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塔二月号より好きな歌六首

こんにちは。

初めて、次の塔が届く前に今号を読み終えることが出来ました。
やったぁ~。
こんな分厚い結社誌を最後まで読めるようになるとは思いませんでした。

そこで、若葉集だけでなく、2月号全体から好きな歌を、絞って絞って書き出したいと思います。


感情をぶつけたあとにひらく傘 早弾きのポロネーズが聴きたい/山川仁帆

作品1 永田和弘選 54p

ポロネーズは、ショパンの「英雄ポロネーズ」だろう。
激情をばっとぶつけたあとに、早弾きのポロネーズが聴きたいという気持ちはとてもわかるように思うし、とても似合うと思う。個人的には「革命のエチュード」でもいい。…ちょっと劇的になりすぎるかな。やはりポロネーズの方が、感情のうねりを表現してくれそうだ。


幽霊を一人二人と絞め殺し呪ひを解いて君の歌読む/新谷休呆

作品1 小林信也選 65p

なんとも表現しづらいのですが、とても好きなお歌です。
「呪い」とかが好きなのかもしれません。
幽霊がどのような理由で何人もいるのかはわかりませんが、「君の歌」を読む前に平常なフラットな自分に戻っていようとする姿が、「君の歌」への尊敬を感じて、そこも好きです。


縋らずに生きてみたいとのびてゆくそんな蔓草あつてもいいと/澄田広枝

作品1 山下泉選 77p

なにかに縋らずに伸びてゆく蔓草があるとしたら、とても自由に虚空に蔓をのばして綺麗な模様を編んでみせるかもしれない。
わたしも、縋らずに生きてみたい、そんな思いがあるのかもしれない。


執着心捨てずにいるを良しとせむ馬場あき子氏は鬼を持てと言う/上田忠子

作品2 栗木京子選 90p

「鬼」とは「執着心」のことなのだろうか。
私の心にも、一匹の鬼がいます。
きっと、誰の心にもいるのでしょうね。
鬼、万歳!


しゃがみ込みたくなるやうなさみしさを知っていますか 歩くほかなく/古賀公子

作品2 山下洋選 117p

「知っていますか」の「い」は旧字です。ちょっと変換で出ませんでした。
知っています、知っています。
知っています。しゃがみこんで、います。いつか、もういちど歩き始めませう。


冥府より死者たちが言ふ冴え冴えとおまへはやさしい女だろうと/戸嶋博子

作品2 岡部史選 166p

怖いですね。冥府の人たちに誘われているようです。
お前はやさしい女だろう? 俺たちを見捨てないだろう?
こっちに来るだろう?
「冴え冴えと」という表現がとても好きです。


もっとたくさん、好きな歌はありましたし、同じ長野歌会の方たちの歌も何首も心に残るお歌があったのですが、今回はこの六首にしてみました。(長野歌会の方の歌については、別に書きたいと思っていたのですが、なにやら時間切れになりそうです)。
私は、暗い歌の方が惹かれるのかもしれません。

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