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演劇好きにはなんか嬉しい 『あいつが上手で下手が僕で』

『あいつが上手で下手が僕で』は10月開始ドラマの中で結構好きな作品になっています。noteで検索しても自分の記事しか上がってこないのが不思議(noteの検索機能を使いこなせていないのかな)。ハッシュタグつきだとほんっとうに自分の記事しか上がってこなくてびっくりしました。

出演者がみな舞台の俳優さん、ということだけしか知らなかったのですが、一人一人調べてみたら、みなさん主にいわゆる2.5次元作品に出演されていて、しかもスターの方々らしい。2.5次元には疎くて知りませんでした。
となると、この作品は2.5次元界隈ではたぶん話題になっているでしょう。

脚本や監督で本作に関わっているヨーロッパ企画さんは、1998年に結成された劇団で、京都を拠点にしているそうです。こちらも知りませんでした。

noteのタイトルを「ドラマ、ときどき映画」にしていますが、去年からドラマを見始めるまでは「映画、ときどき演劇、ごくたまにドラマ」というのが自分の中の「好き」の順番でした(必ずしも実際の鑑賞頻度ではない)。
演劇は好きで頻繁に観たいけど、映画に比べたらチケットが高くて、残念ながらなかなかそうも行かないんです。

『あいつが上手で下手が僕で』は、最初は予備知識なく見たわけですが、普通のドラマとテイストが違っていて、それはなんだろうと考えると、あー演劇っぽいんだ、というところに落ち着きました。

極たまに外の場面もあるものの、上の楽屋と下の舞台&客席、この二つの場を使った演劇をカメラで撮っている感じです。カメラは場の外からも撮るけれど、場の中にも入って行く。大抵導入は、場に入って行く視点人物の後ろについて一緒に入って行きます。そこから自由に動く。必然的に、芝居は定点カメラを意識したものでなく、常に全方向からの視線に耐えうるものになります。そして多くの場面がワンショットの長回し

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ストーリーは、売れない芸人たちの人間模様を描く青春群像劇で、それだけでもおもしろい内容になっていますが、“芸人コンビ”という特殊な人間関係のぐっとくるところをさりげなく表現して、「うん、何かいいもん見た」という気にさせてくれます。コンビって、友達とか仲間とかブラザーフッド とかでは言い表せない、夫婦や家族に近いけどまたそれとも違う、ものすごく特殊で濃厚な関係性です。本作は毎回それにまつわる話が展開されます。

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彼らの中には“元コンビ”という関係の二人もいます。これもまた別の濃厚な関係性で、ここら辺の描写もおもしろい。

特に期待もせず軽い気持ちで見始めた本作ですが、毎週楽しみに見ています。漫画やゲームの舞台化を2.5次元といいますが、2.5次元俳優(*)たちが演じる、テレビドラマと舞台との中間のような作品はなんと呼んだらいいかな、などと考えたりしています。

とにかく、頻繁に演劇鑑賞に行けない身として、本作は嬉しい作品です。

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* 個人的には、俳優は俳優であって、2.5次元というカテゴリーにはめ込む必要はないという考えです


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