月の満ち欠け 鑑賞

純愛と狂愛は紙一重だ。

1人の男ともう1度会うため2度も生まれ変わりをしてしまう女の執着と、上手く愛せず2度も愛した女を死なせてしまった男の執着とは一体何が違ったのだろうか?
1人の相手に対して一生だけでは抱えきれない想いを抱いたことは同じなのに。

どちらも同じように執着を孕んだ愛だったとしても、相手に求められていれば一途な純粋な愛として受け止められ、相手に求められないものであったなら狂った愛へと変わってしまう。
正しく愛することは難しい。

生まれ変わりを繰り返す瑠璃が満足する日は来るのだろうか。
あきらくんにまた会えたら?あきらくんの恋人になれたら?あきらくんが死んだら?
幼少期に高熱を出して人格が変わる。じゃあそれまでの人格はなかったことにされてしまうのか。
成仏のできなかった魂が他人の肉体を乗っ取ってしまったかのようにも思える。

この一連の生まれ変わり物語を「愛が産んだ奇跡」などと呼んでしまっていいのだろうか?
私は一種のホラーのような恐怖感を抱いた。


生まれ変わりが本当にあるのだとしても、私は生まれ変わりたくないし、生まれ変わりだなんて言って目の前に現れてほしくはない。
そんな執着を残さない人生でいたい。
たとえ執着が残ったとしても、その時は潔く幽霊として残っていようと思う。

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