世間知らずの起業物語 その9
管理職会議で次週までの検討事項となった新会社設立を含めた体制変更。
その後、川上会長から指示された内容は、新会社設立は既にグループとしては決定事項だとういことを理解するに十分であった。
※この物語はフィクションです。
新会社の検討?
『まぁ、そうだよな』
『結局は、新会社設立云々の検討ではなく、新会社をどうやったら設立できるか?という検討を意味してるんだろうな。』と、1人心の中でつぶやいた。
おそらく、このときはまだ、ほとんどの管理職のメンバーは新会社を作るか作らないかの検討だと思っていただろう。しかし会長の言葉は、どうやったら新会社を作れるか?という意味の検討であることだと僕は強く感じた。
僕は自分の会社なのだから、うまくいかない方向に進まないようにしなければ・・・とも思った。
とはいえ、自分で出資するのに、周りの管理職の意見を取り入れたり、文句を言われたりするのは、いまいち腑に落ちない部分もあるのは確かだ。
ただ、一方でこのスキームはグループのため、そして、グループの発電所の権利を今後活用するためであるから、単に僕の会社設立ということではなく、グループ全体のこととして考える必要があるのだとも考えていた。
そうでなければ、周りに指図される必要はないはずだ。
『やっぱり、最初は自分1人でスタートさせた方が良いよな』
販売をグループに委託できれば、それ以外は自分でできるということは頭にあったが、それ以上にランニングコストを抑える必要があるとも考えていたのだ。
例えば、オフィスも1人なら自宅で十分だ。来客の際は、グループの会議室を借りるか、レンタルスペースや打ち合わせ場所を借りてもいいだろう。高級ホテルのラウンジでもいいのかもしれない。
1人であれば、初年度に発電所を最低5基、うまくいけば10基も作れれば十分だ。1年目に銀行融資に向けて足掛かりを作り、2年目の資金繰りが見えたタイミングで人を増やしてもいいだろう。
最初はランニングコストを抑えてスタートというのが鉄則ではないか?
幸い、CROSS ONEで、会計も顧問税理士と相談しながら進めてきた。勤怠労務管理も経験済みだ。年末調整も自分自身でクラウドツールの結果と答え合わせをしながら処理してきた。グループのExcelのフォーマットから、クラウドツールに載せ替えて、計算漏れも見つけたくらいだ。
だから、自分1人で会社を作ることは、間違った選択肢ではないはずだ。
むしろ現実的な案であると強く感じることができた。
パワコンダウン
執務室に戻り部屋を見渡すと、竹山さんが僕の姿を見つけ、駆け寄ってきた。
竹山:「今日の朝ですが、やっぱり茨城の発電所のパワコン、72台中5台も上がりませんでした。」
今年の頭にO&Mを引き継いだときに、大きな問題が判明した。
発電所のパワコンが、朝一で起動しないことが、頻発していたのだ。全てではないが、決まった、いや、似たような状態のパワコンが、ときどき立ち上がらなくなる。
そんな不安定な状態で、2年もO&Mチームが成り立っていたのは不思議ではあるが、太陽光発電所の稼働を不安定にしている問題は解決しなければいけない。
そして、さっきの竹山さんの報告は、もう一歩でこの問題も解明できる状況に近づいたことを意味していた。
つづく
相関図(〜2019年夏)
※この物語はフィクションです。
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