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【不思議な話】幼稚園のお遊戯で異空間に連れて行かれた(?)

お時間ございましたら、私が幼稚園児のときの不思議な話をちょっと聞いていただきたい。

子供のときの記憶って、全然無い人もいるし、結構鮮明に覚えている人もいると思う。

私も全てではないが、幼稚園児の頃とか小学校低学年の頃のことを結構覚えている。

私は年中と年長と同じ幼稚園に2年通っていた。
ある日、幼稚園の狭い教室の中で保育士さんと一緒に、みんなで簡単なお遊戯をした。

歌や踊りといった類ではなく、簡単なお遊びである。

保育士さんの号令で、みんなで色々な世界に旅をする(した気分を味わう)という遊びである。

たとえば、保育士さんが「みんな~、ここは雲の上ですよ~。さあ、周りの雲は全部甘い甘~い綿菓子! みんなでお腹いっぱい雲の綿菓子を食べましょう!」みたいに言うと、園児たちはあたかも本当に雲の上に来たかのようにバクバク~ッと周りに溢れる綿菓子を食べる(マネをする)……というようなお遊戯である。

教室の外には出ず、すべて狭い教室の中であっち行ったり、こっち行ったり……色々な世界を旅して回る(気分を味わう)わけである。

「雲の上の世界」のほか、覚えているのが「みんな~、今度は大きな海にやってきましたよ~。浜辺にたくさんのワカメがあります! みんな頑張ってワカメを集めましょう!」というくだりである……。

想像の世界なのだから設定が無限にありそうにも思うが、その保育士さんがなぜ、園児相手に「ワカメ取り放題」の世界を旅程に盛り込んだのかは未だに謎である……。

そんなこんなで、いくつかの不思議な世界(ワカメの世界はそこまで不思議でもないが)を旅した(気分になった)後、最後にみんなで現実の世界に戻ることとなった。

保育士さんが園児たちに呼びかけた。

「みんな~、今日は雲の上の世界、広い海、○○の世界、○○の世界……たくさ~んの不思議な世界に遊びに行って、ちょっと疲れましたね~。では、そろそろみんなでお家に帰りましょう~!」

次の瞬間!

…………?!


……気が付くと、周りの園児たちはみな、教室の中央に行儀良く並んで座っていた。

……私1人だけ……なぜか教室の隅っこにポツンとうずくまっていた……。

ホントに一瞬、意識が飛んだような感覚で、ほかの皆が教室の真ん中にゾロゾロと戻って行った記憶もない……。

もっと言うと、自分が教室の隅っこという「奇妙な場所」に移動した記憶もない。

まるで私だけ時が止まり、その隙に全員が一斉に教室の真ん中にテレポーテーションし、私もテレポーテーション的に教室の隅に飛ばされたかのような感覚であった。

直後、保育士さんがニコニコしながら、「あら~、ハミング君~、どうしてそんなところにいるの~?」みたいに私を抱えて、他のみんなの中に連れ戻してくれたように記憶している……。

…………。

あの体験は、いったい何だったんだろう……。

それ以来、似たような経験が私の身に起こった記憶はない……。

保育士さんが繰り返す「次は○○の世界に行くよ~!」といった呼びかけにより、幼かった私は一種の催眠状態に陥ったのだろうか……。

それとも……私の魂は……あのお遊戯の間だけ……どこかの異空間に迷い込んでしまったのだろうか……。

(完)

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