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観覧車

神社に吊るす絵馬に
20代で死ねますようにって書いた年の今頃
極刑を待つ僕等は
明日幸せになれるかなんて
飽きもせず考えながら
仰向けに寝転んで空を眺めてたっけ
ねえ覚えてる
最後の日のこと
もうこれ以上生きれる気がしないからと言って
古い遊園地の観覧車の中でキスをした後
遠くなった君はもう戻らなかった
まるで僕がいないみたいに
ただ君の最後の言葉だけがこだましていた
「例えあなたに未来がなかったとしても
 其れを悲しい事だとは思わないで」

笹に吊るす短冊に
今年中に死ねますようにって書いた後
僕は一人あの遊園地の観覧車に乗った
高い所からこの街を見下ろせば
君をもう一度見つけられると思って
だけど目が見えないんだ
涙で溺れてしまって
どうして僕は君に何も出来なかったのだろう
なぜ其れなのにまだ僕は生きているんだろう
ただひたすらに悔しかった
滲む視界の中
本当は僕が君に伝えるはずだった言葉を
もう届かない言葉を噛み砕く
「例え君に未来がなかったとしても
 其れを悲しい事だとは思わないで」

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