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マジか、、、「ハウス・オブ・カード」総評

久々のアメドラ一気見だった。これは凄いよ、、まだ観てない人は本当に見た方が良い。とくに大統領選挙があった今年、年末のドラマ候補には是非とも良いと思う。政治もの、サスペンスものが好きな方に、強く推薦します。

前の投稿でも少し書いたが、ストーリーはそれほど難しいわけではなく、単純に言うと、ある夫婦の政治家が、大統領になるための過程をドラマチックに書いている。のだが、これが単純な構図にはなっておらず、結構な登場人物が出てきて、その登場人物それぞれにしっかりとスポットライトが当たっている。
とくに、首席補佐官も担当するダグの存在感。この人、マジで好き。私はずっとダグ推しでした。シーズン6はケビン・スペイシーがいなくなって少し寂しい気もしたが、それを補って余りあるほど。マイケル・ケリーさん演じるダグ・スタンパーは、私の中では主人公です。こういう生き方、憧れる。

ストーリーは単純。セットもそれほどお金がかかっている風でもなく、ホワイトハウスと、レストランと、バーとパーティしか出てこない。ずっとしゃべってる。それだけと言えばそれだけだが、その会話と会話をつなぐ設定の細かさ。「あいつさっき、こんなこと言ってたぞ!それはヤバいんちゃうか」と思ったが束の間、心配した通りの悪い状況になってしまう。
そう、あまり良い状況には変化しない。どんどん悪い方向に、悪い方向に行くのだ。だから、カタルシスなるものは少なく、ただ僅かながら、登場人物の精神的安定のようなものを垣間見たとき、それに満足を得るという感じ。なので、登場人物への感情移入ができてしまえば、最後までイッキ見できちゃうと思う。

(ここからネタバレあり)
いやあ、それにしても最後はヤバかった。終わってほしくなかったけれど、一応すべて回収してくれたので良しとしたい。最後は、そうだったのか、、、と一瞬呆然とした。クレア、大丈夫かな。でも、押すんだろうなぁ。破滅にやはり、向かっていくんだろうな。女って怖い。

女の怖さと書くと、フェミニストの方々に突っ込まれそうだ。しかしある意味、このドラマはその建前としてのフェミニズムの薄っぺらさに、かなり切り込んでいて、アメリカ人の考え方の片鱗を見た気がする。というのも、クレアが大統領になった後の破滅振りの描かれ方が一方的で、しかしそれを止められない。それは、昨今のダイバーシティやLGBTに対するアンチテーゼを示しているかのよう。女性だけの内閣、子供ができたことをも政治の道具に使うクレア、誰も信じず、女性でさえ信じない姿勢、幼馴染のシェパード妹のステレオタイプな女性らしさと、子供の件でそれをも攻撃する女の戦いなど。デビッド・フィンチャー

もちろん他にも見所は多く、とくに現実の大統領選挙でも話題になったようなアメリカ憲法上規定された再選挙の仕組みやなども、正確な理解がなくても楽しめるところもあった。結果それをうまく使ったことでフランク・アンダーウッド大統領は誕生してしまうのだが、それでまた終わらないのも凄い。ダグの負傷からのシーズン3から4にかけては、本当に面白かった。個人的にはハンマーシュミットさんの追求が強いスパイスになっていて、このスパイスがときどき、お腹を痛くさせる。そっとしておけない。悪いことをしてのし上がっているはずのアンダーウッド夫妻を擁護してしまうような気分にさせる巧さ。脚本が作り込まれているな、と感じる。レベルが高い。シーンやセットで魅せるのではなく、難易度の高い脚本を消化した、俳優の心理描写の力を感じる。

さすがデビッド・フィンチャー総指揮、といってしまえばそれまでだが、完成度の高さを感じさせながらも、観客を惹き込む力の強さ。音楽にも頼らず、セットにも頼らず、唯一、絵だけで勝負している。ダグの表情が脳裏に焼き付く。クレアの冷たさに凍りつく。フランクの言葉の暴力に圧倒される。

ケビン・スペイシーはMeTooで男性から訴えられたらしい。それがシーズン6降板の理由でもあるとか。残念。結果的には和解にいたっているようだが、ゲイであることは明言しているとのこと。劇中フランクのゲイシーンが見られるが、これまた、リアルとの関係でも見所だ。またいつか、後日見るときに楽しみたい。

いろいろ書いた。でも、この腹の中がスッキリしない感を終わった後も続くような、そんなドラマは初めてだ。カタルシスのないまま、ずっと永遠に続きそうな、破滅まで描いてくれないまま、想像の中で考えさせてしまう。


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