会社(株式会社)設立の流れ

会社を設立するには、会社法に基づく一連の手続が必要です。特に、発起設立と呼ばれる方法では、設立のプロセスが比較的スムーズです。

発起人のみで設立時の株式を引き受ける必要があるものの、創立総会など煩雑な手続を要しないため、発起設立を選ぶ方が多い印象です。

この記事では、発起設立の場合に日本の会社法に従って必要となる手続きを項目に分けて説明します。


1. 事前計画

①会社の形態(株式会社、合同会社、合名会社)について決定頂きます。 
合同会社、合名会社は定款認証が不要となり、コスト面でメリットがあるものの、信用力などの観点から融資が通りにくいなどのデメリットもあります。
ここでは、「株式会社」の設立について、まとめさせて頂きます。
②会社の商号(会社名)について、サービス名と同一にする場合には、商標との関係で他社サービスと重複しないか慎重にご確認頂く必要があります。

2. 定款作成

会社の定款を作成します。定款は会社の内部ルールとして機能します。
法令に則った内容+社内ルールを定めるものと考えてください。
定款には会社の事業目的、会社住所、役員構成、出資金額などが含まれます。

定款の記載については、会社法はもちろんその他の法令や実務上留意すべき観点もあります。
弊所では、ヒアリングリストにて網羅的に留意点をカバーしています。

3. 定款認証

原始定款を公証役場にて認証してもらう必要があります。
定款については書面で作成・認証する場合には、実費として認証費用(約5万2000円)と収入印紙が必要となります(約4万円)。

なお、電子定款(PDF)で作成・電子認証することで、収入印紙の貼付が不要となります。
電子定款認証には、電子署名が必要となりますが、弊所では電子定款での認証に対応しておりますので、実費として約4万円が節約できます。

4. 出資金の振込

出資金を納付し、払込証明書を作成します。この証明書は銀行から取得する方法もありますが、設立時代表取締役が証明書として作成することが一般的です。
出資金は、最低1円ですが、今後の運営に必要となる金額を資本金とすることが一般的です。(運営資金を貸付けるなどで補填することは考えられます。)
なお、出資金を払込む口座は、原則として、発起人名義の口座である必要があります。

また、出資は金銭によるほか、現物出資(例えば、会社で必要となるソフトウェアや知的財産権など)が可能です。ただし、会社法に基づく検査役の調査という別の手続が必要とならないように、適切な対応をしないと手続が煩雑になります。

5.設立時取締役等の選任

出資の履行後、遅滞なく、設立時取締役等を選任する必要があります。一般的には、定款にて取締役等を記載することにより、選任手続の代わりとすることが多いです。
なお、設立時取締役等は、設立後にそのまま取締役等となります。したがって、会社の経営を担う方を設立時取締役とする必要があります。
(ただし、外国人が取締役等となる場合には、登記必要書類との関係で事前の準備が必要となります。)

6.設立時取締役等による調査

設立時取締役等は、その選任後遅滞なく、一定の事項を調査する必要があります。
調査事項は、出資の履行が完了していること、設立の手続が法令又は定款に違反していないこと等となります。

7. 会社代表印の作成

法務局への届出のため、会社代表印を作成します。電子証明書を作成することで印鑑の届出が不要となりましたが、電子証明書の作成に費用がかかることや、登記手続等の際に各種書面に電子署名が必要となるため、従前どおり会社代表印を作成するほうが良いと考えます。

8. 登記申請

登記申請を行うために、法務局に必要書類を提出します。登記手続きには登記免許税(資本金の額×7/1000、最低15万円)がかかります。
登記申請が受理されると、会社が法的に成立します。登記申請以降に、契約手続などを進める形が一般的です。

9. 税務手続

国税および地方税のため、法人設立の日以後2か月以内に、税務署に届出を行う必要があります。
この点は、実態に合わせて各種届出が必要となります。
(国税庁:https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/07_3.htm

10. 労働保険・社会保険の手続


雇用する従業員がいる場合、労働保険および社会保険の手続を行う必要があります。
(厚生労働省:https://www.mhlw.go.jp/www2/topics/seido/daijin/hoken/980916_2.htm
(日本年金機構:https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/todokesho/jigyosho/20141205.html

■実費について

実費として、定款認証、会社代表印、登記申請にかかる登録免許税が必要となります。(資本金とする出資金も別途必要となります。)
設計や内容によって変動はしますが、実費として約22万〜26万円ほどが最低でも必要となります。

■弊所での対応

各種書類の作成・代行、各種物品の準備が可能です。

なお、「8.登記申請」については、提携している司法書士・弁護士がおりますので、申請の代理は紹介する提携先が対応させて頂きます。
また、「9.税務手続」は税理士が、「10. 労働保険・社会保険」は社会保険労務士がそれぞれ対応する領域ですので、別途対応や提携先の紹介の可否についてご相談ください。

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