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母の「結婚してほしい」を意訳する

※結婚、婚活について、センシティブな気持ちをお持ちの方は非推奨



深夜1時半まで母と真っ暗なリビングで話をした。

最初は私の愚痴が始まりだった。母は人の愚痴を自分の愚痴にもっていくタイプだ。母の愚痴が、娘の結婚に至る気配があったので、こっそり部屋に戻ったのだが、「部屋に無言で帰るなんて。今度から愚痴聞いてあげないよ」とすねるので、これは話し足りないのだなと思い、そのまま寝る直前の廊下で話を続けた。

話す内容は、「結婚して欲しい」と年頃の未婚の娘に母親がよく言うそれと思っていただいて構わない。

母が生きる場所はここだ。職場や近所で孫の話を聞くのが辛い、写真を見せられて何が楽しいのか、と訴えかけてくる。



母も辛いんだな、と思う。


「娘が結婚しないなんて、考えただけでもゾッとする。」

「いい歳なんだから」

「結婚してね」

「あそこの家のお嬢さんはもう赤ちゃんいるって。」

「恥ずかしい。もうここから離れて住みたい」

聞き流す言葉。思い出すだけでも、心がスンと冷たくなる。


でも、私はあなたの愛情も同時に思い出すんだ。

帰りが遅いと連絡がきて
朝はおいしい朝ごはんがある
私が辛いと泣くと、代わってあげたいと泣く

そんなあなたが、人が変わったように娘の結婚に取り憑かれてるように見えてしまう。


突きつけられた言葉の字面で傷つきそうなときは、そこに愛はあるのか、考える。

私は繊細な方だと親に思われている。過呼吸になったこともあるし、何といっても泣き虫だ。でも、そんな私だからこそ、ひっそりとそこにある愛に気づくことある。


耳をふさぎたくなる言葉を浴びせるあなた。でも、私が結婚しなくとも、何があっても絶対この手を離してくれないだろうあなたを私は知っている。


母は結婚し、私達を産み育てた。

大変なこともあったが、子供がいたから幸せだったとつぶやくあなた。

家族とは母にとって「幸せ」なのだ。


母は子供の犠牲になっていたと思う。家族を守ることに必死だったと、成長して知った。家族以外の幸せは知らないだろう。それだけ我々家族にかけてきたのだ。不自由な時代だってあった。本人だけではどうしようもならないこともあると私は知っている。「そんなこと言うなら好きに生きてくれてよかったのに」などとは言えない。母の辛さと引き換えに、その恩恵を受けてきたのだから。


私は母からの言葉の裏に、「幸せになって」が見える。

「どうか安心、安全に過ごして」
「不要な苦労など背負わないでね」

母のほうが先にいなくなるだろうから、残されるだろう娘を心配する気持ちもあるだろう。


どんなに辛い言葉を投げてきても、最終的にはあなたは私の幸せを願っている。

目の前の言葉だけに左右されてはいけない。

ただ、伝え方がものすごくへたくそだね。


母の気持ちが止まらないとき、「どうして結婚してほしいのか」聞いたことがある。ようは幸せになってほしいんだよねと伝えたら、彼女は泣きそうになっていた。そうなのだ。

母はそういう人なのだ。


母よ、私は今でも十分幸せなんだよ。


結婚できずに、それが原因であなたとの関係が崩れるのであれば、そんな悲しいことはない。


毎回、「結婚してって言うけどさ、ようは幸せになってねってことでしょ?私は今幸せだよ」なんて反論してたら、それはそれで喧嘩になるだろう。
うまく伝えられない母のために、勝手に意訳させてもらうね。

それで、これからもお互い大切に生きていこうね。

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