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Tシャツ着るにも本気度が大事

シティハンターの高橋です。

前回のヤマダ記事を僕なりに要約すると、人生幸せになるには「消費<創造」のほうがいいでしょ。ほんでせっかく創造するなら片手間じゃなくて本気でやるべし。Tシャツでもなんでも、本気じゃないのはバレまっせ。という風に受け取った。

実に耳が痛い話だ。
本気で、細部までこだわった創造物を自分ははたしてアウトプットできているだろうか……。

「こんなもんでいいだろう」
かけた時間や労力を引き合いに、まだラクをしたり妥協したりしている気がしてならない……。

そう考えると創作の本気度というのは、他人が気づくより先に、自分の納得感や達成感を基準にするとわかりやすいかもしれない。




まぁいい。
ところで、Tシャツの着用にも「クリエイティブ」は宿るものだと僕は考えている。

既製品のTシャツを買って着るだけだと、いかにも受動的な「消費」行動でしかないように感じる。でも数ある洋服の中からTPOに合わせて一枚のTシャツを選び抜き、パンツやシューズ、小物などと合わせながらトータルでコーディネートしていく。これは立派なクリエーションだと思う。
具体的なブツは創造していないかもしれないけれど、人によっては毎日やってくる朝、デートやイベントなどの特別な一日に、自分以上の自分を演出するため、本気でセルフコーディネートするわけだ。
そのモチベーションは単に自己満足かもしれないし、「モテたい」や「オシャレと言われたい」という類の誰かの視線を気にしてのものかもしれない。人によって違うだろう。

結果、その人のファッションがモテるのかオシャレなのかはわからない。賛否両論あるとは思う。でも僕は、今ある素材で、現状より少しでも良くするために、本気であれこれ取り組む行為がクリエーションだと考えている。

だから本気度高めでこだわったコーディネートなら、伝わる人には絶対に伝わる。クリエイティブ(オシャレ/イケてる)だと伝わる。そう思っている。



もっとわかりやすく言おう。

たとえば、ローリングストーンズのアイコンとして有名なベロを出したイラストがある。古着屋を回れば必ず一枚は見つかるほど、Tシャツのモチーフとしては定番だ。しかも今なお新たにオマージュの素材として使われ続けているので、Tシャツ市場で最も有名なモチーフといっても過言ではないと思う。
だから当然、ストーンズの音楽なんか聴いたことがない人でも、キャッチ―なイラストに惹かれて、ベロTを買う。そして着る。

「デザインが、本気でカッコイイと思ったからファッションとして着ているだけ」。着ている人はそう言うかもしれない。


でもそれは違うのだ。おじさんも同じ轍を踏んだことがある。
おじさんもかつて、今風にデフォルメされたベロTを¥5,800-くらいでビームスTで買ったことがある。もちろんデザインに惹かれたわけで、まだストーンズを聴いたことはなかった。でも当時はそれでいいと思っていた。

だが今思い返せば、そのTシャツの着用時には何人かに「ストーンズ好きなんだ?」と聞かれた気がしないでもなく、自分にはあまり関係のない音楽(でもデザインは好き)だと思っていたので、おそらくそう聞かれたとしても堂々と「聞いたことないんすよ、ただデザインがカッコよくて買ったんす」と言えたと思う。言っていたと思う。


でも、それはダサい。おじさんとなった今ならそう断言できる。
縁もゆかりもないTシャツを着るのはダサいことなのである。

特にロックT関連ではそう。自分が本気で好きなミュージシャンのTシャツ以外着てはいけない。そう若者には覚えておいてほしい。

シティハンターでもすでに提言したかもしれないけれど、Tシャツはわかりやすいコミュニケーションツールの一つ。
だから初対面の相手など、素性の知れない相手にとっては、自分のTシャツが良くも悪くも作用する。第一印象を左右する大事なアイテムなのだ。

当然、会話のフックにも関わる。
考えてみてほしい。(実はストーンズが好きな)異性に「えっ、ストーンズ好きなんですか?」と聞かれて、「聞いたことないんすよ、ただデザインがカッコよくて買ったんす」と答えたあとの、彼女の冷めた返答を。


つまり、デザインとして上っ面だけでそのTシャツを着用しているのか、あるいはマジで好きでこだわりをもって本気でそのTシャツを着たくて着ているのかなんて、バレるというか、ボロが出るわけである。


変な二択かもしれないが、テニサーの大学生が着る「KISS」のTシャツと、中退のバンドマンが着る「KISS」のTシャツ。どっちが信用できるだろうか?

本気度。
本当に好きであること。
それが一番大事。

僕はちなみに大学生の頃、「KORN」と「adidas」のコラボジャージをファッションだけで着ていた挙句、「KORN好きなんですかぁ?」とかわいい後輩に聞かれたのに、「聴いたことない」と答えた男である。

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