“シャドームーン”という存在

（ ー_ー）
　今回は先月記事の派生になるのかな？
　かなり前の話になるけど、ある掲示板で特撮スレッドのタイトルに歴代仮面ライダーを明記していた。しかし1号から栄光の7人ライダーを消化してZX に至り、ある疑問が浮上する。

「シャドームーンはどうする？」

　シャドームーンをタイトルに明記する、即ちシャドームーンを仮面ライダーに含めるべきか否か？
　当時放送中のライダーは平成1期、たぶん（記憶に自信ないけど）555の頃だったと思う。故にシザースや王蛇など悪の仮面ライダーが公式に存在していたので、それならシャドームーンを仮面ライダーに含めても構わないだろうという話の流れだった。

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　敵キャラとしての仮面ライダーが浸透している今なら違っていたかもしれないが、その時は議論が絶えず平行線を辿っていた。
　シャドームーンを仮面ライダーに含めるのに賛成派は「そもそもシャドームーンはブラックサン（＝仮面ライダーBLACK ）と対になる存在」「王蛇が仮面ライダーなのにシャドームーンはダメだというのは納得できない」と、シャドームーンを“悪の仮面ライダー”の先駆者と見ている傾向があった。
　一方でタイトルへ明記するのに反対派は「公式はシャドームーンを“悪の改造人間”としている」「電波人間タックルを含めなかったのだからシャドームーンも同様に扱うべきだ」と、シャドームーンを仮面ライダーに含めるのならショッカーライダーやタックルも該当するので（彼等が遡ってタイトル入りすることは出来ないから）シャドームーンだけ特別視するべきではないという傾向だった。
　結論から言うと特撮好き同士の議論は平行線のまま仮面ライダーBLACK RXがタイトルのスレッドも終わりが近付き、スレ建ての番号を踏んだ人の判断に委ねられている。

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　なぜ冒頭で“先月記事の派生”と述べたのか？だが、先月の『エンデ中尉の“ガンダム”』に載せた“ガンダム観”以上に、各々の“仮面ライダー観”の線引き（というか判断基準）を共有するのが難しい側面があると感じたのが要因である。
　言うまでもなくシャドームーンは仮面ライダーBLACKに勝るとも劣らない魅力に溢れるキャラクターだ。それは続編のRXに登場しただけではなく、後の劇場版やゲームなど様々な仮面ライダー作品に登場している事が何よりの証拠だろう。
　それでもシャドームーンは公式から明確に仮面ライダーと認められているか？と問われれば、個人的にはアナザーアギトのように番外扱いされているように思う。
（リブート版の『仮面ライダーBLACK SUN』だと秋月信彦は「仮面ライダーSHADOW MOON」だが、シャドームーンとSHADOW MOONを同一存在と見做すのは心情的に難しい）
　漫画版の仮面ライダーBlackでも“ブラックサン”や“シャドームーン”ではなく“光太郎”や“信彦”と呼んでいる。作品内で光太郎が仮面ライダーを名乗る場面はあるのだが、先輩からバトルホッパー似のバイクを受け取った回くらいの筈だ。
　またTV版の仮面ライダーでもショッカーライダーが登場した回では本郷と怪人との間で「仮面ライダーの名を汚す」という感じのやり取りがあった気がする。この時点で仮面ライダーの名はヒーローの象徴だから、ショッカーライダーは“悪の仮面ライダー”ではなく“悪の改造人間”という訳だ。
　それはシャドームーンだけでなく後の『真・仮面ライダー』でも、風祭 真と同型の改造人間でありながら仮面ライダーではなく“改造人間レベル3”でしかない鬼塚博士も同様だと推測できる。

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　昭和ライダーと平成ライダーの違いは改造人間であるか否かなど様々あるが、最も大きな違いは原作者の石ノ森章太郎氏が存命だったか否かだと思う。
　これは私の妄想に過ぎないが企画段階からTV放送に至るまで紆余曲折あったり、サイボーグ009では当時のベトナム戦争をテーマにして「正義とは何だ？」を問い掛けていた石ノ森氏にとって仮面ライダーは正義のヒーローの称号であり、悪の仮面ライダー”という考えが無かったのかもしれない（とはいえ仮面ライダー漫画版には「13人の仮面ライダー」というエピソードもあるのだが）。
　その答えを知りたくても既に石ノ森氏は旅立たれているので問うことが出来ないのは非常に残念である。