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やめてよ、父さん。 『シン・エヴァンゲリオン劇場版』

庵野秀明監督『シン・エヴァンゲリオン劇場版』を観てきました。

全く何も知らないため、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』をAmazonpプライムで予習してから観に行きました。

予習しても、一度見ただけではわからない部分も多かったのですが、とりあえず世界観だけは掴んで(まあ掴み切れてはいないでしょうが)。

大ヒットしていてコアなファンも多い作品なので、ネット上や出版物などで深い考察がなされていることと思います。
なので、ここでは「エヴァンゲリオンに関して全く作品知識がなく、上記三作品を一度見ただけで考察等にも目を通していない、日本のアニメーションの知識もない人」が『シン・エヴァンゲリオン劇場版』を見てどう感じたか、を書いてみます。

まず、細かい設定とかは全然わからないし、固有名詞さえ覚え切れませんでした。誰(どういう勢力)と誰が戦っているのかも、誰と誰が敵対しているのかも、序からシンまでの間に変化しているようだったり、いや、そもそもそういう構図じゃなかったりするのか、とその辺も理解し切れていません。使徒のことも、これはそもそもなんなんだ、というのがわからないし、「第1の使徒であり第13の使徒でもある」みたいな部分は謎のままでした。

というくらいわかっていない私がわかったわかり方というのは、これは

自分と世界を繋いでくれた最愛の妻の喪失を整理し切れず、自分の心のぐちゃぐちゃを整理するのに世界を巻き込んだ男のいかれた所業に、その男に捨てられながらも愛されたいと願っていた息子が自己の葛藤を乗り越えた末に終止符を打つ物語

かなあ、という感じでした。

14歳の少年が主人公で、自分を捨てた父の愛を追い求め(その間は14歳のまま変わらない)、父を乗り越えることで大人になった、という成長物語の王道かと思いますが、それほど単純に言い切ってしまっていいのかどうかは自信がありません。

謎の部分や言及されていない部分が多い作品で(しかし、以前の作品に比べると『シン』は比較的わかりやすいのかもしれません)、この作品が人気があるというのは、先日ネットニュースで見た“映画やドラマを見て「わからなかった」という感想が増えた理由”に書かれているような、わかりやすい作品を求めている人ばかりじゃないんだなとホッとします。

もちろん、アニメーション作品としてキャラクターのビジュアルや、画像処理なども人気の要素ではあるでしょうが、解釈の余地がたくさんある作品だからこそ、多くの人を引きつけている面もあるでしょう。

登場人物たちが、自分の“思い”や“考え”などをほとんど吐露せず、話し合ったりもしない、というのが興味深い点の一つでした。観客は必然的に、そこで起こっていることだけを頼りに物語を構築する必要があります。流し見や飛ばし見ではそれは難しいでしょう。

シンジ以外の主な登場人物には女性が多く、彼女らを掘り下げるのも興味深いだろうなと思います。(ミサトも結果的に父の思想と戦っていたようだし)
そのような考察をされている方もすでにいるでしょうね。


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