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小澤征爾音楽塾ラ・ボエームを観て聴いて

そうだ、京都へ行こう笑

という訳で、19日の日曜日は京都まで行って観劇。観劇に感激!といいたいところだが、相応の感動と満足感と、いささかの物足りなさを感じつつ帰宅。

小澤征爾音楽塾のラ・ボエーム。錚々たるソリスト陣を若いオーケストラが支える。演出も美術も一流、値段も一流。会場はほぼ満席。いや、4階席は空席もチラホラ。

純粋にオペラを楽しみたい、自分の生活の音楽の糧にしたい、という意味でチケットを買った。結果は満足!いい話はソコソコに、いささかの物足りなさについて、書くとする。

そもそも他でも何度も書いたが、オペラはあまり観ない。学生時代はキライだった(ブルジョワ反対!そう、ゴルフも環境破壊だとかいってキライだった)。今は、スキ。まず音楽が、歌が素晴らしい。やはり音楽としても舞台芸術としても、総合芸術の良さに触れてしまうと、なかなかその魅力から逃れられない。学生の頃観たオペラと、今観るオペラとの印象がこんなにも変わるとは。

ラ・ボエームは生で観るのは3回目。分かりやすいストーリーと、プッチーニの極上の音楽が語る超有名オペラ。そう、ウィーン国立歌劇場でも観たなぁ。なんかめっちゃムゼッタが大活躍して、ミミを食ってた記憶が。

ウィーンで観たほどの舞台を望んではいなかったし、そもそも若いオーケストラの育成が軸にあるプロジェクトなので期待はせずに向かった。音楽の話をする前に、京都珍道中について少し。

京都四条烏丸までは京阪で順調に到着。お昼時だったので、会場最寄駅に着いて食べるか、烏丸近辺で食べるか迷った。結局この辺で食ってから行こうと思い、周辺を散策。

点心の有名なお店があったが時間的にちょっと無理かなーと思い、そばと天ぷらのお店が美味しそうだったので、並んだ。ところが、店員さんの対応がすこぶる悪く、気分を害して一度座ったがスグに出た。あー腹立つ。お腹空いてたし。バイトかもしれんが対応悪過ぎるだろ。「おもてなし」はどこ行った?

詳細書かないが、この話を会社の後輩にしたら、「期待するから怒っちゃうんですよ」だって。たしかに。相応のサービス(とはいっても最低限のことだと思うかども)を期待する時点で負けていると。たしかに。お腹空いてたし。

ぷんぷん丸で会場に向かった。実はよく確認していなくて、開演2時間前まで、京都コンサートホールだと思っていた。もちろんしっかり、北山まで向かい、烏丸での失望を取り戻そうと、界隈で一番有名な洋食屋さんに並んだ。45人待ち。この時点でチケットを確認し、開演時間を確認し、40分ほどポケモンしながら待ったが、一向に順番が来ない。2時前になってさすがにお腹が空きすぎて、蕎麦屋に切り替えた。蕎麦屋、美味かった。蕎麦を食べ終わって2時30分、京都コンサートホールへ。

久しぶりに来た。京響以来かな。天気がよくて、ホールの周りが静かで、気持ちいい。さて、入口に向かう。なんかおかしい。もっとたくさん人がいてもいいのに。入口には別の演奏会の張り紙が。日付間違ったかな?とチケットを再確認。なんと!「ロームシアター京都」と書いてある。とんだ大ボケ。

タクシーで向かえばギリ間に合うか。公共交通機関の選択肢はナシ。GOでタクシーを呼んで、京都会館へ向かう。タクシーの運転手さん、GJ。めっちゃ早かった。かなり太ってらっしゃったけど、良い仕事してくれた。ありがとう。

小走りに会場入。最初は聴けないかなーと思いきや、ギリギリに間に合う。4階C席。良い席とは言えないが、間に合っただけ良しとしよう。さてさて、開幕!

オペラあるあるなのだが、設定としては若い人たちの純愛物語なのだが、ロドルフォはまあまあ大きい体格のオジサマで、不覚にものっけから感情移入に失敗した。いや、たぶんボラスさんは入りは調子悪かったに違いない。2幕辺りからとても甘い、若者のような声になっていったので、たぶんそうだ。もしくは、入場のバタバタで、私自身が入り込めなかっただけかも。

たぶんついでに、ラ・ボエームのミミは、難しい。病弱のはかない女を演じる難しさがあるのにもかかわらず、アリアも超難易度。ベッドに寝ながらとかよく歌えると思う。それでも、物足りなく感じてしまうのだから、オペラ歌手のいかに難しい仕事か。カバイエロさんははかなさはとても魅力的だったが、肝心のアリアが、もう一声。なんかウィーンでもそうだった気もしてきた。難しいのだろう。

良かったのは、男性陣。4幕の男性陣の重唱もそうだし、ショナール良かった〜クロフォードさん。マルチェッロも良かったし、ロドルフォも最初以降はキレッキレ。歌じゃないけど、最後の嘆きは、胸を打った。良い声で、良い嘆き。ブラボー!

美術には詳しくないが、ゼッフィレッリさんの弟子らしいニースさんの演出は、美しかった。2幕のワイガヤ感がとくに素晴らしく、ステージがとてもとても華やいだ。舞台美術だけを切り取ることが許されるならば、世界でどこにも引けを取らないステージだったのではないか。オーセンティックなペースの上で、立体感があり、世界観を余す所なく表出していた。美術には詳しくないからあんまり良いこといえない。

オーケストラはもちろんウィーンほどではないにせよ、健闘していたと思う。若々しく瑞々しい表現は心地良かったし、各ソロも美しかった。惜しむらくは弦のうねり。もう一声、弾き込んで欲しかったかな。マエストロのそういう作りなのかも。

そんなこんなで、休憩含め3時間を満喫し、帰路。日曜日の京都は人、人、人。鴨川の宵の口はなんとも言えない空間だった。湧いてくる人々を除いては。

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