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本は読破にこだわらなくていい。「読むのをやめた理由」も立派な読書感想。

近況

診断士試験関連の活動が若干落ち着いてきたので、この頃は本を読んだり畑に行ったりする時間も徐々に増やせてきました。

診断士受験生の支援活動はいい文化ですが、あんまり合格者側から絡みに行くと受験生も疲れるだろうと思っているので、twitterでは受験色はなるべく出さず、家庭菜園や生き物関係の呟きをメインとして差別化しとります。箸休め的に見てもらえたら嬉しいです。

畑作業しながらの文学ラジオっていいもんですね

カプサイシン含量高めのトウガラシ

無農薬にはこだわっていないので、土地の境界とか通路とかには除草剤を撒いています。それでもスギナなどの強靭な種類は生き残りますし、除草剤を撒いていない畝周辺はあっという間にグリーンインフェルノと化します。

容赦なく生い茂る雑草と戦うため、貴重な休日に鎌を携えて畑に繰り出すわけですが、作業中の楽しみがないとモチベーションが続きません。そこで私もようやく文明の利器を学びまして、Spotifyで配信されているラジオ番組をかけっぱなしにして時折耳を傾けながら作業しています。

聴いているのは主に、文学ラジオ空飛び猫たち
「硬派な文学を楽しもう!」をコンセプトに、ダイチさんとミエさんの対談形式で文学作品(海外文学多め)を紹介してゆく内容です。

緩い雰囲気と、スピーカーのお二人のトークに惹き込まれ、気がつくと2〜3時間延々と草を刈っていた、ということも(熱中症予防のため、帽子をかぶって飲み水を常に足元に用意してあります)。

ひとつの作品を様々な視点から鑑賞するダイチさん・ミエさんの想像力、言語化能力、書物愛に触発され、Kindle本の購買意欲が刺激されまくっています。「ザリガニの鳴くところ」「虐殺器官」などは、このラジオをきっかけに読み始めました。

読書は自分の状態のモニタリング

畑で育つケール

同じ作品でも、読む時期によって感想が変わったり、子供の頃は理解できなかった話が大人になってから読むと腑に落ちた、という経験をすることがあります。

たとえば宮澤賢治作品は、小学生の頃は純粋に童話として楽しんだり、鉱物の名前が色々出てきて面白い!くらいだったのが、中学高校くらいになると一種の思想書みたいな読み方になり、大人になって読むと「グスコーブドリの伝記」のようなSF的な楽しみができる作品が多いことに気付かされる。

本ではなく映画ですが、「火垂るの墓」も見るタイミングによって感想が大きく変わる物語の典型で、清太と節子がただただ可哀想に思える時もあれば、清太のコミュ障っぷりが歯痒くなり、おばさんに同情する時もある。

これらの感想の変化は、自分自身の考え方の変化や成長(あるいは老化)を反映しているのかもしれません。どの登場人物に最も共感できるか、著者の主張が腹落ちするか等、本を鏡として自分自身の状態をモニタリングするのが読書の醍醐味だなと、この歳にしてわかってきた気がします。

読破にこだわらなくていい

自分自身の状態をモニタリングすることが読書の効用なのであれば、別に読破にこだわる必要もないし、むしろ「読破しなかった」という事実をもとに自分自身の状態を推測できる良い経験なのかもしれません。

たとえば主人公の生き方や言動に全く共感できないので読むのをやめたのであれば、その理由を感想文として残しておけば、数年後にその感想文と同作品を読み返したとき、自分自身の変化に気づけるでしょう。

私もスティーブンソンの「さらわれて」を小学生の時に読みかけて、海外文学を訳した本にありがちな冗長な文や、イメージしにくいイギリスの地名・文化に馴染めず挫折して忘れかけていました。最近何かのきっかけで思い出して読んでみると、普通にサスペンスものとして楽しめたわけですが、小学生の頃より読書経験を積んで長文に強くなっていたことと、イギリスの地名や歴史などわからないことをすぐスマホで調べる習慣がついたことにより、登場人物への共感力が増したのだろうと推測しています。

8月下旬ということで学校の読書感想文に大苦戦している方々もおられるかもしれませんが、本当は読書感想文だって読破せずに書いてもいいんじゃないかと個人的には思っています。

途中で読むのを投げ出した場合、なぜ読むのをやめたのかを分析して、自分の言葉で言語化し、文章に落とし込めれば、それはそれで自分の今の状態のモニタリングであり、立派な読書感想文です。

感想文コンテストに入賞できないとか、読破しないと先生や親に怒られるとかは、読書の本質ではないし、そういうのを気にしない図太さも生きてく上で必要かもしれません。読書は一生続けられる素晴らしい営みなので、あまりノルマっぽくせず楽しみたいです。

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