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表現者や服好きが集う場所、幡ヶ谷POESIESができるまで

国内のデザイナーズブランドを扱うコンセプトショップ〈POESIES(ポエジー)〉が、幡ヶ谷の甲州街道沿いにオープンして約2ヶ月が過ぎた。

「夫の仕事の関係で8年ほど前に上京しました。その時は、まさか自分が東京にショップを持つなんて、夢にも思っていませんでした。」
そう語る、店主斎藤のファッション哲学や趣味嗜好、そしてPOESIESオープンまでの道のりを聞いた。 

POESIESはコンセプトに沿って表現をする場所


ーお店を始めた理由は?

昔からやろうと決めていた訳ではないのですが、やると決めた時、すごくシンプルにこの選択がしっくりときました。

すごく遡った話をしますと、私はその昔、理美容学校を卒業してすぐ美容師として働いていた時期がありました。当時は今とは働きかたも違いましたし、とにかく過酷な毎日を送っていました。大変な世界だと覚悟していましたが、それでも早朝から深夜までほとんど休憩もなく、とても忙しい日々。体力に自信がある方でもなく、本当に迷った末、私は美容師を一旦辞める事にしました。感性を生かし、それを表現する小さなお店をいつか持ちたい、という目標もありましたので、辞めたその後に完全燃焼しきれないものが残っていました。
それが現在の独立への原動力になった部分もあると思います。

その後ファッションに夢中になり、上京後にアパレル業界でお仕事をさせて頂くことになるのですが、主人の後押しもありここ1〜2年の間でお店を始める事を本気で考えるようになりました。
父は士業で独立していましたし、親戚にも会社員がいない環境で育ったので、開業する事自体にはあまり抵抗はありませんでした。

ーショップ名の由来について

よく聞かれるんですけど、最初は特別意味がなかったんです。いくつか候補がありましたが、POESIESのもつ響きや覚えやすさに惹かれ決めました。

「ファッションを理解しようとするのではなく、詩を読むように、そこに広がる世界を感覚的に楽しんで欲しい」というショップコンセプトは、夫が後から考えてくれました。
夫はどちらかと言うと、物事を理論的に考える方ですが、その一方で私は直感的。そして興味があるものはとことん掘り下げるタイプ。
私の個性を理解してくれた上で、うまくショップ名ともリンクしたコンセプトを考えてくれました。

自分のお店というより、コンセプトに乗っとりPOESIESの一員のようなスタンスでバランスを取りながら運営しています。

Dessin de Mode(デッサンドモード)メンズのオーバーサイズトレンチコート。女性が着てもかわいい。

こう見えて結構ディープな服好きです


ーファッション遍歴を教えてください

本格的に洋服にのめり込んだのも、やはり夫の影響です。彼は20年以上業界に携わっていますが、大学生の頃からファッション以外の仕事は出来ないと断言していて、不器用ながらに道を突き詰めようとする姿勢をどこかで羨ましいとも思っていました。感化され、気づいたら自分もファッションの虜になっていました。笑

ファッションの世界をもっと知りたいと思う最初の衝撃やきっかけとなったデザイナーは、Veronique Branquinho(ヴェロニクブランキーノ)やDries Van Noten(ドリスヴァンノッテン)、あとニコラゲスキエールのBALENCIAGA(バレンシアガ)やフィービーファイロのChloé(クロエ)ですかね。提案する人物像やモードなシルエットに惹かれて、、20年前のそこが始まりです。
とはいえ、ブランド志向というわけでは全くなく、デザイナーやクリエイターが持つ哲学やクリエーションに共感することから始まります。最近はヴィンテージや古着も見に行ったりもします。ここ最近購入したアイテムは、ずっと欲しかったSAGAN VIENNA(サガンヴィエンナ)のバッグ。
普段、ブランドのアイコン的なアイテムは身につけないこともあって分かりにくいですが、こう見えてかなり洋服は好きですね。笑

ここ数年は日本のデザイナーさんの洋服を見たり購入する機会が増えました。とくに新規ブランドやインディペンデントなブランド、気になった物は直接手に取って試してもみたいし、もっと知りたい!と思うので、必ず店舗に見に行きます。
それを洋服が好きな人、熱量のある人から購入したいという想いが強く、そこで学び得たものや高揚感が仕事のモチベーションにもなっているので、自分自身もPOESIESで実践して、お客様とファッションの楽しさを共有したいです。お客様の着こなしや身につけられているアイテム、最近ご購入されたものを見たりお聞きするのも楽しみのひとつですね。

ーPOESIESでお取り扱いのあるブランドについて

洋服をはじめ、色んな意味で意匠を凝らしたものに興味関心があります。
私はそういったものを自分で一からデザインしたりつくったりする事は出来ないので、ものをつくる方を本当に尊敬しています。作り手の姿勢や向き合い方、考え方を知って、身近に感じたり共感することも多いです。
今POESIESでお取り扱いさせて頂いているブランドも、リスペクトしている事が一番の理由です。
歴史や生産背景、作り手のこだわりや追求など…とても伝わるものがありますし、知れば知るほど好きになります。

Dessin de Modeのレオパード柄はとても雰囲気があり、ヴィンテージのような佇まい。

地域に溶け込み、地域に貢献する


ー幡ヶ谷の魅力は?

今住んでいる場所とは環境が180度違って、交通量も人口も多く活気があります。幡ヶ谷は生活に密着した地方っぽい街だなと思います。
下北ともまた違う、カオスな風景が魅力だと思います。

幡ヶ谷でよく行くお店は、飲食店ですと西原にあるwineshop flow。ワインも音も最高です。
お隣のタイ料理ミャオミャオや、初台のHOFFなども…。
お花は西原のForager。お花が大好きで欠かせません。
幡ヶ谷歴まだ2ヶ月なので、お客様にもおすすめのお店を色々と教えてもらっています。
少しずつですが、まわりのお店の方とも交流をしていけたらと思っています。

ーどんなお客様が多いですか?

ファッションに関心の高い、幡ヶ谷にお住まい又は職場が近くのお客様にお越し頂いています。加えて、ディレクター、グラフィックデザイナー、パタンナー、フォトグラファー、アクター、ダンサーなど男女問わず不思議と「表現者」の方のご来店も多く、その割合に驚いています。続いて印象的なのが、音楽好きなお客様ですね。
また、夫が個人で更新しているnoteやSNSがきっかけでモード好きな男性のお客様もご来店くださいます。温かい目で見てくださる優しいお客様が多いです。

お店ではçanoma(サノマ)のお香を焚いている。入店すると、とてもいい香りがすると好評。

POESIESのこれからについて

お客様から、重厚な入口やドアの雰囲気もあって入りにくいけど、一度知ってしまえば 入りやすいお店ね、とのお声も頂きました。
私もいち消費者ですので、お客様目線で考え、もちろん接客はさせていただきますが、その上で退店しやすい空気も大事にしています。今日は欲しい物に出会えなかったけれど、また見に行こうかな…と思い出してもらえるお店を目指して、今後もお客様との信頼関係を最優先したいです。
オープンして約2ヶ月余りですが、リピーターさまのご来店も目立ち、本当にありがたいです。
寄り道も大歓迎です。
いつでも気軽にお立ち寄りください!

音楽は夫がセレクト。詩的で浮遊感のあるミニマルミュージックを中心に、ブラックミュージックやガレージロックが交錯する。


【ショップ情報】

POESIES(ポエジー) 
東京都渋谷区幡ヶ谷2-1-3高橋ビル1F
OPEN 12:00
CLOSE 19:00 
Close Wednesday

幡ヶ谷の甲州街道沿いに突如現れたコンセプトアパレルショップ「POESIES」とは?
fashionsnap.comより

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