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【前編】新代表に「2名代表制」の背景を直撃。組織再編を貫く「CX」への想いとは


2023年4月に代表が交代し、6月には2名代表制となることを発表したサーキュレーション。今回、新たに代表を務める福田、山口のお二人に直撃インタビューし、組織体制変更の背景や、大切にしている想い、これから出てくる課題などについて率直に伺いました。

インタビューは前・後編でお送りし、前編では2名代表制になった経緯や組織再編の意図などをお話してもらいます。

悩みながらも変化を楽しみ、不変のビジョンと底力を信じて

ー新体制発足後4ヶ月が経ち、先日通期の決算発表も終えました。改めて今のお二人のお気持ちはいかがですか?

代表取締役社長 福田 悠

福田:もちろん大変なこともありますが、楽しいな、という気持ちです。サーキュレーションの行動指針“CIRCUIZM”の1つに「変化を楽しむ」というものがあります。その通り、役割、経営チーム、事業環境などが変化していること自体を、個人的にはポジティブに捉えていますね。

山口:サーキュレーションの底力と仲間の大切さと、ビジョンの尊さを改めて痛感することができた4ヶ月でしたね。
代表交代以降、毎日悠(※福田のこと)と話をする中で、メンバー皆にどのようなメッセージを届けたいかを一番考えました。一人ひとり全員個別に声をかけることが難しい中で、全体へのメッセージとしてはやっぱり「メンバーと大切な人たちを守っていこう」「ビジョンを実現しよう」ということに立ち返りました。そういう意味では改めて大事なものに気づけた時間でした。

ーメッセージを発信する時に、お二人の中で何か決めていたことはありますか?

代表取締役副社長 山口 征人

山口:ビジョンと仲間とお客様とプロ人材、これまで共に歩んでいただいた皆様への感謝と、これからも歩んでいきたいという強い意志が根底にあります。その時々によって表現は少し変わるかもしれませんが、根本の想いは変わりません。

福田:体制は変わりましたが、会社が目指すことや事業が本質的に成していきたいことは変わりません。ここは一貫したメッセージとして伝えていきたいです。

ーお二人とも、今回急遽代表に就任されましたが、その前は取締役であり、サーキュレーションの創業メンバーでもあります。改めて簡単にそれぞれのキャリアについて教えてください。

福田:新卒で今のパーソルキャリアに入社して、8年弱ほど在籍していました。法人向け人材営業半分、事業立ち上げ半分というキャリアを経て、サーキュレーションの立ち上げに参画しています。サーキュレーションでは現場のコンサルタントやマネジャー業務もしながら、徐々に領域を広げていき、主にフロント側の事業推進と体制創り全般をやってきました。

山口:僕も悠と同期入社でした。4年ほどは人材紹介の営業部門、その後は経営企画でマネジャーとしてコーポレート部門の業務に携わっていました。サーキュレーションに参画後はプロ人材登録側の仕組み全部とコーポレート部門を立ち上げ、新規登録されたプロ人材へのインタビューとデータベース創りも最初は自分でやりつつ、経理、人事、事業企画、システム管理部門などバックオフィス全般機能の組織化をずっとやってきました。

代表交代後、1週間後には2名代表制を検討し始めた

ー2023年6月に2名代表制になりました。これはどういった経緯だったんでしょうか?

福田:4月に代表を引き継ぐことが決まり、急遽、次の経営チームを誰とどう創るかを考える必要がありました。その中で「2名代表制がいいんじゃないか」という相談は、実は1週間後には征人にしていました。最終的な会社の意思決定は6月でしたが、選択肢としては早い段階でありましたね。

ー2名代表制というのは福田さんから出てきたんですね。あまり一般的でないようにも思いますが、どういうお考えで選択肢に上がってきたんですか。

福田:次の10年に向けて、サーキュレーションをより良い形にできる経営チームについて、まず考えました。そこで自分自身の能力やケイパビリティだけを中心に会社を創るよりも、強みの異なる二人で代表として体制を創っていくことが、ビジョンに到達できるスピードが速まり、会社がよくなると感じたことが大きいです。

また、これまで10年サーキュレーションの経営や組織創りをリーダーとして牽引してきたり、2018年からはこの2人で取締役を務めてきた中で、征人とは対等でありたいし、一緒に次の10年を背負ってほしいと言える信頼もありました。

山口:2名代表制は数として多くはないので、相談された時は「あ、そういう手もあるんだな」と最初は驚きました。
ですが、僕も結果としてこの選択肢が最も速くビジョンに近づけるという実感を強く持ちました。悠はフロントを、僕はミドルバックを創ってきた経験があり、強みも違う。お互いを信頼していたからこそ、取締役時代もそれぞれの領域を悠と僕で推進できていました。

ですが、ここからはお互いの専門性を活かしつつも垣根を超えて会社全体を俯瞰し、ステークホルダーの皆さんと共に成長を目指して事業を推進していければ、これは前よりも強い組織になるんじゃないかと思いました。もちろん、ガバナンスを強固にするという目的もありますが、根底にあったのはお互いへの信頼感です。

ー2名になると意思決定のスピードが鈍化するという意見もあると思いますが、ここはどう思われたのでしょうか?

福田:創りたい未来や組織のイメージは、これまで経営チームでも共有してきましたし、征人と僕でもかなり一致しているという感覚があるので、大きな意思決定の方向性はズレないと思っています。ですが、業務のプロセス全てに二人で合意して意思決定をしていると当然効率性も削がれてしまうので、会社として二人で決めるべきことと、それぞれで決めるべきことを定義する必要があります。

ただこの4ヶ月を振り返ると、2名代表制になっても意思決定のスピードは落とさずに進められていると感じています。

山口:同感です。僕はベンチャーの強みは革新的な発想と意思決定のスピードだと思っています。実際に8月から決裁権限規程を一部見直して、組織内の各マネジメントたちへの権限移譲をさらに進めました。

今後必要なのはモニタリングです。意思決定が本当に正しかったのか検証するサイクルを回すことで、スピードを落とさず効率を高めていくことができると考えています。

10年間、互いの管掌領域で積み重なった信頼と尊敬

ーお互いに対して評価していたり、期待されていることはありますか?

福田:僕から征人には2つあります。1つは職域の部分。これまでコーポレート側を牽引してくれているので、CFO的な役割から事業企画、社内のDXなどはこれまで通りに全面的に任せていきたいです。

もう1つは組織創りの部分です。征人って僕よりもウェットな人間なんだと思っているんですよね。一緒に働いているメンバーを大切にして、コミュニケーションを取ろうと働きかけている姿をよく見ます。それが全社の組織創りに影響するよう、強みを活かしてもらえるといいなと思います。

山口:僕から悠には…やっぱり、めちゃくちゃお客様に会いに行ってて。僕はサービス業の本質はお客様のいる現場にあると思っているので、そういう意味でも悠はイノベーションを起こしていくリーダーだなと尊敬しています。

変革という観点で言えば、組織が大きくなる中で分業型営業組織に変えよう、と言ったのは彼です。当時(2019年)は反対意見もありました。人が増えることによる販管費の圧迫や、コンサルタントが一貫性を持ってやっていた業務を分担することでお客様の体験価値が下がることへの懸念の声も根強かった。ですがこれをやりきったことで、その後のサーキュレーションの大きな成長を遂げる原点を創ってくれたのだと思います。

もう一つ、「プロシェアリング」という言葉を最初に出したのも悠なんですよ。

福田:覚えてないなあ…(笑)

山口:覚えてないでしょ。でもそうなんですよ。元々は「オープンイノベーションのコンサルティング」という表現でうちのサービスを説明していたんです。でも、悠がサーキュレーションのサービスは「プロをシェアするサービスなんじゃないか」っていうことを言い始めた。当時ちょうどUberやAirbnbが出てきて「シェアリング」という言葉が出始めたタイミングだったので、そういうネーミングって面白いな、と僕たちも思ったんですよ。

悠は奇抜なタイプでは決してないんですけど、理想を追求したり、新しいもの、変革を生み出す力を持っていますね。

CX推進部の新設とフロント部門の一体化。組織再編の意図と顧客志向への想い

ー8月から組織が変わり、フロント組織であるプロシェアリング・コンサルティング部とFLEXY部を常務執行役員が統括するようになったり、CX部門が新設されるなどの変化がありました。具体的に1番組織として変わったのは、マーケティングとインサイドセールス・カスタマーサクセスの3チームが一体化したCX(※)部門かと思うのですが、この意図はどういったところにあるのでしょう?(※カスタマーエクスペリエンスの頭文字)

福田:我々の組織の強みの1つに、これまでもこれからもミドルの組織の強さがあると思っています。そのスピード感をさらに上げていきたいと考えて、今回CX推進部として再編しました。これまでは僕がインサイドセールス、カスタマーサクセスの組織をそれぞれ直ラインで見ていたのですが、それを束ねる存在が必要だと思い、CX推進部長の赤羽さんにお願いした形になります。

赤羽さんも元々マーケティングをずっと管掌してくれていて、過去にはインサイドセールスも管掌してくれています。今回カスタマーサクセスまでまとめてもらうことで、分業型営業組織で重要なミドル組織の意思決定の質とスピードを高めていくことが1番の狙いです。

また直近の2023年8月に実施した全社キックオフでは、「ミドルの組織は一見フロントを支えることがミッションのように見えるが、そうではない」というメッセージを発信しました。ミドル組織はフロントと同じようにお客様との接点の中で価値を提供し、自分の業務の中でお客様が感動する仕事を生んでいくことを目指すべきです。今回CX推進部の新設を機に、当社の中で、ミドルの組織の位置付けをもう一段階上げていこうと思っています。

ー逆に、体制や組織が変わったからこそ今度課題になりそうなことはありますか?

福田:CX推進部に解決して欲しい課題であり期待でもあるポイントは2つです。

1つはデータドリブンな意思決定組織に変革してもらうことです。これまでインサイドセールスやカスタマーサクセスチームはプロシェアリング本部を管掌していた私が直接見ていたこともあり、データによる効果測定なども行っていたものの、経験則に基づく意思決定になりがちであったのは事実です。
CX推進部ではデータ分析に強い部長の赤羽さんがミドル部門を統括することとなるため、データを活用した意思決定ができる組織に変革できるかどうかは、成長のキーファクターになると考えています。

もう1つは次世代リーダーの育成です。これは逆説的ですが、ミドル組織3チームを1人の部長が統括できるようになったことで、責任者の業務遂行や意思決定の難易度が格段にあがると思います。
一気通貫でミドル組織が意思決定と成長を目指す局面だからこそ、部長だけでなく、各チームのマネジャーやリーダーたちが自チームの枠を超えた全体最適を踏まえて自らミッションを遂行していけるように成長していけるかも、大きなポイントになると思います。

山口:間違いないですね。加えて、今回はCX部門が大きな組織再編のポイントですが、全社DXも引き続き強く推進していきたい成長ポイントでもあります。
これまで事業観点では、データを活用した新規事業という路線を模索してきました。2021年にローンチした当社初のSaaS「PROBASE」の利用社拡大と将来的な収益化も重要です。

一方、コーポレート部門でもDXを進めてきましたが、これまでは事業部門とコーポレート部門がそれぞれでDXを推進している状態でした。
これからは、部門の垣根を超えて事業責任者であり創業メンバーでもあるむーさん(執行役員の村上)と、DX推進部が連携して全社DXを推進していきたいと考えています。

ー率直にお話しいただきありがとうございました。意思決定の質とスピードというキーワードが印象的でした。次回、後編ではもう少しパーソナルな部分についても伺っていきたいと思います!