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自選短歌・其の三 「黄昏をとめたい」

月曜の朝からぜんぶやめちまえ
それができたら誰も死なない

朝晩と中島みゆきで励まされ
ユーミン聴いて泣いてる馬鹿だ

「難しい問題ですね」そうですね
予定調和が居心地いいね

チラシだけやたら過剰な映画見て
B級の意味噛み締めている

「ショーシャンクの空に」を見てから思うこと
ビールの美味さはロケーションだと

西洋人のフリした東洋人たちが
大口開けてチップをねだる

「正解」があちらこちらに擬態して
帰りの会と化した世の中

通過待ち駅のホームで我思う
それに乗れたら人生変わるか

革ジャンのポッケで見つけた半券に
トニー・レオンと夢のあとさき

思い出は片一方には鮮やかで
もう片方は塗り潰されて

五線譜に並べるように
メモ帳に三十一音 日々を奏でる

単純な機械仕事と言われても
この手動かし我は生きてる

人身事故 月曜朝のルーティン
ぜんぶやめたくなったのだろう

憎まれて恨まれてなお生きている
呪いのように明日も生きる

空の海 雲平線にも陽は沈む
あなたがいるなら黄昏を止めたい

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