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ファッション小説で一番好き。「試着室で思い出したら、本気の恋だと思う。」

以前友達から勧められた本。いまだ、ファッションに関する小説で、なかなか超えるものがない。

さまざまな女性たちが、とある路地裏のセレクトショップで服を買うことで、素直な気持ちを取り戻し、自信や希望を取り戻していく。淡々とした語り口だけど、清々しさをもらえる一冊なので、恋愛とファッションが好きな女性に、本当におすすめしたい一冊(本屋さんでもお気に入りの店員さんがいると見えて、よくフェアで並んでる。すでに読んでる人もいるかもだけど…)。
とにかくいい、という繰り返しの感想しか出ないので、あとはいつもの通りの持論↓(^◇^;)

外出自粛中、断捨離をしてから読むと、運命の一着、というコピーがやけに新鮮に感じた。

そういう意味で私が真っ先に揚げるのは、ラベンダーの花柄レースのスカート。間違いなくお気に入りで、週一度の出社も、このスカートを選ぶことが多い。

このスカートは、神戸に旅行中、とあるビルの2階にあるお店で買った。そのお店は本当に素敵なお店で、私はこのお店だけのために、もう一度神戸に行きたいって思うぐらい。
セレクトショップ…なのかな?? ある意味店主の目利きではあるけど、服の値段は、ニットが2900円、ぐらいだったかな…総じて高くはないと思う(どの価格を持ってして安いかというのも難しいけど…)。このスカートも、たしか3900円ぐらい。

たぶん、小柄な方向けかと思うんだけど、20代〜50代のそれほど身長の高くない女性たちが、とても楽しそうに選んでる。友人とワイワイしながらあれもこれも欲しいわね、なんて。そんな感じ。
私も、こんなに欲しいものがあるなんて…とすごく悩んだ。たくさん試着した。
一つしかない試着室は、それぞれ譲り合ったり、頭を下げあったり。。でも待ち時間も、服をずっと見ていられるから苦じゃない。試着したい人たちの気持ちもわかったし、あ、あれいいな、なんて試着してる人をチラッと見たり。
レジで「試着室おまたせしちゃってごめんなさい…!」という店主がまた、とても気さくで素敵な人。ああ、この人の雰囲気が、このお店の雰囲気なんだ、とわかった。服も接客も好き。たぶんバイイングも好き。好きがいっぱい溢れてる。

…という楽しい思い出があって、ここで買った服は、魔法がかかってるとしか思えないぐらい、着るのが楽しい。3着買って、全部お気に入りで、全部、着尽くしたい(着倒す、という感じではない)。

逆に、自分のハンガーラックにかかっているセレクトショップや、インポート系ショップで買ったものを見ると…。(もちろん素敵なお店はたくさんありますよ!)。とても素敵なのに、なぜか取っておいて飾ってしまってる感じ。刺繍が素敵すぎて。シルエットが綺麗だから。何か良い機会があれば。。でも、好きなら着るよね。なぜだろう?

あ、わかった。着ると緊張する。着るための支度がいる。着るための気合がいる。
その緊張感が好きな人にはいいんだろな。
高くて良いもの、って自分を高めてくれる。
私はどちらかというとリラックスしたいのだと思う…(おかげで、二の腕とかリラックスしっぱなしだけど)。

いいものを買った、のいいもの、って、本当になんだろ、と思う。私は自分の心と体に合っているもの、だと思う。

本の感想に戻ると(戻るんかい)、本文中では、服を買うことがある種のカウンセリングも兼ねているのかもな、とも思う。もちろん最後に買うのを決断するのは、主人公たちだけども。。

消費者にとってはカウンセリング的な要素、背中を押されることは嬉しくても、売り手にそれを求めるのもなんかなあ…とも、ずっと思ったりしていた。

この本のエピローグに、店主自身のことが書いてあって、それが鍵になるのでは、と思った。ネタバレしちゃうから詳しく書かないけど、売り手としての幸せ、そしてまた、服を楽しむ女性としての幸せについても書かれている。
そういえば今回初めて、各主人公に感情移入する側だけでなく、店主側にもフォーカスしたな…。

エピローグを読み返してみて、やっとこの本を読み終えた気がしました。


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