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塔一月号より好きな歌五首

塔1月号若葉集より、好きな歌五首について書きます・

まだ今は名前つけたりしないでよ生まれたばかりの感情だから 川上美須紀さん

若葉集186p

説明しずらいのですが、もう一読から持っていかれました。
なんて素敵な歌でしょう。
「生まれたばかりの感情だから」という下の句が特に好きです。
なんか、言葉が出てこないので、それほど好きです!と言うしかありません。読むたびにうっとりします。


こはくないやさしさもあるいつだって雨が触れればゆれるコスモス 藤田ゆき乃さん

若葉集190p

やさしさって、本来とても温かいものだと思うのですが、それを「こはくないやさしさもある」って、すごい発想だなって思います。私だったら、「こわいやさしさもある」って書いてしまいそう。
そして下の句への飛び方。こういう風に詠んでみたいなぁ、と思う一首でした。


くりかえす線と模様と色彩の渦にしずかに巻き込まれゆく 音羽凛さん

若葉集193p

一連の中にラリックの作品の歌が続くので、これもラリックの作品を見た時の歌だと思います。下の句が好きです。「渦にしずかに巻き込まれゆく」。
ラリックの作品が思い浮かぶようです。
この歌でラリックを見たくなったので、近く美術館に見に行く予定です。


駅降りる婦人の背中に母思う小さくなってく我が母思う 杉浦惠子さん

若葉集193p

上の句と下の句で繰り返される「母思う」が、とてもいいと思います。
きっと複雑な感情で母を思っているのでしょう。あんなに大きな存在だった母が老いとともに小さくなっていく。たぶん主体とお母さまは、住んでいる場所が遠いのだと思います。それゆえに会うたびに小さくなっていくお母さまを、切なく思い返している。
両親の老いを感じるのは、切ないです。その感情が伝わってくるお歌でした。


クレヨンの青と白のみ手に取りて雲のリズムで秋空を描く 小芝敬子さん

若葉集194p

「雲のリズム」に射貫かれました。
雲のリズム!
ゆったりと浮かぶ雲だろうか、風に流されすぅっと早く流れていく雲だろうか。なんにせよ、青く広い空に浮かぶ雲が思い浮かびます。
それにしても「雲のリズム」。なんて素敵な表現でしょう。ほうっというため息しか出てきません。


今回、なかなかこの文章が書けなかったのです。
それで二月号が届きそうになってしまって、慌てて書いているのですが、なんで書けなかったのかが、こうして書いてみてよくわかりました。
言葉に出来ないほど素敵な歌が多すぎたんですね。
「いいお歌だと思います」「大好きです」、それしか言うことが出来ないおお歌ばかりでした。
こんな短歌に出会えるのが、結社に入ってよかったって思うことです。

二月号も、楽しみです(^^)


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