わが命も常にあらぬか
【記録◆2024年4月18日】
都会を好まないため、用事がなかったら、街にさえ行きません。
大和盆地の北部にさえ行かない、ということです(車椅子ユーザーなので買い物にも出ません。家まで届けてもらうか、必要な物を自分で作るか)。
住処に居ないときには、『笠置山地』か『高見山地』か『紀伊山地』か『金剛山地』に居ます。
先週に行った『生駒山地』は北西なので、街を通る必要がありました。
(行ってみると、緑なす丘が多く、住むには良さそうな街でしたが。)
きょうは、街が視界を遮らない「南東の方角」へ向かいます。
奈良は、景観を保全するため「県内全域」で建物の高さに規制があって、街に居ても山は見えるけれど。
ひさびさに、左右の腕と脚を交互に前へ出せました。
「脳が人間の歩き方を思い出している」と想いつつ、二本杖で進みます。
街の舗装路を歩けなくなった脚にも山は、足を置いた所に地面を用意してくれるのです。
知っているうちでは、この道が最も楽。
これまでは、『御杖不動の瀧』までの山道が最も歩きやすかったけれど、そちらは急な所もあるので。
片側は、はるか下を『喜佐谷川』が流れています。
ふらついたら、斜面を転がり落ちていきそう。
細い道に沿って樹が並んでいるため、反対側に身を寄せていれば怖いとは感じません。
吉野の『高瀧』が見えました。橋を渡り、遊歩道を通って近づきます。
先週、「隕石の落下で砕けた岩」に埋められた渓谷を見て、「流れる水が長い時間をかけて景観を創り出すだけではないのかも」と考えました。
「たとえば、大きな滝壺を持つ滝は、遠い過去に隕石が創ったのでは」と。
「隕石で砕けて山の斜面に落下した岩が、豪雨のたび転がり落ちて、渓谷に集まったのではないか」と考えもしたのでした。
常にはどこまでも近づいていくのですが、鍼灸治療日の前日で、ほとんど右脚が利かなかったため、滝壺をのぞくのは控えました。
たいていの滝には「不動明王の像」があるので、摩滅した石碑もそうかとおもったのですが、ここは、「八代龍王」と刻まれているよう。
はっきりと判るのは「代」という文字。
『八大龍王』は人類(仏法を守る人間)の守護を申し出た八体(八種類)の龍であるそうですが、「八代龍王」は見誤りでしょうか。
帰宅後に調べると、『生駒山』にある『神感寺』にだけ、「八代龍王」が見つかりました。「全八大龍王」「高野山 八大龍王」「大峯山 八大龍王」と刻まれた石碑の写真に、「光明山 八代龍王」の文字が。
この記事の最初に書いたとおり、生駒山は北西で、ここは南東。
車と徒歩で2時間以上かかる場所です。
先週に生駒山の麓へ行ったのは偶然で、『神感寺』は知りませんでした。
こんなにも離れた「吉野」の山中になぜ、「八代龍王」が?
先週、『星田妙見宮』の空に「青龍」「白龍」「日輪と対になった黒龍」を視たように感じました。「八代龍王」を調べる過程で、それぞれの役割を知り、黒龍が陰陽のように見えた理由も分かったのです。
知識が少ないため、今後も感じるまま行き先を決めて、知っていくことが知恵となったときにその話を書きます。
3万本の桜に覆われる『吉野山』から流れ出た水が『象山 (きさやま)』麓を流れる所(喜佐谷)は、古来、『象(きさ)の小川』と呼ばれて歌にも詠まれています。以下は、2首とも作者は大伴旅人。
昔見し 象の小川を 今見れば いよよさやけく なりにけるかも
[昔に見た象の小川を、今見てみると、ますます清らかになってきた]
わが命も 常にあらぬか 昔見し 象の小川を 行きて見むため
[私の命も、いつまでもあってはくれないか……。昔に見た象の小川を見に行くために]
その傍らの『櫻木神社』に寄りました。
「神さま、撮らせてください」とお願いをしたときには知りませんでした。
大己貴命(オオナムチ)と少彦名命(スクナビコナ)が御祭神だとは。
これは出雲王家の職名で、正しくは、「大名持」と「少名彦」。
「オオナモチ」が王で、「スクナヒコ」が副王です。
主神となっている神社は、奈良では、他にひとつしか知りません。
『櫻木神社』に話を戻すと、神社創建の由来は、「古来から怖れられていた感染症の治癒の神さまが、象に乗って天から降りてきたこと」とあります。
ある記事に、「象である理由が調べても判らない」と書かれていました。
出雲の王族は「ほんとうの医療」を広めたので、治癒の神さまであるのは分かります。また、出雲神の一柱はゾウ神です。
「出雲を隠した歴史書」の編纂者は息子4人がその感染症で短期間のうちに命を落としていますので、かつて三輪山の大物主(少名彦だった事代主)に疫病退散を願ったように、ここでも出雲の王族が祀られたのでしょうか。
帰宅後、「八代龍王」と「八大龍王」について書かれている古い本を手に入れました。
知識が行動によって知恵となったら、そのことについても書きます。
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