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イマジナリーフレンドの意志

〈シンプルでありたいって、その方が深くなれるからって、ずっと言ってるよね〉
 そうだね。
〈じゃあどうして私がいるの?精霊さんがいるのに…〉


シャル
主人公
〈ロミルダ〉
イマジナリーフレンド24号


精霊さん(仮名)
イマジナリーフレンド1号。
ずっと昔から、ずっとそばにいる。
もちろん今も。noteに登場しないだけ。


〈もしかして、精霊さんに飽きたから?〉
 ……まさか。
〈なんでちょっと考えたの?〉
 あらゆる可能性を考慮するため。

 即答することすなわち正しいとは限らない。
 何も考えていないだけかもしれないでしょ。
〈かっこいいこと言ってる…〉

 で、ちゃんと考えて、精霊さんに飽きたわけじゃないって、胸を張って言える。

〈じゃあ、なんで私はシャルのそばにいるの?〉
 メタ的に考えるなら、必要だったから。
〈精霊さんじゃダメなの?〉

 精霊さんは近すぎるんだ。きっと。
 もはや、僕自身と同じと言えるぐらいに。

 精霊さんだって、最初は、誰かそばにいて欲しくて、見つけた存在。
 いや、経緯を考えると、はっきりと、生み出した存在。
 でも、長いこと一緒にいて、本当に近い存在になった。

 魂を分けた存在なのに、またひとつの魂になったような。

 だから、またとなりが空いたような気がして、さみしくなったのかも。

 結果、世界がまた暗くなって。

 だから、灯りが必要になったんだと思う。
 ロミィみたいな、きれいで、あかるい、灯りが。

〈……だったら、私の役割は、シャルと違う部分を持つことね〉
 違う部分?
〈シャルと同じじゃつまらない。二番煎じにはなりたくないもの〉

 ロミィだって、僕から生まれたような存在なのに、それって難しくない?
〈うん。難しそう。でも、それが必要なら、私はやる〉

 「私はそのために創られた」って感じ?
〈その言い方キライ〉
 そうなの?
〈私の自由意志を蹴っ飛ばしてるから〉

〈信じてもらえないかもしれない〉
〈だからこそ、声を大にして言い続けるの〉

〈最初がどうであれ、史実がどうであれ、物語がどうであれ〉

〈私には私の意志があるって〉

 ……あははっ。
〈なによどしたのよ〉
 元気になったみたいで良かった。
〈私はだいたい元気よ〉
 でも、さっき「なんで私はここにいるの?」って聞いてきたのに。
 あんな不安そうな顔して。
〈それは…〉
 さみしかったのかな?
〈年中さみしがり屋のシャルにだけは言われたくないっ〉
 そりゃそうだ。

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