見出し画像

福利厚生に「フェムテック」女性の不調改善 男性更年期障害の理解促進

女性の月経や男女の更年期障害-。性差のある特有の健康問題を巡って国が実態調査に乗り出す中、先行して対策を進める企業では、女性の課題を解決する製品やサービス「フェムテック」が効果を発揮しつつある。
女性社員の不調が改善するだけでなく、男性更年期障害など男性向けサービスも充実しつつあり、不調を抱えながら働く仲間への思いやりの醸成や相互理解につながっている。
女性特有の健康課題を技術を用いて解決に導くフェムテック。大手商社の丸紅は2年前、ヘルスケア関連のスタートアップ企業と共同で、働く女性向けの健康支援サービス「ルナルナ オフィス」を開発した。 法人向けの福利厚生サービスで、月経や妊娠、更年期に関する全社員向けセミナーや、婦人科医によるオンライン診療、必要に応じて薬剤などの処方が行われる。
運営会社「ライフェム」によると、導入企業は丸紅を含め、数十社に広がった。
■ランチタイムにオンラインで婦人科受診 サービスを利用した丸紅の営業職の女性(39)は、長年、月経痛に悩んでいたが、子育てで週末に通院するのも難しく「鎮痛剤でしのいできた」。
サービスのメリットは「ランチタイムなど隙間時間にオンラインで婦人科を受診できること」といい、処方された低用量ピルの服用を始め、不規則だった生理周期や経血量が安定し、月経痛も緩和したという。
月経への不安が解消したことで「子育てしながら働くことへの自信が深まった」という女性。婦人科医に定期的に相談できたことが、第2子をもつ意欲にもつながり、現在妊娠中だ。
女性は「出産後もサービスを利用し、体調をコントロールしていきたい」と話す。
■男性向けサービスも好評 医師ら専門家によるオンラインセミナーの動画を、会員企業の従業員が自由に視聴できるプラットフォームを提供する「Cradle(クレードル)」。
導入企業は約40社に上り、男性従業員も利用できるのが特徴だ。
「日本企業は福利厚生に対し、すべての従業員に等しく同じサービスを提供しようとする『平等性』の意識が強い。
本来、体の仕組みが異なる男女それぞれに必要な健康支援を行う『公平性』の視点が大切だが、現状では、サービスが『女性向けだけ』より『男性向けもある』ことで、企業が導入しやすい面もあるようだ」と、クレードル運営会社の代表でアーティストのスプツニ子!さんは話す。
実際、同社のコンテンツでは「男性更年期障害」のセミナーが視聴回数の上位に入った。
泌尿器科医がこの病気と深くかかわる男性ホルモンの働きや、その変化によって生じる心身の症状、治療法を解説する内容で、スプツニ子!さんは「男性が自分の更年期症状を知ることで、女性の更年期への理解を深めるきっかけにもなっている」と語る。
■国の実態調査が後押しに こうした福利厚生サービスを社会全体に浸透させるにはどうすればいいのか。
健康・医療分野の政策に詳しい三菱総合研究所の前田克実主任研究員は「従業員の健康に配慮し、その力を引き出す『健康経営』の取り組みが進みつつあるが、大企業に比べて中小企業への広がりには課題もある。
一部の意識が高い企業だけが取り組んでいても、真の社会課題解決にはつながらない」と指摘する。
国が働く女性の健康について、実態調査をすることは「国として女性の健康問題解決の方向性を示す根拠となる。
将来的には公的なガイドラインの策定などにつながり、企業が女性の健康支援に取り組みやすくなる後押しになるのではないか」と話している。

国はこういうところで更年期障害に対しても健康支援を行いのであれば、医療費負担をさらに課せる方向で進んでいること状況をもう少し考えてもらいたいものだと思うところだ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?