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トレント(イタリア紀行:トレンティーノ)

アルト・アディジェのボルツァーノからの帰りに寄ったトレント。

歴史が面白すぎて、Castello del buonconsiglioに入り浸っていました。

何が面白いって、支配と受容の歴史が折り重なる所。

地政学的なフロンティアとしての宿命なのか、選択なのか。
それを研究する手法とは。

研究テーマが1つ見つかりました。

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〜以下、全然まとまってない雑記〜

歴史の理解は、通奏低音の如く全体を貫くダイナミズムと、人物や土地のマイクロヒストリーの行ったり来たり。

例えば、インド洋史では’海’を媒介とし、longue durée(イベントを記述する歴史的手法événementielleではなく、長期的な構造を研究する歴史の手法)で1000年かけてインド洋で育まれてきた文化構造を学ぶ。

一方で、大西洋史では’人’に焦点を当て、植民地高官の手記や議会派議員のスピーチをつぶさに見て、その人の理論やその理論を生む背景を理解する。

オリエンタリズム史では当時最先端のコスモポリタンであるイスタンブルにおけるヒトモノ情報の交流を手紙から読み取る。

具体と抽象を行ったり来たりしてはじめて納得出来る何故と、新たに生まれる何故。
膨大な知識と多様なアプローチの積み重ねで糸が繋がる。

だから、時間がかかるのです。
花が咲くのは何年後になることやら。と思うヒストリアンの卵の今日この頃。

中でも、私は「文化の結節点」が好き。

ちなみに、東大の世界史は、大航海時代やオリエント貿易など、実はこうした「異なる文明の出会い」のテーマがよく出題されてた。
トレントは流石に見たことなかったけど、カルカッタやウィーンとかは良く問題に出てきた。
今なら東大の教授が何故こういう問題を作りたがるのか少し分かる気がする。

その時歴史は動いた、というのは単線ではなく、いつだって複線の結果。
書かれた歴史は、その裏の立体構造を見て初めて意味を持つ。

あと、仲間には感謝。
毎週木曜日の夜には、持ち寄りのディナーを囲んで、テーマを持ち回りでディスカッションする。
年もバックグラウンドもバラバラ。でも学問への情熱と各々の知識の円が重なり合う議論の場が、どれだけ刺激的なことか。

あまりに勉強する事が多くて圧倒されるけど、この仲間となら乗り越えたいと思える。本当に幸せなこと。

というわけで、オーストリア国境の山から帰ってきて、今日朝9時からの授業で眠いけど、明日のプロテスタンティズムと資本主義の本も読まなくてはいけないのだけど、たぶんあと5分で寝る。

ボナノッテ。

P.s. トレントの様子をば。

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Castello del buonconsiglio。

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中にあった、トレント公会議の絵!対抗宗教改革。

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3回増築されたお城。その時の情勢とニーズを反映した建築。

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今までで食べたケバブで1番美味しかった。しかし、何故ケバブ?それは歴史が語るところ。

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