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Process is Precious.

最近コーヒーを淹れるのが楽しい。ハンドドリップしていると、立ち上る香りを胸いっぱいに吸い込みたくなってしまう。

飲むのは前から好きだった。在宅勤務になってから飲む頻度は増えた気がする。インスタントも飲むけど、仕事中に一息つきたくなったらドリッパーとコーヒー粉をいそいそ取り出している。


コーヒーを淹れている時間が、楽しい。

サーバーを温める。コーヒー粉をならして、ポットからこぽこぽお湯を少し注ぐ。蒸らしの作業。最初の一滴が落ちる。続けて二滴、三滴。粉がふっくらしてくる。鼻孔をくすぐる豊かなアロマが心地良い。

別にコーヒーに詳しいわけじゃない。今家にあるのは、こないだたまたま立ち寄った青海珈琲で買ったハイランドスウィートっていう豆だけど、特に選び抜いたわけでもない(でも美味しい)。豆は自分で挽いてないし、使ってるドリッパーとサーバーはカリタのいたって普通のもの。

もう10年以上日本酒好きをこじらせているからコーヒーも深みにはまったら抜けられなくなるんだろうなあと思いながら、毎日丁寧にドリップしている。日本酒もコーヒーも、穏やかで少し丸みを帯びた味が好き。

小皿にクッキーを乗せてコーヒーを出してあげると、妻は喜ぶ。それがちょっと嬉しい。妻が淹れてくれるときもある。でも彼女は、お味噌汁のためにとった出汁を間違ってざるに空けて鰹節だけ美しく残しちゃう人。いつか豆だけ残してコーヒーを捨てる日が来ると思っている。


日本酒をお燗につけるときは、湯煎で温めているときが楽しい。

料理をしているときは、野菜に火が通って艶が出てきたぐらいが楽しい。

旅行は、行きのサービスエリアで休憩しているときが楽しい。

文章を書いているときは、書いているときが楽しい。


なんだって「まだできていないとき」が一番楽しい。

"Process is Precious." なんて適当な英語をタイトルに書いてみた。表現として正しいかは知らない。日本語でいうなら「待つのが祭り」みたいな感じ。そもそもこのことわざも合っているか怪しい。まあなんでもいい。

プロセスを楽しめるって幸せなことだ。何かをつくる人って、何かを準備するのが好きな人だと思う。つくったものを愛せるだけじゃなくて、つくることそのものに敬意を払える人。当たり前かもしれないけど、今日、コーヒーを淹れているときにそう思った。

ふくらんだコーヒー豆を見ているとやさしくなれる。湯煎で温まってきた徳利に触れると時間の流れがゆるやかになる。しかもまだこれから最高の一杯が待っている。こんな楽しい時間はないよなあなんて、ぼそり。

明日もコーヒーを淹れよう。ポットから注ぐお湯は、惜しむように細く細く。熱々の一口が何よりの楽しみなのだ。終わってほしいようで終わってほしくない準備の時間に、気付けばぼくは心を奪われてしまった。


このnoteはもう書き終えてしまう。次に何かを書こうかなんてまだ決めてない。だから考えよう。そしたらきっとまた楽しい。



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