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三原康裕 感銘を受けた揺るぎないクリエイションへの情熱

僕は、調和を目指さない。そこに美があると信じている。反調和の美。僕は、一人のクリエイターとして誰も見たことのないものをつくり続ける。
ファッションは、所詮うたかたの夢だから。


ー三原康裕

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最新の2021-22年秋冬コレクションでもMaison MIHARA YASUHIRO(メゾンミハラヤスヒロ)は己のオリジナリティを追求した。一度できあがった服をばらばらに解体し、それを新たなアイテムに再構築するスタイル(位置をずらしたり、別のアイテムをくっ付けたり)はミハラヤスヒロが何年も貫いているデザイン手法だ。
構築と破壊、驚きや意外性を持って創造されるこの「反調和の美」は、ブランドにとってブレる事のない強い信念である。

「今もファッションの意味は全くわからないが、自分達が信じる事をやっているだけだ。」と三原康裕氏は語る。

Maison MIHARA YASUHIRO 2021-22年秋冬コレクション

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世の中への反骨精神と思えるような強い言葉やデザインが目立つ一方で、三原康裕氏はものつくりと創造への情熱が絶えない、少年のような心を持った人物だと僕は思っている。

僕が三原さんに初めてお会いしたのは、2010年頃だったと思います。ちょうどミハラヤスヒロのお取り扱いが決まり、展示会やコレクションに頻繁に伺うようになった頃。
忘れもしないのが、2013-14年秋冬のバイイングでパリに行った時の事。ミハラヤスヒロのコレクションを観た翌日にショールームに伺った際、三原さんがいらっしゃり話しかけて下さいました。
「今日はわざわざ来てくれてありがとう」。何度か展示会で挨拶させて頂いておりましたが、覚えていてくださったようです。

その時、たまたま僕たちしかいなかったというのもあり、三原さん自らが商品の説明をしてくれました。付きっきりで1時間くらい、熱心にシーズンコンセプトや個々の商品について語って頂き、そして自らフィッティングまでしてくれてました。地方のいちバイヤーが、世界的デザイナー様本人からそのようなエピソードをお聞きできるなんて夢のようだと思いました。
デザイナーとして当たり前な話ですが、ものつくりへの想いや情熱がとてつもない人だなとその時思いました。勝手な偏見ですが洋服や靴のデザインから見ると、もう少しクールな方だと思っていたので。

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MIHARA YASUHIRO 2013-14年秋冬コレクション

三原さんの言葉をメモを取り、写真も撮らせて頂き、当時運営していたショップブログで「バイイング・レポート」というコーナーがあったのですが、その様子を執筆したところ、お客様からも大反響ありました。
誰にでも分け隔てなく、真摯な姿で対応して下さる三原さんの人柄、そしてクリエイションに対する情熱の強さに大きな感銘を受けた瞬間でした。

その頃からデザイナーとしてはもちろん、人間としても大変な魅力を感じたので、その後のインタビューなどは欠かさずチェックするようになりました。かなり前の記事なのですが、sosuさん(ミハラヤスヒロの運営会社)のブログで三原さんの人柄が良く伝わってくる記事があります。僕も大好きな記事です。よろしければ是非お読み下さい。👇

最初に三原康裕と会いましたのは、13年前になります。当初、某セレクトショップで店長をしておりました時に、お客さんとして毎日来ていたのが三原康裕です。
ほぼ毎日のように、靴を持って『これはどう思うか?』とかうちの他のお客さんにも『この靴を見てどう思うか?』と聞いていましたし、あの時分、国分寺から浅草まで靴を作りたい気持ちが一心で、無理矢理頼んでもないのに、浅草のメーカーさんの事務所で掃除をしていたり、毎日ぞうきん掛けしてたりして、ようやく入社を認められたり、時には工場で生産がはじまっているラインをいきなり止めてまで、自分の靴のつり込みをやってもらったりしてましたし、本当に『やっちん(三原康裕の愛称)はすごいなあ』と思っておりました。
『情熱が一番大事』本当にそう思えたのは、三原康裕に会ってから思った事です。
そして情熱があれば、何でも出来る!!と教えてくれましたし、私自身も何でも出来ると今では本当に思っています。

最後にミハラヤスヒロのコレクションで、実際に観て最も印象に残っているものをご紹介します。

2013年春夏コレクションでテーマは「Wild at Heart」。書道のような表現方法を、アブストラクトアートに持ち込んだアーティストINOUE JUN(イノウエジュン)氏のライブペインティングを背景にショーが進行。デヴィッド・リンチの同名映画からインスパイアされたテディボーイスタイルと、その背景との反調和が美しく、終盤にはアートワークがデザインにも落とし込まれ最高潮に達します。

この頃ミハラヤスヒロは日本の美意識を世界に発信すべく、国内のミュージャンやアーティストと積極的にコラボしていました。
大きなキャンバスにショーと同時進行でダイナミックな作品ができあがり、フィナーレにお二人が揃って登場する場面はとても感動的でした。紛れもない名コレクションです。

MIHARA YASUHIRO 2013年春夏コレクション

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「反調和の美」

それは世の中への反骨精神から生まれたものではなく、誰も見たことがないようなもので見る人をワクワクさせたい、という純粋な思いが根底にあるのではないかと思っています。
三原康裕氏のものつくりや創造への情熱は、靴をつくり始めた学生時代から何ら変わっていない、ピュアな少年のような心を持ったままの気がしてならないのです。

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