見出し画像

中国茶

中国茶は、日本では美容や健康に効果があるお茶として長く知られているが、代表的なのは烏龍茶であることは言うまでもない。
いったいどうして烏龍茶は日本でこんなに一般的なお茶になったのだろう。
中国料理の専門店で出される中国茶は、お食事と共にいただくのもあり、レストランだからこそいただける本場のお茶。というイメージから始まった記憶がある。日本人にとって、お茶といえば緑茶。お茶は緑色したもの、という概念があったと思う。中国料理レストランで出される濃い茶色のお茶や、いい香りのするお茶、ガラスのポットにお花がそのまま入ったお茶など、
緑茶の概念を打ち破る独特のお茶に興味津々だった若いころを思い出す。
烏龍茶は、大手飲料メーカーが缶入りやその後ペットボトルの飲料として普段飲みしやすく開発したことから、日本人に受け入れられるよう味の研究を重ね徐々にヒットしたことで、あらゆる飲料メーカーが次々に商品化し一般的になったと思う。
その烏龍茶は、、なんと中国茶の生産量全体のたった10%未満しかない種類のようだ!10%の大半は日本人が消費しているのではないかしら・・・?

中国茶

緑 白 黄 青 紅 黒 花

緑茶<りゅうちゃ>

不発酵
中国者全生産量の70% 最もポピュラー
日本緑茶とのちがい:日本では摘んだ生葉を蒸す。中国は窯で炒って発酵を止める
<ブランド>
西湖龍井(せいころんじん)産地:浙江省杭州市西湖周辺
 中国を代表する名緑茶=清代に皇帝への献上茶として珍重
 清明節(4月5日頃)前に一芯一葉で摘まれた「明前」が最上茶
碧螺春(へきらしゅん)産地:江蘇省呉県市の太湖周辺
 龍井と同等の高級緑茶
 名前の由来は早春に積まれた碧い若芽が、タニシに似た螺旋状のため
黄山毛峰(こうざんもうほう)産地:安徽省黄山市付近)
 景勝地、黄山の海抜1200Mの半山寺周辺の高地でつくられ、茶葉は黄白色 
 の産毛に覆われている。
 スズメの下に似ていることから黄山雀舌と呼ばれる
太平猴魁(たいへいこうかい)産地:安徽省黄山北側の太平県)
 長く大きな鮮緑色の茶葉と、蘭のような花の香が特徴
 1915年のパナマ万博で金賞受賞で有名に

白茶<ぱいちゃ>

微発酵
福建省で作られる生産量の少ない貴重なお茶
宋の時代から皇帝に好まれていた
天日または室内で干してわずかに自然発酵させ、茶葉表面に白い産毛が残っている。解毒・解熱作用あり
<ブランド>
●白毫銀針(はくもうぎんしん)産地:福建省政和県)
 政和大白種という品種の新芽だけを使う最高級茶
 白毫=白い産毛 針のような形=シルバーニードル
●白牡丹(はくぼたん)産地:福建省政和県中心
 政和大白種と福鼎大白種(ふくていだいはくしゅ)の芽と葉に水仙種の葉
 をブレンド=三白とも呼ばれる
 1922年に福建省でつくられる。香港で大人気
●寿眉(じゅび)産地:福建省各地
 白茶生産量の約5割 主に香港、マカオで消費
 名前の由来は、老人の眉に似ている

黄茶<ふぁんちゃ>

弱後発酵【茶葉製造工程で乾燥の前に「悶黄もんこう」】
麹菌などで軽く発酵

発酵に3日間という長時間をかけて丁寧につくられる
流通量が少なく高価なお茶
唐代、乾隆帝へ献上されていた歴史的お茶
<ブランド>
●君山銀針(ぐんざんぎんしん)産地:湖南省岳陽市
 生産量は年間40kgという希少品
 洞庭湖の君山という名の小島で取れる茶の若芽でつくられる
●霍山黄芽(かくざんこうが)産地:安徽省黄山市付近
 清代には献上茶になっていたがその後生産中止、1970年代に復活

青茶<ちんちゃ>

半発酵茶のこと
烏龍茶もこの分類
生産量は全体の10%未満しかない。生産地は福建省、広東省、台湾に限られる
<ブランド>
●武夷岩茶(ぶいがんちゃ)産地:福建省武夷山市
 岩韻(がんいん)と呼ばれる甘く深い香りが特徴
武夷四大岩茶
 「大紅袍」(だいこうほう)
樹齢350年超えの老木を母樹とする岩茶の最高峰
 「白鶏冠」(はっけいかん)薬用茶 
茶葉がトサカのように見える
 「鉄羅漢」(てつらかん) 
800年前の書物に登場した最も古い岩茶
 「水金亀」(すいきんき) 
2寺院間での所有権争いから有名に
●東方美人(とうほうびじん)産地:台湾、新竹県 ★台湾のみで生産
 
稲や茶の害虫ウンカに葉の汁液を吸わせ、虫の分泌液を介して強い香気を発生させる独特の製法
 発酵度70% 紅茶に近い色
●凍頂烏龍(とうちょううーろん)産地:台湾
、南投県鹿谷郷
 台湾を代表する高級烏龍茶。清香というクチナシの香り
 硬く締まった球形の茶葉

紅茶<ほんちゃ>

完全発酵
中国紅茶~渋みや苦味が少なくまろやか
福建省で青茶の発酵をさらに進めて完全発酵の紅茶をつくったのがはじまり
<ブランド>
●祁門紅茶(きいもんこうちゃ)産地:安徽省祁門県
世界3大紅茶のひとつ=ダージリン・ウバ・祁門紅茶
 1915年パナマ万国博覧会で金賞受賞
●正山小種(せいざんしょうしゅ)産地:福建省武夷山市
 松の木を燻して茶葉を乾燥、独特の薫香
 ラプサン・スーチョンという名でイギリスで親しまれている

黒茶<へいちゃ>

後発酵【茶葉製造工程で揉捻の後に「渥堆あくたい」】
重ねた茶葉を高温多湿な場所で微生物発酵させること
香港、広東で日常茶
かび臭さのある麹菌を堆積した茶葉に加えて発酵させる
雲南省、四川省、広西壮族自治区などで生産
<ブランド>
●普洱茶(ぷあーるちゃ)産地:雲南省昆明市
 緊圧茶:葉を固めたタイプ~沱茶とうちゃ(茶碗型)・餅茶ぴんちゃ
 (円盤型)・磚茶ぜんちゃ(煉瓦型)
 散茶:葉をばらしたタイプ
 油を分解。古いものほど風味やアルカリ度増、ヴィンテージとして重宝

●六堡茶(ろっぽちゃ)産地:広西壮族自治区
 製茶後、最低半年熟成。竹籠に入れて出荷され、古ければ古いほど価値が
 上がる

花茶<ほあちゃ>

お湯を注ぐと、花が咲くように開くお茶〝工芸茶”
「桂花茶」「菊花茶」「薔薇茶」・・・乾燥した花そのまま
「桂花烏龍」「毛峰香片」「茉莉花茶まりかちゃ」・・・青茶、緑茶、白茶、紅茶に乾燥した花を混ぜる
「白龍珠」ばいろんじゅ「荔枝紅茶」らいちこうちゃ・・・花や果物の香だけを移した
「茉莉花茶」ジャスミン茶は中国緑茶全体の50%中国で最も人気のあるお茶
香片(こうへん)との呼ばれる

中国茶の入れ方

発酵度によって温度を変えるのがポイント
(一人分:茶葉の量3~5g、湯量100~150cc)軟水
●緑茶(不発酵)        75~85℃ 2~3分(耐熱ガラス器,蓋碗)
●白茶・黄茶(微発酵・弱後発酵)70~80℃ 3~5分(耐熱ガラス器,蓋碗)
●青茶(半発酵)        85~90℃ 1~2分 (茶壺、蓋碗)
●紅茶(完全発酵)       90~100℃  1~2分  (茶壺、蓋碗)
●黒茶(後発酵)        95~100℃  1分       (茶壷)

※急須=茶壺チャフー 
※蓋付きの茶杯で、急須と湯呑両方の役割=蓋碗ガイワン


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?