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『春になったら』奈緒の多彩な演技力と魅力:テレビから映画まで、その活躍を振り返る

イントロダクション


2024年1月-3月期のテレビドラマで注目していたのは、やはり、木梨憲武・奈緒が主演を務めた『春になったら』だった。

https://www.ktv.jp/haruninattara/

奈緒&木梨憲武
W主演で親子役!

3カ月後に結婚する娘×3カ月後にこの世を去る父
母を亡くし、反発しながらも支え合ってきた父娘が
「結婚までにやりたいことリスト」と「死ぬまでにやりたいことリスト」を
実現していくかけがえのない3カ月間を描いた、
笑って泣ける
ハートフル・ホームドラマ。

INTRODUCTION|『春になったら』

『春になったら』を振り返って


「余命宣告」というセンセーショナルなテーマをどのように描いていくのだろうか、と、固唾をのんで見守っていたが、このたび放送が無事終了した。過激な描写もほとんどなく、涙あり、笑い(微笑)ありの、朗らかなタッチで描かれた、安心感のある作品であった。木梨憲武との「化学反応」も上々で、あたたかい父と娘を見事に演じきっていた。「ドンマイドンマイ!」は今年の流行語に?

テレビドラマでの活躍

奈緒といえば、遡ること約5年半前、2018年前期のNHK連続テレビ小説『半分、青い。』にて、永野芽郁演じる主人公の幼馴染みを演じた時から注目していた(二人は、2022年にも、映画『マイ・ブロークン・マリコ』で友人関係の役柄で再共演する)。「朝ドラ」の親友役オーディションで勝ち取ったものであり(役名は、芸名と同じ菜生(なお)である)、オーディション当時の不思議なエピソードについても回想している。

1995年生まれ(学年でいえば2つ違い)で福岡県育ち(大雑把にいえば九州出身という意味で同郷)というので(勝手に)親近感がわく。最近は、2022年に日本テレビで主演を務めた『ファーストペンギン!』で主演を務めたことが記憶に新しいのではないか。縁もゆかりもない漁師町で周囲を巻き込みながら漁業再生にチャレンジする経営者役を演じた(余談だが『春になったら』で再婚相手の長男を演じていた石塚陸翔とは『ファーストペンギン!』で実の長男役として共演している)。

ちなみに、関西テレビに限れば、有村架純が主演を務めた、2020年『姉ちゃんの恋人』が思い出される。

※追記 
2022年4月にNHKで放送された単発ドラマ『雪国』も忘れてはいけない(すっぽり忘れていたから追記したわけだが)。こちらは、高橋一生との豪華共演であった。川端康成の小説が原作である。奈緒は、駒子という芸者を演じている。決して明るい話ではないのだが、芸者役に品性を感じた(原作の駒子を「雪国に咲いた椿」と評しているのをあるサイトで見かけたが、なるほどと感心した)。単発ドラマであるがゆえに、あまり注目されなかったようだが、ここにしっかりと書き残しておきたい。

地元福岡での活躍

先ほど、彼女が福岡県出身であることに触れた。もともと、福岡でスカウトされたことが芸能活動のきっかけとなっている。せっかくなら、福岡ゆかりの隠れた名作にも出演していることにも触れておきたい。

2018年の『半分、青い。』放送開始直前に放送された『福岡恋愛白書13』(九州朝日放送)である。もともと、2006年に『福岡恋愛白書』初回で3つのエピソードが放送され、2024年3月には『福岡恋愛白書19』が放送されるなど、今年で19年目に突入する人気シリーズである。いずれも、地元の視聴者から投稿された実際のエピソードをもとにストーリーがつくられている。

『福岡恋愛白書13』において、奈緒は、耳の聞こえない女子大学生を演じている。相手役の杉野遥亮の初々しさもツボにはまった(関西テレビ『罠の戦争』議員秘書役は最近のはまり役。要チェック!)。

大学生の主人公・蒼太(杉野遥亮)は、図書館で律(奈緒)に一目惚れする。
思い切って話しかける蒼太に、律はノートに文字を書いて見せた。
「私は耳が聞こえない」
律は、生まれながらのろう者だった。
「だから無理、さようなら」
あっけなく断られてしまう蒼太。
しかし諦めるどころか、なんとか律と話をするため、迷いもなく“手話”を覚え始める。
そんな蒼太に次第に惹かれていく律。
晴れて二人は恋人同士に。
幸せな時間を過ごした5年後、蒼太はついに律に結婚を申し込む。ところがー。
「結婚はできない。あなたと私は住む世界が違うから」
“結婚”に心を閉ざし、別れを選ぶ律に、蒼太はある方法で想いを伝える。
はたして二人は新しい世界へ辿り着けるのか!?

ストーリー|『福岡恋愛白書13』

印象に残った映画作品


映画にも数多く出演しているが、文字通り「数多く」なため網羅することができていない。その中では、2021年に公開された、東出昌大の「復帰作」の一つともいえる『草の響き』が印象に残っている。これは、共演者・東出昌大という役者の境遇も影響しているのだろうか。「夫婦とはいかにあるべきか」に執着する妻と、その対極に位置する夫。いびつな関係性が描かれた。

奈緒のこれまでの作品では、明るく元気で前向きな女性を演じていることが少なくないが、この作品についてはそうではない。善き妻となるべく夫との関係構築に努力を重ねるところまではよいが、ふたりはすれ違いを続け、いっこうに一致点を見出すことができない。悲しいかな虚しいかな。こちらも胸が苦しくなる。

クチコミでは概して「いまいちスッキリしない作品」などという評価がなされている。日本人が好む「終わりよければすべてよし」的な作品ではなく、すれ違ってばかりの夫婦関係がそう簡単には発展するものではないという現実を観る者に突きつけている。

結びに


そういうわけで、奈緒は、明るく元気な役柄から、人生の複雑さや現実の厳しさを描く役柄まで、幅広い表現を見せてくれる。これからも、彼女の新たな演技に期待したい。


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