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映画『リング・ワンダリング』と私②

絶賛公開中の金子雅和監督作品『リング・ワンダリング』、公開開始からこれまで観ていただいた方々からの感想は大いに関係者を励ましてもらえる、裾野を広げていける可能性の言葉に溢れています。
こうして、一本の映画が形として多くの人に観ていただくまでの過程をふと顧みるに、かなりの時間と労力が今更ながら必要不可欠であった点に行き着きます。

エポックで捉えると以下になります。
・企画の発端
・シナリオハンティング
・脚本作り
・キャスティング
・出資交渉
・撮影
・編集
・配給スキーム
・劇場交渉
・宣伝

・劇場公開

この流れの中において、私自身については企画の発端段階から携わらせていただいております。間違いなく言えるのは、どの段階においても練りに練られていく、ある意味、妥協の要素は見当たりません。
金子監督としても海外での評価も高い『アルビノの木』以来の長編映画制作に懸ける並々ならぬ思いは当然あるとして、単純に撮れれば良い、作れたら良いというコンビニエンスな方法論は一切選択しませんでした。

工程には記載していませんが、ロケハンも金子監督自身で相当数、繰り出されています。通常は制作部がコンタクト、リストアップしたものを監督が選ぶというのが一般的ですが、金子監督は自らの目で確認し確信できた場所で撮影を行います。一見、当たり前の様で当たり前ではない、時間を掛けて決めていく過程を繰り返す事で作品の精度は自ずと高まっていくのです。

段階そして段階をクリアにしていく過程での逡巡しながらもあるべき形に収めていく点で、映画制作には忍耐強さは必須条件ですが、私が携わらせていただいて思うのは、やはりどんなに映像技術に優れようがスキルがあろうが人格に勝るものはないということです。
昨今、巷に上がる制作過程におけるハラスメント等問題の根幹は人格の点を見誤ると‘形になればそれで良し’の考え方が優先される事態を招くことに結果、生じている証左でもあります。

金子監督のものづくりにおける真摯な姿勢は段階においての困難な状況も、いつしか好転の流れを生み出していると、私にはそのように映ります。

静岡県の小山町に金子監督とロケハンに訪れたことを思い出します。小山町は業界ではちょっと知られたロケーション場所として、行政もドラマ撮影には協力的なスタンスでもあり、こぞって東京の制作会社はアクセスも悪くない小山町を使うケースがあります。
今回の『リング・ワンダリング』ではロケ地候補の一つとして、まずここからのベーシックな視点からイメージの深度を追求していったのだと解釈しています。
そこで道々、金子監督と会話したインディペンデント映画制作、または商業映画の有り様といった闊達な意見交換の時間は今日に至る、あるプロセスの一部でもあったと懐かしくもあります。

東京は4週目に入り、地方も都市圏での上映がスタートされる模様です。
お近くの劇場でぜひご覧いただけることを願っております。

映画『リング・ワンダリング』下関特別上映
監督・金子雅和氏、
俳優・長谷川初範氏 舞台挨拶予定
2022.3.26(sat)-27(sun)
(26日は全回、27日は1回目、2回目の回)
10:20〜 13:20〜 16:20〜 19:20〜(103分)
前売り:1,100円/当日:1,300円
上映館:シーモール下関2Fシーモールシアター
http://www.seamall.jp/shopguide/2f-theater/

山口県下関市竹崎町4-4-8

※前売り料金は3/25までのご購入の方に限ります。
・3時間無料駐車サービス
(会場まで駐車券をご持参ください)
・前売券取扱
シーモール1Fインフォメーションカウンターにて発売中

ちなみに冒頭写真は足利市での撮影場所近くの公園入口付近のワンショットです。

足利尊氏像が公園内にありました。
意外と中世好きなので現場的に良いロケーションだなと思ったものです。

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