 湿気と疑問が交錯する京王線に乗った。 慌ただしい乗り換え。新宿から高幡不動行きへ。 車内は空いている。誰もいない優先席に腰を下ろす。私はふと、いきものがかりの「さよなら青春」を思い出していた。 窓の向こうの雨の街並みにぼんやりと視線をやりながら、けだるい体を起こして映画館まで移動

        • 【詩】こくぬれ

          さくじつ日中東京に 黒雲の絶頂があった 冷たくて痛い 熱くて息苦しい 残酷で尊い雨粒は 気まぐれに情熱的に 淡白で冷酷に 泣き降りた 散々大地をうってから 雲は裂かれて太陽登る 帰りの空は橙色 長く伸びた縮れ雲 三郡に分かつ鰯雲 大キャンバスに鯨雲 茂に隠れるはプランクトン 早熟な鳩 大海を知らず

        押し入れ宇宙【詩】

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        記事

          【詩】ことばとコトバをあなたへ

          ありがとう ごめんなさい おはよう おやすみ きみといるときが好きだよ きみといすぎるときは嫌だよ そばかす可愛いね ニキビできてるよ お風呂沸いたよ プール凍っちゃうよ 頭の回転速いね オセロは下手だよね すごく泣いちゃった 気づいたら殴ってた このみそ汁美味しいね 大根の形いびつだね そのスカーフ似合ってるね トートバッグが大き過ぎるね おもしろそうな映画を借りようよ つまらなそうな惑星に棲もうよ ときどき抱きしめて ときどき突き放して いつも助けて

          【詩】ことばとコトバをあなたへ

          【詩】喜節は夏

          時代は今 炭酸とレモンが似合うさ 日本酒飲んだ冬を忘れるよ 祖母に教えてもらったレシピ ぶつ切りのナスを煮込んでいたら 思考は途切れ途切れになる ぶっ倒れる人もいるくらい暑いのに 外へ連れ出してくれる君がいて 差し引きしても余裕で幸せ さよならは言わなくて またねと笑顔で夏揺らす アパートの裏 背伸びする木々 若い葉っぱが静かにおしゃべり グラウンドの隅 干からびる日々 苦手なポカリが美味しくて フェンスの奥で笑うよ向日葵 横たわるアブラゼミ 小さい虫たち 命を分

          【詩】喜節は夏

          【詩】波打ち際メモリー

          ふふっと笑う 海際の丘に わたしたちの通った高校 現実的フィクション 青春がロケーション 久々に帰ってきたんだ 最寄り駅から 3分で学校 3歩で浜辺 容赦知らない太陽に 空からどよめき 海からざわめき 坂を登りながら 潮風になびかせたユニフォーム ワイシャツの襟は ぼろぼろになって 見せかけのメンタルは いつのまにか強くなって 不器用さだけは変わんなくて 愛嬌だけで助けられ わたしたちは結局のところ 互いの気持ちがわからなくて カバンもケータイも クラスメイ

          【詩】波打ち際メモリー

          【詩】夏恋の転職

          あの日はたしか急な雨で 季節感がぐちゃっとしてた 残り物を詰め込んだだけのおかゆを あなたは捨てられた子犬みたく美味しそうに食べた それがすべての始まりだった 床屋に行かないあなたの欠片が部屋に転がって それを拾って捨てるのはわたしの仕事だった 傘を持たないあなたのために駅まで向かう 後輩にご馳走してスッカスカの財布を見たら タバコの1つくらい買ってあげたくなった ものすごく嬉しそうにするからずるいよね 酔っぱらったあなたを玄関から持ち上げるのも 着替えさせるのもわた

          【詩】夏恋の転職

          『さよなら絵梨』のいる日常

          (前書き:読書感想エッセイを書こうと思っていたけど、どぉんどんフィクションになぁっちゃった。二次創作とも言える) 左を向くと、漆黒の少女がいた。 最初に『さよなら絵梨』を手に取ったとき、1ページしか読めなかった。 それはもう出かける時間だったからだ。 パラパラっとめくってから閉じた。 その一瞬で、コマ割りが全体的にほぼ統一されていることがわかる。『サザエさん』のコマ割りで描かれている。 もしかしたらスマホの画面を意識しているのかもしれない。 その人は、藤本タツキさんの作

          『さよなら絵梨』のいる日常

          【ショートショート】なぜ単語帳は1900に

          ある英語の教員は、生徒に恋愛相談をされていた。 わたしの知っている言葉でアダムズ君に想いを伝えきれるだろうか。 そんな不安に答えるために、高学年になると使う単語帳の収録語数を1400から1900にしたという。

          【ショートショート】なぜ単語帳は1900に

          【詩】まぶたの中で

          真っ暗で艶やかな草原 宝石を散りばめた天井を眺めて 天の川を探した 日中の暑さも 蚊に刺されたことも忘れて 大きなマメが二つある君の手を握って かに座を探した この時期には観られないってことぐらい私は知っていた 惜しみなく青春は瞬いて 六月の涙は 天の川に流れ込んで きっと彦星を遠ざけるんでしょう

          【詩】まぶたの中で

          詩ギャグ(2)

          記念日 ぐだぐだ 両足  くたくた 愛情  ぐらぐら 水族館 ちゅらちゅら

          詩ギャグ(2)

          詩ギャグ

          太陽は紅蓮 宇宙は無限 真理は不変 豆腐屋は暖簾

          【詩】歯科通いという家族

          アニキは銀歯 ナツコは乳歯 おじいはインプラント おねえは矯正 おかあは虫歯 おばあは残り5本 歯はいつも携帯しているのに 家族プランはないんですかね おじいの遺言は 「歯を大切にしろ…… 機種代が発生する前に……」

          【詩】歯科通いという家族

          【詩】今日も運ばれて

          点字ブロックよりも線路際にある ホームドアと床との隙間 光は車両に遮られる 見上げると舞い上がる前髪 充実した缶詰が減速していく 空腹の都会人にはちょうどよい

          【詩】今日も運ばれて

          (無題)【詩】

          優しくてじれったい 高架下に群れる鳩 君の心音にはっとする コンビニで買う傘の中 雨が私たちを隔てる 現実の異世界へ いつだって連れてってくれる 君はそんな人 ちょっと前までは 傘の中一人、鼻歌は少女 傘の中一人、デュエットは非処女 屋根を打つ水、無責任大喝采

          (無題)【詩】