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映画『ペイン・アンド・グローリー』

芸能界の眩しさと危うさを美しく描き切った傑作。

華やかに見える映画監督や舞台俳優の暮らしは、破天荒で病的で繊細で脆くて儚い。ゆえに美しい。
私もかつて芸能界に憧れた。あのまま進んでいたら、と想像するとき、煌びやかな照明に照らされる自分と、闇の中で苦しむ自分の両方が見える。そして重たい感情がこみ上げる。私は、そこで生きていけるほど、強くなかった、と。
映画を撮り続けられず、持病に侵され燻るような毎日を送る映画監督と、いがみあった主演俳優の再会の美しき痛さ。
互いの才能に惹かれ合い仲間となる中年男性間の友情。新しい芝居をつくる熱量と、さらに偶然の出会い。
中年男性同士のキスと今生の別れの美しさと切なさに泣く。初めての感覚に目が冴える。
回想シーンもさっきまで見ていた風景さえも最後には虚実が揺らぐ。虚実すらもうどうでも良くなるほどに喜怒哀楽の全てをリアルに感じることができた作品でした。

公式サイト https://pain-and-glory.jp



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