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関西の舞台挨拶再開は、アップリンク京都から〜高谷史郎×浅井隆の演劇トーク

 まだまだ東京は感染者が二桁台だが、関西は感染者ゼロが続き、だいぶん人出が戻りつつある。とはいえ、厳密な感染防止対策を行なっている映画館では当面舞台挨拶は無理という判断をしているところも多い。『止められるか、俺たちを』『戦争とひとりの女』『SRサイタマノラッパー』をはじめズームによるリモート舞台挨拶というのが関西では主流だった。

 そんな中、関西の舞台挨拶再開の先陣を切ったのが、6月11日にオープンしたばかりのアップリンク京都。アップリンク代表の浅井さんが、寺山修司主宰の天井座敷に所属していたことを先日のホドロフスキートーク(2014年分)で初めて知り、アップリンクの配給作品に舞台系(演劇、バレエ、フラメンコなど)のドキュメンタリーが多いのにすごく納得がいったのだけど、オープニング上映作品として奈良出身、今は京都で活動しているダムタイプの高谷史郎初のドキュメンタリー映画『DUMB TYPE 高谷史郎-自然とテクノロジーのはざま』がラインナップされ、上映後に高谷さんとのトークショーが企画されていたのだ。高谷さんが京都在住(もしくは関西)ということもあるのだろうが、坂本龍一がその才能を早くから認め、一緒に作品を生み出すなど世界で活躍している高谷さんと、演劇に精通している浅井さんとのトークは、生トークが久しぶりということ以上に非常に刺激的。今は座席数は半分だが、もちろん満席だ。最前列との間に飛沫拡散防止のビニールカーテンを設置し、それ自体が演劇の装置のよう。

 実は京都で3月に開催予定だった世界文化交流祭-2020に新作の「2020」を披露する予定だったというダムタイプ。トークでは、無観客で上演した「2020」のスライドを見ながら、舞台のコンセプトや、舞台ができあがる経緯、セットのど真ん中に穴を設置した意味など、幻のパフォーマンスの舞台裏をたっぷりと語ってくださった。映画もそうだが、世界で活躍している人でも関西弁を貫いているというだけで親近感たっぷり。とことん議論して作り上げるダムタイプは「デモクラティックな集団」なのだ。ダムタイプのライブパフォーマンスも上映されており、アップリンク京都は関西の他の劇場にはない、演劇、パフォーマンスと映画の距離を近づけてくれる場所になるのではないかという期待が高まった。都道府県間の往来自粛が解ける来週末には、いよいよ『許された子どもたち』内藤瑛亮監督の関西3館舞台挨拶が予定されている。映画館ならではのライブ体験が戻ることも、映画館に観客が足を運ぶ大きなモチベーションになるので、今は足の遠のいている方も、足を運んでもらえたらなと思う。

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