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がんのこと①

2018年に乳がんに罹患。
(ステージ1、硬がん、紡錘細胞がん、
トリプルネガティブ)

手術、抗がん剤を終えたら、トリプルネガティブというタイプはする事が無くなる。それは経過観察と言われるもので、完全に治った訳では無い。

そもそもがんに完治はあるのか。

100まで生きて再発転移していなければ、治っていたと言えるかもしれないが、その間不安は消えることは無い。

風邪が治るようにがんが治る時代はまだ来ていない。
1度がんにかかったら、体の不調は全部再発転移の不安につながる。定期検診の度に過呼吸なるほど緊張し、クリアの喜びもつかの間、また再発転移の不安に襲われる。

この気持ちはがんになったものでないとわからない。そして、がん患者どうしでもステージ、がんの部位やタイプによる違いから、気持ちがすれ違うことも多い。

経過観察はだいたい5年くらい。だが、乳がんの場合は稀に晩期再発もあるので、もっと長い。その期間を過ぎても100%安心出来る訳では無いのだ。


がんになると、みな何が原因だったのか犯人探しを始める。

食べ物?酒?運動不足?ストレス?

そして、治るかもしれないと思い、乳製品を断ったり肉を食べなかったり、人参ジュースを飲んだりする。
藁をもすがる思いから、怪しげな代替療法にはまるひともいる。そして、巷には、抗がん剤=猛毒、という情報が溢れかえっている。

私ももれなく、それにはまりかけた。
私を呼び戻してくれたのは何か。
それは、きちんとした証拠(エビデンス)のあるデータだ。

私は乳がんガイドラインを熟読し今後の治療について学んだ。似た症例を探して分からない言葉ばかりの論文やデータを一生懸命読んだ。全てを知った上で今出来る最前の治療がしたかった。

何が出来るのか、1番生きられる可能性の高い治療は何か。

納得いくまで主治医と話し合った。
「変なことしないから、信用して。」と言われたが、そういうことじゃない。私は知りもしないで治療に向かうのは嫌だった。どんな薬剤があって、自分にはどれがベストなのか、自分で納得して選びたかった。
知らなくて後で後悔だけはしたくなかった。

こう書くとすごく前向きな患者に思えるが実は違った。毎日怖くて泣いてばかりいた。眠剤がないと眠れず、起きたらがんであることを思い出して怯えていた。
何かにすがりたくて、必死だった。
何を食べてもがんが育ちそうで食べられなくなっていった。体重はみるみるおちていった。

暗い中でずっとネット検索をしている私を家族はどんな思いで見ていたのだろうか。
私は何も見えていなかった。



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