ブラザー以上BL未満 『准教授・高槻彰良の推察 Season 1』
2021年8月から始まった『准教授・高槻彰良の推察 Season1』、なんとなく見ちゃってます。
公式サイトはこちら。
最初からSeason 1と謳っている通り、Season 2の放送もすでに決まっているんですね。wowowで10月10日からだそうです。wowowでしか見られないなら、2は見られないなあ。
澤村御影氏の人気小説が原作ということです(シリーズ6巻プラス番外編が既刊、コミカライズもされている)が、ライトノベルにはあまり馴染みがなくて、作品も作家さんも知りませんでした。
ライトノベルって、マンガについでテレビドラマとの親和性が高いんじゃないでしょうか。
“異能”を持った准教授と、“孤独”を抱えた少年の目線を通じて、“人と繋がること”の大切さを描いたヒューマンミステリー!(公式サイトより)
異能とか怪異とか都市伝説とか、若者が一度は興味を持つようなトピックで構成されていて、主演がジャニーズの伊野尾慧さん、神宮寺勇太さんなので、視聴者も若い人が中心なのかなと思います。
私がなんでつい見ちゃうかというと、高槻彰良准教授(伊野尾慧)と深町尚哉(神宮寺勇太)の、ブラザー以上BL未満の空気感のせいです。
これは原作でもこんな感じなのか、それともドラマだけなのか、それはわからないのですが、ソフトな人あたりでぐっと距離を詰めてくる高槻准教授と、それに対してドギマギする深町くんのあの空気感の演出は、はっきりと狙っていると思います。
彼らは単なる“教師と学生”ではなく、異能という共通項で結ばれた関係であり、深町くんにとっては高槻准教授が心理的に頼れる兄のような存在になっていて、高槻の方も深町くんを弟のように慕っています。
その上で、高槻が深町くんにかける言葉が妙にきゅんとくるものだったり、あるいは二人の顔の距離が異様に近かったりして、BL方面へ行こうと思えば容易に行ける状況が作り出されているんですよね。
仮に深町くんの役どころが女の子だったら?と考えると、これが全然おもしろくなくなりそうな気がするんです。
女子学生として、院生の生方瑠衣子(岡田結実)が研究室にいますが、二人からは若干距離がある。男性教員と女子学生の距離が近過ぎるとコンプライアンス的に色々面倒なことが生じてしまうということを脇においても、ここはやはりブラザーフッドで行きたいです。
なぜかっていうと、まあ、私の趣味ってことになっちゃいますかね。笑
真面目な話、人と人との関係性って実は無限にあるんじゃないでしょうか。
家族という関係一つとっても血が繋がっていたりいなかったり、特に現代においてはその内容は多様です。友情にしても恋愛にしてもいろいろで、例えば友情と言ってしまうとちょっと違うような淡い恋心を含んだような関係とか、あるいは家族に近いような関係とか。
その、友情以上でちょっと恋を含んでるっぽいけど、決して性愛には至らないような関係、みたいなものって、案外現実によくあるような気がしていて、しかもそれは性別を超えたものだったりします。
そしてそのような関係が、一番お互いに優しく穏やかでいられる関係のような気がするんです。
友情だとまだちょっと遠慮がちな部分があり、家族だと踏み込み過ぎる、恋愛とか夫婦だともう色々な要素が入って来すぎる……
そういう意味で本作の“ブラザー以上BL未満”な関係ってなんかいいんです。この関係性にはまだ一般的な名称がありません。そしてこういう関係性を描いたドラマってまだあまりないんじゃないでしょうか。
“人と繋がることの大切さ”を描いたヒューマンミステリー、と謳っているので、そもそも人間関係を描こうとしているドラマではありますが、この微妙な関係性を意識的に打ち出しているのならば、侮れない作品だと思います。
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