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映画が第七藝術になる時代(2):初の女性監督とゴーモン社

映画業界は今なお男性社会の色が濃く、女性監督の少なさに関しては、たびたびメディアでも取り上げられています。

しかし、意外にも20世紀を迎える前に女性監督第一号は登場しているのです。フランスのアリス・ギイという監督です。彼女は、1895年に創立したゴーモン社の秘書でした。

ゴーモン社は、自社開発したカメラの販売で資産を築き、風景映像を中心とした実写映画を製作していました。しかし、世の中の需要が高まった結果、劇映画の製作に乗り出しました。その時、この新事業の担い手として抜擢されたのが秘書のアリス・ギイだったのです。

1986年の『La fée aux choux (キャベツの妖精)』です。赤ちゃんに対して「Mon petit chou(私のちっちゃなキャベツ)」という表現にかけて、巨大キャベツから赤ちゃんが生まれてくるという、外国人からみるとちょっとシュールな作品です。『Le Glu (糊)』のような、少年のいたずらを題材にした作品もありますが、女性を扱った作品が男性を扱ったものと同じくらい多いです。

彼女は1910年に旦那と一緒にゴーモン社の事業のためにアメリカへ渡り、その後独立しました。

そんなゴーモン社ですが、その後ルイ・フイヤード(『ファントマス』の監督)などの演出家たちによってヒットをとばします。

パリの一角に大きな撮影所を建て、モンマルトルにゴーモン・パレスと呼ばれる巨大映画館もオープンさる、フランスの2大映画会社のひとつとして成長していくのです。

現在はコアなファンが多いレア・セドゥの一家が取り仕切っています。
最近では、車椅子の大富豪と黒人のちぐはぐコンビの笑える感動ストーリーでヒットした『最強のふたり』がゴーモン社の作品です。

次回はゴーモン社のライバル、パテ社のお話を予定しています。


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