見出し画像

重く切ないミステリー『Nのために』(第1話〜4話視聴後)

現在Tverで配信中の旧作『Nのために』(2014)。第1話を見たら引き込まれて、今のところ公開されている第4話まで一気に見てしまいました。

2004年にタワーマンションで起こったセレブ夫妻の殺人事件。犯人は逮捕され10年の服役を経て出所してきた。その事件を個人的に追う元警官は、この事件の現場に居合わせた四人のうち二人を以前から知っていた。15年前、現役時代に長年駐在していた瀬戸内海の島の高校生で、よく知る仲だったのだ。二人は夫妻の殺人現場に偶然居合わせたというが、そんな偶然があるだろうか。疑わしく思うのは、15年前に島で起きた事件にも二人が居合わせていたからだった。

ある日突然若い愛人を連れて帰宅し、妻と子ども二人に「お前ら出ていけ」と言って追い出すアタマのおかしい父、杉下晋を光石研が演じていますが、どんな役でも自然にハマりますね。2021年4月期ドラマでは『珈琲いかがでしょう』で主人公青山の珈琲の師匠でホームレスのたこ、『桜の塔』で警視総監を争う三人の中の一人、東大派の警視監吉永を演じていました。異なるキャラクターだけれど、どれも光石研といえば光石研だし、どれも光石研でありながら“どれも同じ”にはなっていません。

夫のひどい仕打ちを現実として受け止められない妻(山本未來)は、メンタルがだいぶ壊れてしまいます(崩壊はしない)。
この虐待環境、酷すぎて見ていて気が滅入ってきます…

しかし、そんな中したたかに生きていくと決意した娘、希美(榮倉奈々)、強いです。
希美が強くなったのは、母が弱いからであり、弟がいるからだと思います。これが、兄妹だとまた違った風になるでしょう。兄妹の女の子と姉弟の女の子ってなんか違うんですよね。(兄弟の生まれ順による性格の違いって、統計的には優位差がないらしいのですが、体感的にはある気がしてます)

虐待環境に見ているこちらの気が滅入ってくるのですが、希美はめげないし、幼馴染みの成瀬慎司(窪田正孝)と励まし合う姿に少し救われるのと、冒頭に置かれた2004年のセレブ夫妻殺人事件の真相が気になり、つい見続けてしまいます。

画像1

狂言回しとなる元警官を演じる三浦友和は、見ていて安心感のある俳優の一人です。作品のアンカーとなるような役割を演じることが多いし、そうでなくても画面が落ち着くような感じがするんです。真面目っぽい配役が多い気がしますが、やさぐれた探偵とかちょっとゲスな週刊誌記者、みたいな役もいいんですよね。

画像2

これまでのところ、希美と成瀬くんのキャラクターと二人を取り巻く状況がじっくりと描かれ、二人の秘密を視聴者が共有するという、引き込まれずにはいられない構成となっています。
間違いなく、第1話を見たら見続けたくなるようなドラマですね。
続きが楽しみです。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?