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幸せ銭湯

歯磨きを終えて、洗面台に行き、キュッ、ジャー。
蛇口から水が流れ始めてからまた少し歯を磨いてしまう。

どうもどうも、ちったです。

水がもったいないじゃないか!と思いつつもね、せっかくなんで。せっかくなんでとゴシゴシしちゃうのよね。

どうでもいいわよね。

どうでもいい話を続けよう。


ひっさしぶりに銭湯に行ったんだけど、やっぱりいいものね。
こないだ映画の『湯道』を観たばかりだったから余計にニコニコしちゃった。
全ての銭湯に感謝とリスペクト。

リスペクトを込めてまずは頭を洗い流す。
次にカラダをキレイに洗う。
ありがとう、銭湯と心で唱える。

カラダ洗い終わったら下の蛇口で右手を軽く洗い、シャワーをだす。
そうするとシャワーのハンドルに泡がつかない。

このままサウナに行ってもいいのだけど、今回は湯船に向かう。
ボコボコバブルゾーンもいいけどはじめは波立ってないとこにする。

湯船に浸かった時の意識せず出てくる「はぁああああああ」は溜息界隈でトップオブポジティブはぁーであるなぁ。

この瞬間、カラダにこべりついてたネガティブなもんが全部溶けてく。
「きもちぃーーー」
とニコニコになる。

日本猿さんみたいなおっちゃん達もニコニコ浸かってる。

湯面は顎下。
ニコニコした顔だけ覗かせて、幸せのふきのとう。

次に水風呂。
ここは宇宙かなと思う。

すこし休んだらサウナに向かう。

ここは時計が無い代わりに砂時計が置いてある。
「あっすみません」
「あっ、っす」
裸の男と裸の男が会釈して砂時計を逆さまにする。

砂がなくなり切ったら5分だ。

わたしは長居できないので5分経ったらでる。
よし。5分。

隣の裸が先に立ち上がった。

このままだと一緒に出て水風呂に一緒に浸かることになるから我慢してもう2分。
(だってなんか恥ずかしいじゃない。)

休憩を挟んでもう一度サウナに繰り出す。

「あっ、すみません」
「あっ、っす」


隣にまた同じ裸があった。

(これじゃ彼についてってるみたいじゃない、やだそんな目でみてはないのに)

砂時計をひっくり返してから5分。
よし。

隣の裸が立ち上がった。

その直後にわたしが立ち上がったらそれはそれでなんか気まずいじゃない。
もう2分。

汗を流して水風呂に浸かる。
指先までドクドクと感じる血流。

ここは宇宙なんじゃないか。


休憩して、3度目のサウナに向かおうと立ち上がったら、鏡を挟んで立ち上がる、今日のシンクロ率高めの裸が目の前にあった。

わたしはもういいかと湯船に向かった。
(今日はこれで出るとするか。)


『整う』という言葉が流行っているけど、銭湯の入り方なんて人それぞれ自由でいいのだ。気持ちよければいいのだ。


久しぶりの銭湯に感動して、気持ち良くなって。
本当にありがとうございましたと伝えたい。

ズボンを履き、
ドライヤーの前で20円を小銭入れから出す。

「あっ、すみません」
後ろから声をかけられた。

「はい、、?」
と振り返ると20円をドライヤーの機械に入れ始めるおじさんがいた。


芽が咲き、花が咲き、いずれは枯れて、土となる。

自然の摂理を教わるような、ナチュラルな割り込みにわたしはなんも言わなかった。

だってこのおじさん髪短いから絶対すぐ終わる。


きっとわたしのモジャモジャヘアーをみて
「あっ、すみません。きっとあなたよりもすぐにドライヤー終わります。みてくださいこの髪を。短いでしょう?1分もせずに終わらせられます。いえ、終わらせてみせましょう。なんなら残りの2分をあなたに差し上げましょう。20円浮きますよ。それではお先に失礼致します。カチャっ。ぶおおおおおお。」

きっとそうだ間違いない。
本当はここまで言いたかったはずなんだ。
ありがとうおじさん、伝わったよ。


わたしはなるべく焦らせないよう少し離れた場所で待つことにした。


1分が過ぎた。

(結構念入りなんだなぁ)
おじさんをみてびっくりした。

ケツの穴に当ててんの!!!


片足あげて器用にドライヤー右手に小刻みに揺らしながら、
ケツの穴に当ててんの!

はじめてみたんだけど、びっくりしたんだけど!


頭に戻ったりしたけど、大体ケツの穴に当ててんの!

なんか次使うの嫌じゃなんだけど!


ぶおおおおおおぉぉぉぉ、、、。


3分きっかり使ってたんだけど!
え、ケツの穴にドライヤー当てる人いたらごめんなさい、

びっくりしたんだけど!

んー、気持ちわからなくも無いけどわからない!
分からなくもなくもない。

カラダ拭いてそのタオルでケツの穴まで拭くってことは確かにしないのよ。
うんこ後のトイレットペーパーじゃないんだし。

若干ケツの穴エリアが湿ったままなのは分かるわよ。
でもそのままパンツはいちゃわない!?

え、みんなドライヤーで乾かすもんなの?
え、ええええ!?


って思いながらケツの穴に当ててたドライヤーで髪を乾かした。

(き、気持ちいのかなぁ)

って少し思ったけど片足上げてケツの穴に温風を人前でやる小さな勇気はなかった。


きっと、小さな勇気を出せば世界は変わって、新しい自分に出会えるかもしれない。


それでもわたしは、

ケツの穴に温風は当てれないと思う。


銭湯最高でした。

今回行った銭湯は三軒茶屋太子堂にある富士見湯さん。

三軒茶屋の中でもトップレベルで好きな銭湯。
またお世話になります。


絵は2年前に描いたもので。



少しでもニヤリとなれたなら幸いです。 よろしくお願いします☺️