【創作の中毒×中毒の創作32】

「待てよ」
 イキモノはすぐに追いついてきた。
 電動キックボードを使っている。
 例のシロヌリしたイキモノである

「キ●チガイ、キ●ガイ」
 イキモノは、キックボードに乗ったまま挑発してくる。
 驚いたことに、声はドクターの声だった。
 俺が殺したドクターは、例のシロヌリしたイキモノになって蘇ってきたらしい。

「キ●ガイとは何だ!」
 俺はイキモノに殴りかかった。
 これは、無意識のうちの行動だった。
 いくら奇怪な正体不明のイキモノでも「キ●ガイ」は許せなかった。

「パン」 
 シロヌリしたドクターは、キックボードを降りると、平手で拳を受け止めた。生前、武道でもしていたのか、たいして痛くもなさそうだ。

「ほら」
 イキモノ・ドクターがにやにやしている。

「ほら、とは何だ? ホラー小説」
「ほら、やっぱりキサマは、キ●ガイだ。こんなところで暴力を振るうのだから!」
 シロヌリしたゾンビは勝ち誇ったように言った。
 
 このマッドサイエンティストは、何を企んでいるのかわからない。
 もはや、生きてようがゾンビ化していようが、関係のないレベルに達しているようだ。

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