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【閉館】名古屋ボストン美術館について

2018年10月8日で閉館してしまう金山駅前の名古屋ボストン美術館 最終展「ハピネス 〜明日の幸せを求めて」を鑑賞。

ここに来るのは、「ヴェネツィア展」「ルノワールの時代展」に続いて3回目だ。3回来ると愛着もある。閉館という言葉、「ハピネス 幸せ」っていう最終展にふさわしい普遍的テーマ、ハートマークいっぱいのポスター。メリーゴーランドの豚さんの顔さえも幸せそうで、寂しくて泣きそうになる。

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チラシには職員さんたちの20年の思い出がアンケート回答形式で書かれていて、苦しくなる。
印象的な展示は?という質問に古参の方は「たくさんあって挙げきれない」と書き、ここ数年の社歴の方は「初めて企画担当した展示」を挙げる。初企画は特にSNSやweb検索を頻繁にして、鑑賞者の評判をチェックしていたそう。場をつくる人の仕事、20年間の思いに触れられるチラシは、大事にファイリングしておこう。

作品は、ルノワールやミレー、歌麿、北斎など有名どころもありつつ、良かったのはジム・ダインのハートのモチーフの版画たち。
入口の階段なんて、美しくて泣けてくる。

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興味深かったのは、屏風絵だと思って収蔵した水墨画の修復段階で、元は襖絵だったことが分かり、襖絵として修復して展示されていた曾我蕭白の 《琴棋書画図きんきしょがず》。その一部分「棋」を表す部分が失われているのも気になる。

名残惜しいので、ボストン美術館の思い出をいくつか挙げてみよう。

自動ドアを入ると右手にゴーギャンの「我々はどこから来たのか どこへ行くのか」の部分絵がある。

初めて来たのは2年前のお正月の時期で、同じ名古屋市内の栄でやっていたピカソ展の会場でヴェネツィア展のポスターを見て、その足で来た。

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ウジェーヌ・ブーダンのヴェネツィアの絵がポスターに使われていて本当に美しかった。もう一度観るにはボストンに行かねばならぬのか。

正月だからか福引で狩野派の観音像のチケット入れと、ジャポニズム展のモネの付箋、亀のハンコが当たった。美術館で福引っていう意外な展開と、優しいおじさん職員さんの「おめでとうございます。4等です。ここから選んでね」って言われて嬉しくなったのを覚えている。福引っていつもワクワクする。もし自分の店を出したら毎日会計で福引やろうか。

ルノワールの時代展は、恋する乙女の表情の美しさに、ルノワールのプレイボーイぷりを思い知らされた。幸せを感じる展示だった。

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警備員のおじさんも優しくてフレンドリーだった。

コインロッカーには専用コインがあって、受付でもらえる。使い終わったら受付前のお皿に返す。

毎度、展示関連のコスプレ衣装が売店の前にあって、自由に着て写真を撮れるんだけど、受付のお姉さんの目の前にあるもんだから、恥ずかしくて着れなかった。もそっとひっそり着れるところに置いてくれてたら、こっそり着るのになぁ。

ヴェネツィア展の時はヴェネツィア貴族の、ハピネス展ではシヴァ神様の衣装だったはず。衣装は美術系の学生が作っているんだったか。

閉館の理由は、公式ウェブサイトには、平成28年5月の時点でこうある。

おかげさまで、当初から20年間にわたる名古屋ボストン美術館の運営につきましては、残り約3年間を含め完遂することができる目処がたっております。しかしながら、昨今および今後とも予想し得る低金利の経済情勢下においては、多額の運営資金を安定的かつ持続可能な形で確保することは極めて困難と言わざるを得ず、上記の通り、契約期限をもって終了することと致しました。

http://www.nagoya-boston.or.jp/event/news/post-317.html

名古屋市民オンブズマンによると、

名古屋ボストン美術館 閉館へ 県市拠出基金30億円のうち20億円使い切る見通し

https://ombuds.exblog.jp/23183807/

施設を運営すること、施設を支えること、考えさせられる。

あと50日。ハピネス展、おすすめです。

http://www.nagoya-boston.or.jp/grand-final/happiness/point.html

1階のカフェでケーキセット付きチケットがお得。あとウェブサイトには100円引きクーポンあり。

そして、金山駅おすすめランチは、ミュープラット2階のディアボロバンビーナ ドゥエ。本格ピッツェリアですが、パスタもワンプレートランチもあり。ランチのピッツァセットは、スープとドリンク付き。鶏とサラミと2種の唐辛子のピッツァを頼んで、食べ終わるタイミングで店員のお兄さんが笑顔で追加のおしぼりを持ってきてくれました。

チーズと辛いオイルでベタついた手にナイスタイミングで感動。美味しいピッツァと良いサービスは人を幸せにする。1号店は名駅3丁目にあるみたい。

話は戻って、名古屋ボストン美術館の皆さん、20年間お疲れ様でした。素敵な場に感謝しています。あと50日、たくさんの方の思い出に残りますように。

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