10月読書報告

急に寒くなったりした10月、突然朝型になろうと早起きに挑戦したり、ワクチン2回目を接種したり、風邪をひいたりと盛りだくさんな1ヶ月でした。あ、あと娘のハロウィン衣装を作ったりもしたな。今年は初めて娘がハロウィンというイベントがあると自覚したらしく、めちゃくちゃにやる気に満ち溢れていたので、その気持ち、しかと受け取った!! と母ちゃんは頑張った次第。通っている英語教室のハロウィンレッスンには当然着ていくとして、保育園にもひとりばっちりキメて登園、今日はハロウィン当日ということで選挙にもフル装備で行ってきました。5歳なので、いく先々であらゆる人々に「可愛い〜!!!」と褒められ、作った甲斐ありました〜

さて、そんな10月の読書ですが、全部で5冊。体調崩した時もあったし、背伸び読書が多かったこともあり少なめです。読むスピードがまだまだ遅いんだなあ。

Good Girl, Bad Girl (Cyrus Haven, #1 )

どうしよう、めちゃくちゃ面白いシリーズを発見してしまいました。

臨床心理士のCyrasが知人のケースワーカーに相談されて、保護施設で出会った少女Evie。攻撃的で反抗的な彼女は凄惨な事件の被害者であり、ある特殊な能力を持っています。Cyrasもまた、子供時代に悲惨な事件に巻き込まれ、心の傷を抱えたまま大人になっており、Evieのことを気に掛けるようになります。そんな折、将来のオリンピック選手と目されていたフィギュアスケーターの少女が遺体で発見され、Cyrasは事件の捜査にかかわるようになり…

CyrasとEvieの関係と殺人事件捜査、2軸で話が進んでいきます。後半になるまで事件の捜査が遅々として進展しないのですが、その分CyrasとEvieがゆっくりと関係性を築いていき、そのパートがものすごく良くて全然中だるみ感はありません。とにかく、この2人のキャラクターが良い!

一見過去を乗り越えたように見えるものの、時折暴れ出す罪悪感や葛藤を必死になだめて生きているCyrasと、過去の恐怖と苦しみが今も続き、自分と人を傷つけながらしか生きられないEvie。Evieは、どこかミレニアムシリーズのリスベットを彷彿とさせるのですが、もっと若く未熟で繊細。その剥き出しの激情を理解しようと歩み寄るCyrasの優しさが素晴らしい。Evieがティーンということもあってか、慎重に距離感を保ち続けるのも良きです。

また、こちらの作品はものすごく読みやすくて、それもまた夢中になった一因。単語は難しいところも多いのですが、文章がとても素直でわかりやすい。大人向けの推理ものでたまにある、ディテールで伏線を匂わす、みたいなことがなく、ちゃんと逐一説明してくれる親切設計。今の私の実力だと、読める大人向けの本ってすごく貴重なので、まさに出逢いに感謝! の1冊です。

個人的に大好きなのが、CyrasとEvieが好きな映画の話をしていて、Cyrasが「ショーシャンクの空に」と言ってEvieがそれは嫌いだと言い、自分の好きな映画は「トゥルー・ロマンス」と答えるエピソード。Evieがタランティーノを知らないという点も含めて、ふたりのキャラクターを表しているなあと。このように、登場人物の人となりを示す細かいディテールも満載で、それが作品をよりビビッドにしているのも好み。

ただ、ラストはちょっと意外過ぎたのと、事件に関わった何人かのその後がめっちゃ気になるので、何らかの方法で先が知りたいと思うんですが…goodreadsで作者本人にリクエストするしかないかな…

邦訳も出ていて、こちらも評価は上々のようです。

What Was the Berlin Wall?

Good Girl, Bad Girlの続編を読みたいと思いつつ、あの手の本は頭が爆発しそうになるのでちょっと小休止。Who Wasシリーズも良いけど、What Wasシリーズもまた良きです。

ベルリンの壁崩壊、めっちゃニュースになったのはリアルタイムで覚えてるんですが、なにぶん子供だったのでその背景は今もはっきり知らない…ということでこちら。戦敗国で占領からの米ソ代理戦争の地、とほんとこの時代の国々は他国のとばっちりが半端ない…。日本みたいに負けて占領されたもののまた復興して独立して(安保条約とかあるけど)経済的にも自立して…ってめっちゃラッキーだったのでは? と思ってしまう。

なんてことを考える上でも、子供向けでもこの手の本を読むって有意義だなあと思うのです。

ベルリンの壁で思い出しのがこちらの映画。面白いよ!

When She Was Good (Cyrus Haven 2)

Good Girl, Bad Girlの続編です。前作が謎を残したまま終わり、うわーーーーーーー!!!読みたい!!!! と、居ても立っても居られなくなり読み始めました。

前作を引き継いで始まるので、最初からストーリーがびゅんびゅん進みます。今回は、Evieの過去に迫りつつ、元刑事の不審死捜査。その元刑事の死とEvieの過去がどうも関連ありそうだぞ…? ということで、前作とは違い、2軸がしっかりと交差します。また、Cyrasの過去についてもさらに細かく描かれ、それがまた…これは完全に私個人の嗜好なんですが、なんともCyrasがセクシーに見えてくるわけですよ! 物腰柔らかで穏やか、そんなに目立つ雰囲気でもない男性が、実は大きな悲しみと共に生きていて、激情を宥めるためにバキバキに身体を鍛えたり見えないところにタトゥーを入れてたりするとか、どこのセクシー番長かと(前作でEvieによるなかなかグッドルッキングであるという記述もあり)。ライアン・ゴズリングで映画化してくれ!!(完全に個人の嗜好)

ふたりの過去に大きく踏み込んだストーリーなので、心痛む描写が多いです。特にEvieは現在進行形で苦しんでいることもあり、その部分は心が痛みます。私はフィクションだしスリラー小説だし割り切って読めるから良いけど、子供が虐待されたり搾取される内容が苦手な人は無理かもなーと思ったり。でも、変にオブラートに包んでいないからこそ面白みが増しているのも事実。あとやっぱり、ふたりの関係性がとても良いのです。Cyrasが徐々にEvieの安全基地になっていく様子や、保護犬を迎えることで傷を癒そうとするところとか。

話がかなり大きくなるので、どう収拾つけるのか全く予想がつかなかったのだけど、こう終わるのか! と。そして、どうもまた次作に続くようなんですね〜。goodreadsの作者本人コメントによると、次は2022年に刊行予定とのこと。読まなくては…

ところで、ふと気になったんですけど、Cyrasっていつ働いてるの…? あれこれ個人行動しないで働かないと食っていけないのでは…? あと、いたはずの遠恋の恋人とは別れたんでしょうか…いつの間に…?

なお、ライアン・ゴズリングで映画化!と言ったのは、こちらの映画の影響です。これも良い映画ですよ…でもCyrasはもっと神経質そうな顔立ちの方が合うかもなあ。

What Was Pompeii?

がっつりスリラーを楽しんだので、箸休めにWho Was。

ポンペイは昔からけっこう好きで、これ以外の子供向けシリーズも読んだことがあります。火山の噴火で一瞬にして街が灰の下に埋もれて、地下にその姿を残したままずっと発見されなかったとか、めっちゃロマンじゃん!!

こちらの本は、どうやってポンペイが歴史から姿を消したのかという理由はもちろん、ありし日のポンペイの文化や人々の暮らしぶりなども紹介しています。キッチンがある家はごくわずかで、ほとんどの人たちは日々の食べ物(パンとかお惣菜)を購入してたとか、女性は政治参加をできない代わりに、支持している男性を応援することで自分の意見を政治に反映したとか、めっちゃ面白かったです。

ポンペイ、人気の観光地だけど、近年は遺跡が傷んで危険とのことで立入禁止区域がかなり多いそうな。寄付を募ったり色々やってるみたいだけど、老朽化(って言ってもそもそも2000年近く前のものですが)は避けられないだろうから、いつか行ってみたいと思いつつも叶わないかもしれないなあ。

Kira-Kira

1960年代、アメリカジョージア州に住む日系移民の物語。おそらく日系3世の少女Katieの目を通して家族や周囲の暮らしが描かれます。

Kira-Kiraとは、日本語の擬態語”きらきら”のことで、Katieの姉Lynnが教えてくれた言葉。当時の日系人に対するあからさまな人種差別、職業差別により非常に貧しい暮らしをしているのですが(両親は常に働きづめだし!)、Katieの語り口は常に生き生きと爽やか。ストーリーは次第に悲しい方向に進むのですが、Katieは変に物分かりが良かったり賢かったりすることなく、ずっと変わらず天真爛漫な子供で、それがこの物語の救いだな、と感じます。普通の子供が貧困や悲しい出来事の中から色々なことを感じて学び、その時の気持ちの移ろいを心の奥底にストックし、自身の一部にしていくんですね。

決してハッピーな話ではないけれど、良いことも悪いことも、すべてキラキラと輝いていて瑞々しく、なぜか郷愁をかきたてられる、そんな小説です。

これがねー、子供向けなんですよね。だから難易度は高くないです。でも、こんな作品が児童書なんだなあ。あなどりがたし。

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大人向けの本に手を出したこともあり、なかなかハードな10月読書でしたが、久しぶりにどこに行くにも本と一緒、もちろんトイレもな! みたいな状況になり、この熱中こそ読書の醍醐味よのう…。この年になると日々のタスクが多いせいか没頭が難しいこともあるので、何もかも投げ打ってもこの本を読みたいぜ! となるのは幸せの証です。

しかし、読書も体力勝負みたいなところがあって、目が疲れた、腕が痛い、頭が重い等々フィジカル難により読めない時もちょいちょいあります。にっくき加齢。もしこれを読んでる若者がいるならば、読書ですら若者の方が有利なので、スマホでネットニュースを読むだけでなく、ぜひ興味がある本を片っ端から読んでほしいと思う老害です。

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