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ファッション的視点で捉える音楽 名盤編/ドリームポップ5選

今回から僕がこれまで印象に残ってる作品や、ショップのサウンドトラックとしてお客様の反応が良かった名盤をご紹介していきたいと思います。その第一回目はドリームポップ編です。

ショップのサウンドトラックを選ぶ際、僕の考え方としては「あくまでも洋服が主役。洋服の邪魔をしないもの。それでいてトレンド性があり、世界観やイメージを引き立ててくれる音楽」というのが根底にありました。ですので、耳馴染みのよいヒットソングなどはセレクトからあえて外していました。その中でドリームポップと呼ばれるジャンルは、美しいメロディラインがありながら幻想的な世界観が際立っていて、取り扱っていたラグジュアリーやデザイナーズブランドとの相性はぴったりでした。

タイムレスな作品が多いので、いつ聴いても新鮮な魅力を与えてくれるものばかりです。是非聴いてみてください。

1.Goldfrapp(ゴールドフラップ)/Seventh Tree(2008)

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「ポーティスヘッドの再来」と評された2000年のデビュー以来、変幻自在なアートポップを奏でてきたゴールドフラップの4枚目。
シネマティックなファーストアルバムから一転、2枚目3枚目は時代の先端を行くグラマラスなディスコチューンを鳴らし、ヴィジュアル、サウンドともファッション/モード界でも大注目の存在になりました。

そしてリリースされた本作は、またがらっと路線を変更し、幽玄なドリームポップ〜フォークトロニカサウンドを提示。これがとても心地良く、僕も大好きな一枚として印象に残っています。
これまでのような派手さはないのですが、どの曲もポップスとしての完成度が高く、なおかつセンスの良いお洒落なサウンドに高い次元で到達しています。
「今かけている音楽を教えて欲しい」と良くお客様から聞かれた一枚です。

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2.Deerhunter(ディアハンター) /Microcastle(2008)

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当時ほぼ無名だったディアハンター。試聴して「なんとなくいいな」くらいにしか思ってなかったんですが、これお店というか広い空間でかけると、めちゃくちゃカッコいいんです。いわゆる、トリップ感あるというやつです。
正直、音自体に強い主張はないので、印象に残らないと言えばそうなんですが、逆にそれがお店のサウンドトラックとしては最適でした。
シューゲイザー、ドリームポップ、サイケ、クラウトロック、オルタナ、テクノ、ブルースなど、一聴して「これはどのジャンルの音なのか」全く良くわからない感じも好きでした。とにかく最初から最後まで通して聴いて頂きたい一枚。

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3.Beach House(ビーチハウス) /Bloom(2012)

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もはやドリームポップの代名詞とも言えるアメリカ・ボルチモア出身の2人組。前作「Teen Dream」も素晴らしいですが、個人的にはこちらを良く聴いていたのでセレクト。王道のドリームポップで言えば、次にご紹介するシガレッツ・アフター・セックスがここ数年、僕のお気に入りですが、ビーチハウスはこの系譜の革新者。

「シェルブールの雨傘」や「ロシュフォールの恋人たち」などで知られる映画音楽の巨匠、ミシェル・ルグランを叔父に持つヴィクトリア・ルグランの中性的な歌声に、アレックス・スカリーによるコクトー・ツインズ直系のギター・サウンドが重なり、耽美な夢の世界へ導きます。ヴィジュアルもカッコいい2人なので、ファッション界からも注目され続ける存在です。

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4.Cigarettes After Sex(シガレッツアフターセックス)/Cigarettes After Sex(2017)

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ドリームポップの最終型とも呼べる素晴らしいバンド。徹底した美学に裏打ちされたサウンドプロダクション、ヴィジュアルを含めた、非の打ち所がない美しさ。グレッグ・ゴンザレスの男性とは思えないような中性的な歌声は、甘美な夢の世界へ我々を誘います。

ラフシモンズが手掛けたCALVIN KLEIN(カルバンクライン)が2018年春夏のランウェイにこのアルバムの曲を使用しており、とてもドラマティックで感動しました。アメリカの悪夢とアメリカンドリームの全能さ、両極端を描くハリウッドの映画界の表現方法からインスピレーションを得たコレクションは、アンディ・ウォーホルとのコラボが発表されるなど、どこか不気味でとてつもない美しさを放っていました。

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5.M83.(エムエイティスリー) /Saturdays=Youth(2008)

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僕のハンドルネームにも使わせてもらっている、とても影響を受けた作品。ジャケットのヴィジュアルワーク、浮遊感があるエモーショナルなサウンド、映画のような世界観、とにかく共感できる部分が多いなと当時から思っていた一枚です。

デビュー当時は、エレクトロニカとシューゲイザーをミックスしたようなミニマルな作風でしたが、徐々にポップセンスを増していき、この5枚目のアルバムで全てのバランスが最高に整った素晴らしい作品になります。次作「Hurry Up, We're Dreaming」で世界的な大ヒットに繋がりますが、個人的にはこのアルバムがやはりベスト。キラキラしたサウンドとティーンな空気感がたまりません。

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M83.@ 新木場スタジオ・コースト 2016.05.26

M83.は2009年にフジロックで来日していますが、2016年に初の単独公演がたった1日だけ開催され、運良く見に行くことができました。エレクトロサウンドが中心になると思いきや、意外と力強いバンドサウンドで驚き、その迫力に圧倒されてしまいました。

オープニングアクトには気鋭のビートメイカーSeiho(セイホー)が登場し、こちらもフロアを沸かせていました。牛乳を飲んだり、花を生けたり。あの独特のパフォーマンスとキレのあるプレイを聴かせてくれ、とても興奮しました。

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M83(SMASHINGMAGより)

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Seiho(SMASHINGMAGより)

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