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映画「海辺の彼女たち」をみて~行政書士・社会福祉士の立場から~

中野ポレポレで上映中の映画「海辺の彼女たち」を観てきました。
わたしより先に観に行った友人が、満席でびっくりしたと言っていましたが、わたしが、観に行った時も平日の昼間にもかかわらず、コロナシフトで、座席を一つ置きに空けてあったものの、会場は満席でした。

この映画は、ドキュメンタリーなのかと思わせるようなリアルな映像で、
ストーリーも、フィクッションとはいえ、限りなくノンフィクションだろうなと思わせる展開です。冬の海を背にしたどこか地方都市を舞台にしていることもあり、観ているわたしのほうまで、まるで冷たい海風が吹いてくるような錯覚をおこさせるのでありました。

もともと、映像フィルムは、事実をそのまま伝えることができるとされて、そこが大きな特徴だったのですが、しかし、皮肉なことに、リアルな現実ではなく、フィクションである物語を映し出す映画のほうに、人々は熱狂してしまったのでした。観たいものは、現実ではなく、現実から逃避できるフィクションであり、映画館で過ごす2時間が、現実を生きるうえでの心の糧になっていく。わたしもそんな映画を愛する映画ファンのひとりです。

しかし、やはり、この映画のように、フィクッションとわかっていても、今そこにある現実をみせられるようなリアルな作りになっていると、どうしても、職業がら、突っ込みたくなってしまうのも事実です。

そんな本来の映画鑑賞の視点からは、離れてしまうけれど、わたしがケースカンファレンスのように突っ込みたくなった箇所をご紹介します。

「海辺の彼女たち」あらすじ
ベトナムから来た3人の女性たち、アン、ニュー、フォン。彼女たちは日本で技能実習生として3ヶ月間働いていたが、ある夜、過酷な職場からの脱走を図った。ブローカーを頼りに、辿り着いた場所は雪深い港町。不法就労という状況に怯えながらも、故郷にいる家族のために懸命に働き始めた三人。安定した稼ぎ口を手に入れた矢先、フォンが体調を崩し倒れてしまう。アンとニューは満足に仕事ができないフォンを心配して、身分証が無いままに病院に連れて行く。そこでフォンは二人にある秘密を打ち明ける――。

1.行政書士として考えてしまうポイント

あまりの労働環境の悪さに、技能実習生が失踪してしまうという報道記事をよく見ます。この映画でも、ベトナム人女性が、過酷な労働を強いられるのに、残業代も支給されず、これでは、家族にろくに仕送りもできず、日本に来るために負った借金も返せないと、実習先を飛び出して、ブローカーの口車に乗ってしまうのですが・・・。

「ちょっと、待った!失踪する前に、まずは相談を!」と思わず、わたしは叫びそうになりました。そんな違法行為をやっているような企業や管理団体があったら、すぐに入管に相談すべきだし、もしいきなり入管に相談するのが敷居が高いのなら、わたしの事務所に連絡してきて!力になるからと、映画の中の彼女たちに言っていました。(心の中で)

もちろん、現実には、技能実習制度は多くの問題を抱えていることは、百も承知です。しかし、法律に基づいた正規の制度なのですから、問題を解決する方法も探れるはずだと思うのです。

逃げ出して、不法滞在になってしまう前に、相談できるところがあったら、外国人支援のNPOも支援している行政書士事務所もあると思いますが、わたしたちの事務所もそのひとつでありたいと思っています。

2.社会福祉士として考えてしまうポイント

この映画の彼女たちのように、外国人の在留資格のワク組みから外れて、不法滞在となってしまうと、一番困るのが、医療健康保険の問題です。

そのため、在留カードや保険証を偽造したり、高額な医療費を払えず、ヤミで・・・なんてことになってしまうわけです。
医療保険と医療体制の問題は、もともと日本の大きな社会問題のひとつですが、そこに無保険の外国人の問題まで入ってくると、これは大変なことだと思わされました。このコロナ禍で、ただでさえ、疲弊している医療体制や病院経営の難しさについても、あらためて考えさせられました。

思ったことはいろいろあるのですが、とてもここでは書ききれませんでした。また、何かのおりにでも、書き留めておきたいと思っています。

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