里山歩きのススメ。Part12 〜白銀の「飯縄山」
白銀の「飯縄山」
夏にはトンボで溢れ返り、秋には紅葉が燃えていた飯縄山も、年が明けて久しぶりに登ってみると、雪は少なめながら、雪山初心者にはちょうどいい感じの「白銀の世界」に変わっていた。
※ 扉写真
飯縄山(いいづなやま)について
飯縄山は、長野市の北西部に位置し、飯綱大権現を祀る山岳信仰の霊山であり、飯綱忍者発祥の地ともされ、長野市民の山としても親しまれている。
標高は1917メートルで、生活圏からは少し離れているため、いわゆる「里山」の定義からは外れているかとは思うが、市民から親しまれ、小学校の学校登山の対象にもなっているので、多くの市民にとっては「一度は登ったことのある地元の山」という意味では立派な「里山」である。
ちなみに、2021年11月に長野県山岳総合センターがインターネットで投票を呼びかけた「信州の里山・総選挙(冬山編)」では、塩尻市の霧訪山(きりとうやま)に次いで堂々の2位にランクインした実績をもち、冬でも登りやすい「里山」として公式?認定されてもいる。
※「信州の里山・総選挙(冬山編)」について
アルプスの冬山に登るには、装備や経験が十分ではない、いわゆる「初心者」でも安心して登れる「里山」を募集したところ、238票の投票が寄せられ、飯縄山はそのうちの22票を獲得して、第1位の「霧訪山」(塩尻市・辰野町 得票29票)に次いで堂々の第2位となったというものである。
投票の対象となった山の条件は、①信州の山であること。②標高2000メートル程度以下であること。③冬に日帰り登山ができること。というものであったらしい。
(投票結果は下記から。)
https://www.sangakusogocenter.com/topics/docs/2021satoyama.pdf
※「妙高戸隠連山国立公園」について
この山域は、戸隠連山の最高峰「高妻山」のほか、頸城山塊の「妙高山」、「火打山」、「雨飾山」の日本百名山4座を含む一帯で、従来は上信越高原国立公園に含まれていたが、平成27年に「上信越高原国立公園」から分離・独立した国内で32番目の国立公園となる「妙高戸隠連山国立公園」に指定されて現在に至っている。
平日休みの山歩先選びの肝は「てんくら『A』」
前置きが長くなった。
新年明けて正月気分も落ち着いた1月11日(木曜日)のこと。
休日出勤の振替ということで平日休みとなった朝、自宅から飯縄山を見上げると少々薄曇りの状態で頂を見通すことはできなかったが、天気は晴れ予報。
行楽地の気象予報サイト「てんきとくらす」の情報を確認すると、飯縄山の登山指数は「A」(登山に適しています。)とあり、風も穏やかな予報だったことから、先日購入した安物のアイゼンの試しを兼ねて「雪山始め」として地元の「飯縄山」を目指すことにした。
四駆で出発
普段はFF(前輪駆動)のミニバンで山歩きに向かうところ、さすがに雪山へのアプローチとしては少々不安なので、日頃妻が使っている四駆の軽自動車を動員することとして、買い置きのカップ麺と速攻でにぎった小さな🍙を2個、ブルックスのコーヒー2袋を、常備しているバックパックに詰め込んで、午前8時頃自宅を出発。
登山口までは、40分くらいか。
スタートは「一ノ鳥居苑地」駐車場🅿️
一ノ鳥居苑地駐車場に車を止めて約1キロ先の登山口に向かう。
南登山道は飯綱神社の表参道で、登山口の前にも数台の駐車スペースがあるが、一ノ鳥居苑地駐車場には水洗トイレが設置され、冬場も使用できるので、ウォーミングアップを兼ねて、いつもこの場所からのスタートだ。
この日は平日のためか、登山者と見られる車は数台のみで、駐車場はガラガラだった。(シーズン中は平日でも満車になることが少なくない。)
まずは登山口を目指す
駐車場から登山口を目指してスタートする。
積雪は、ざっと40センチくらいか。
登山口までの道は先行者によって雪が踏み固められているため、とても歩きやすい。
※この週末以降、寒波が襲来し、積雪は倍以上になっていると思われるので、これからの山行を予定している皆さんは十分にご注意を!
林を抜けて別荘地内の舗装路を少し進んで登山口に至ると、3台ほどの車が止まり、5人くらいのパーティーが登山準備をしていた。
登山口でアイゼンを装着
ここで、先日購入した安物のアイゼンを装着していよいよ登山道に入る。
チェーンスパイクでも十分な積雪だったが、アイゼンの試しも目的のひとつだったので、ここはアイゼンを装着してみた。
慣れないアイゼンだったので、ゆっくりと、一歩一歩進む。
途中、少しずれたアイゼンを直したりしつつ、ゆっくり登ったので、夏場に比べて大分時間がかかったが、3時間弱で山頂に到着した。
山頂には絶景が待っていた
山頂付近の積雪は1メートル程度と思われるが、先行者が踏み固めたルートは歩きやすくなっている。
もっとも、ルートから外れて雪の中に入ると、ずっぽりと、膝上まで雪に埋まってしまうので、そうなると脱出が大変だ。
到着したタイミングで雲が晴れ、日差しが降り注ぐ天気となり、素晴らしい絶景が待っていた。
予報どおり、風がほとんどない状態だったので、360度のパノラマを満喫してから、雪の中でお湯を沸かし、持ってきたカップ麺と熱々のコーヒーで、のんびり、ゆっくりと景色を楽しむことができた。
いくつかの写真をアップしてみるが、写真では伝えきれない絶景である。
遠く富士山がうっすら望めたほか、北・南・中央アルプス、八ヶ岳、浅間山などがくっきりと望め、北を振り向けば、上越平野の先に日本海を見渡すことができた。
絶景に別れを告げて下山する
ひとしきり山頂での絶景を満喫したら、次は下山だ。
帰るのが惜しいような時間だったが、ずっといるわけにもいかないので、素晴らしい景色にお別れしよう。
下山時の事故が多いことは周知のとおりなので、下山もゆっくりと、登る時には見えなかった景色などを見ながら歩こう。
きょうも無事に下山できたことに感謝して帰路に着く。
またね。