9月読書報告
インプット強化ブーム、続いてます。9月は全部で8冊。8月に比べたら控えめですが、娘の保育園登園自粛期間があったり、夏休みがあったり、イレギュラーなことが多かったわりには頑張れたかと。
Sunnyside Plaza
主人公のSallyは知的障害者のグループホームSunnyside plazaに住んでいます。字は読めないけれど、たくさんのことを知っているSally。仲間たちや職員たちと助け合い、仲良く穏やかに暮らしています。そんな折、住人の一人が亡くなります。年配の住人も多いホームなので、突然の死も病気による自然なものだと思いきや、刑事がやってきて調査のため、職員やSallyに聞き込みを始めるのでした。
前知識ゼロで、Sunnyside Plazaがどんな場所なのかはもちろん、Sallyに障害があることも全く知らずに読み始めました。ミステリーになっていますが、終始人の優しさや温かさが描かれた良き話です。出てくる人のほとんどが良い人で、Sallyや住人たちも皆ポジティブで天真爛漫。知的障害者が主人公とかミステリーとか、ついついものすごい意地悪な出来事が起きたらどうしよう、こんな良い人たち、絶対に傷ついて欲しくないよー! とハラハラしたのですが、私の予想を裏切って終始優しさに包まれていて、読んだ後ホッとしました。
児童書にしては難しい内容に感じましたが、児童書らしく読みやすくシンプルな文章でした。Sallyの特性から、数や位置関係の文章(5個の缶詰が戸棚の3段目にある、みたいな)が多いです。
Who Is Bill Gates?
存命の方はちゃんとWho Isを使うWho Wasシリーズ。こんな超有名人ですが、実は生い立ちについてほぼ何も知らなかったので面白かったです。が、子供向けなので当然なんですが、良くも悪くもキレイにまとまっているのでちょっと物足りない時があるのも事実。もっとスキャンダラスな何かはないもんかね〜とか思っちゃう。さすがに離婚のところまでは描かれてなかったです。
The Notebook
言わずと知れた名作。映画「君に読む物語」の原作でもあります。数年前に映画をみておいおい泣いて、かつ構成にあっとびっくりしたので、原作もそういう流れになってるのかなーと思ったら、施設での様子にかなり早めにシフトして、かつそこにかなり重きを置いている内容で、違う作品のように楽しめました。
ロマンスが読みたいぜ! とこの作品を選んだくせに、恋愛ものを読むのが久々すぎてそういうシーンは刺激が強かったです。。若い二人が燃え上がる場面においてはまどろっこしくて、YOU、何を躊躇ってるんだYO!! とやきもきしてしまいましたが。ロマンチックであり、大人要素あり、良い具合に背徳感あり、と非常に良かったです。ロマンス欲満たされた!
が、結末がちょっと唐突に感じてしまい、これが私の力不足なのか、実際に突然終わったのかがちょっとわからない。
私は天邪鬼なので、こういう本を読むと、去られてしまった側のその後が気になってしまうんですが、一体どんな人生を歩んだんだろう。
一般書ですが、かなり文章は読みやすい! ひねった比喩表現や難しい言い回しも少なく、私のように児童書を読みつつ、一般書も読みたくなる人に良さげな難易度です。
映画もとても良いので、予習してから読んでも良いと思います。
Who Was Marie Antoinette?
みなさんご存知マリーアントワネット! わりと知っていることが多かったので、ストーリーにそこまで目新しさはなかったんですが、嫁入り準備の一環として(当時の貴族皇族間の結婚は、家や国家の関係強化のため)マリーアントワネットは歯の矯正をしたそうで、この時代から歯列矯正があったということに驚き。
ちなみに私は数年前に歯列矯正をしましたが、歯並び良いと良いですね。見た目はもちろん、歯が磨きやすいのが素晴らしい!
マリーアントワネットと言えば、この映画でしょうか。
そして忘れてはいけないのがベルばら。英語版も出てるので欲しいんだけど愛蔵版なので高いんだよねえ…
Holes
多読界の大定番! 最強についてない理由で逮捕され、矯正施設Camp Green Lake入れられたStanley。そこでは少年たちがくる日もくる日も穴を掘らされています。しかし、どうやら少年たちに穴を掘らせるのは、何か目的があるようで…? というミステリー仕立ての児童書です。
実はだいぶ前にHolesは読んで、最後まで読んだものの読みにくいわ訳わからないわで玉砕したことがあったんですが、その後かなり経ってから、実は脚本版(表紙にPLAYって書いてある)を読んでたことが判明。それからずっと読みたかったので、満を辞しての挑戦です。
が、読みづらかったーーーー!
まず、紙の書籍にしたのが失敗。知らない単語がけっこうありました。ミステリなので、ディテールを見落とす訳にはいかないとしっかり読もう思うんですが、単語がちょいちょいわからなくて。いつもなら調べなくてもいいかなって思うものも、意味を取り違えてると後で辻褄が合わなくなると思うとちゃんと調べたい。となると紙の本だと効率悪くて仕方ない。Kindleにすればよかった…。
設定がトリッキーなのも苦戦しました。雰囲気で予想しながら多少解像度低めでもガンガン読んでいく方なんですが、初期設定がぶっとんでるので先読みしずらいんですよね。以前読んだ内容はほぼ記憶に残っておらず、まっさらな気持ちで読んだこともあり苦戦。このhe(she)は誰なの、とかしょっちゅうだし。
あとは、夏休みの旅行中に読んだのも良くなかった。というのも、娘がいるので、休み中、しかも旅先だとどうしても細切れ読書になっちゃうんですよね。ミステリは一気に読み進めないと、気持ちの盛り上がりが持続しないので、最後色々な伏線が一気に回収されていく気持ちよさみたいなのが、イマイチ味わいきれなかった感あり。これは再読の必要ありだなー。
文章自体はLouis Sacharらしく読みやすい。この人の作品、主人公がしんどい時やいじめられてる時の描写に容赦がなく突き放した印象で、そういうシーンのたびにげっそりしちゃうんですけど、いざ主人公の心に何らかの火が灯ると、途端に内面の情熱を雄弁に語り出す感じがして、いつもそのコントラストにぐっときます。
映画もあるので、復習がてら観ようかなあ。
Kim Jiyoung, Born 1982
キム・ジヨンは1982年生まれの韓国女性。ごくごく一般的な家庭で生まれ育った彼女の半生を描いた小説です。韓国に根付く家父長制の中で、普通の女性が女性であるが故の不便や苦しみを、どのような場面で感じ、どのような不自由を抱えているかがドキュメンタリータッチで語られ、そのリアルさにフェミニスト小説として大ベストセラーになりました。
だいぶ前から気になっていた小説で、韓国語と日本語は文法が似ているということなので、邦訳(とても評判が良い!)で読むつもりだったんですが、お手頃価格になっていたので英語で読んでみました。
これがなかなかにつらい話だった…
日本より韓国の方が、家父長制がガチガチに根付いているとはいえ、日本人の私にも「ああ、そういうことあるよね…」ということの連続。改めて文字にされると相当にしんどい。ひとつひとつは些細なことだし、はあ??と一瞬憤ったりショックを受けても、時間と共に忘れてしまいそうなことなんだけど、どんなに小さくても癒える間もなく傷つけられていれば、いつしか修復不能な大怪我になってしまう。もしくは、ずっとずっと真綿で「なんか苦しいな」程度に首を絞められ続けているような感じというか。とにかく苦しい話でした。
またその苦しみが、たとえ家族や配偶者に恵まれて精一杯サポートしてもらえば解決するレベルじゃない構造的なものっていうのがまたしんどくて。家父長制に馴染みの強い日本人だから余計に共感してしまうのかもしれないけど、でも韓国のそれは日本よりもっとガチガチで、そりゃ少子化も進むわな…。
ただ、フェミニスト小説として素晴らしいのは確かなんだろうけど、落として落として突き落とすような内容なので、もっと救いがある話だったらなーと個人的に思います。リアリティのある話だし、問題提起が大きな意味を持つとわかってはいるけれど、たとえクソみたいな世界でも生きていかなきゃいけないのが今の私たちなので。
難易度的には、とても読みやすかったです。英訳本は文がシンプルなものが多いのかもしれません。映画はちょっとストーリーが違うらしいので、今度観てみたいな。
What Was the Vietnam War?
そういやベトナム戦争って、なんで始まったのか全然知らないなあ、と選んだのがこちら。知らなかったことだらけで勉強になりました。そして、読み終わった今も、ベトナム戦争って何だったんだ…?って思ってます。
少なくとも、この本を読む限り、ベトナムは特に何か悪いことをした訳じゃなく、WW2以前の帝国主義に翻弄され、戦後の冷戦に巻き込まれ、そりゃ蜂起もするよなあ…という感じ。アメリカも自国を攻撃されたとか大義があるわけでなし、国内でばんばん反対運動があった上にたくさんの若者(徴兵を免除される機会が少ない低所得・大学に行けない人たちが多い)が犠牲になって、一体誰が得をしたんだろうか。ベトナム人でもアメリカ人でもないのに、ひどく虚しい気分になってしまいました。
と、そんな風に色々感じることのできるWhat Wasシリーズ。Who Wasと合わせておすすめであります。
Scarlett and Blaze (Unicorn Academy: Where Magic Happens, #2)
しんどい系の本が続いたので、何か幸せなものを! ハッピーをくれ!!とこちら。今回の主人公はScarlettという女の子とそのユニコーンのBlaze。ユニコーンアイランドには虹色に輝くSparkle Lakeがあって、そこから水をひいてるのですが、一度も凍ったことがないその湖が何故か凍結しはじめ、このままじゃユニコーンの飲み水がなくなっちゃう! となってしまいます。
色々ありつつも絶対にハッピーエンドとわかっている安心感たるや素晴らしい。加えて、全てにおいていちいちマジカルでドリーミーでカラフル。本の中で図書館が出てくるんですが、館内にThe Reading Treeって文字通り木があって、その根元に置いてあるクッションに座りながら調べ物をしたりするんですよ! いちいちそんな感じで「こうだったら素敵」の女児の夢をぎゅうぎゅう詰め込んだシリーズです。ああ可愛い。
Kindleもあるけど、このシリーズはペーパーバックで集めるんだ!
ユニコーンといえば、Netflixのこの映画がけっこう好きです。ユニコーンってなんでこう女児の心を掴むんでしょうね。(うちの娘も例に漏れず大好きです)
さて、2021年は洋書30冊読むと目標に掲げていたんですが、達成しましたー!!! よくやった私!!!
ほぼ毎日、記事や本を読んでいる私ですが、ここまでくるのはけっこう大変でした。楽しいから苦ではなかったけど、試行錯誤の連続。でも、あれこれ試したり失敗したりするのも良い頭の体操だなーと。
10月は、またちょっと初心に帰って児童書をしっかり読みたいなーとか思ってたら、さっそく一般書を読み始めてしまい、また背伸びの日々です。まあいいんだ。楽しいのが大事だから。
10月も引き続き読んでいきます〜
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