世間知らずの起業物語 その15
将来、新しい会社に人員を移行し、グループの新陳代謝を目ざすために、その道標となるように、新しい会社名を「Trust Point」と決めた。
新会社
新会社名を決め、管理職会議で発表した。
僕:『「Trust Point」にしようと思います。お互いに信頼できる拠点という意味と、Pointというのが、ポインターっぽく、ITに近いイメージがあると思うので、将来的に、太陽光からITも事業として取り組めるといいと思っています。」
正直、「Trust Point」というのは、今のグループの状態に対する皮肉でつけた名前であった。しかし、一方で、目指す方向としては間違っていない。
僕:「あと、みんなが集まる拠点という意味もPointには含ませています。」
ただ・・・
自分自身としては、露骨な名称に、少しダサい印象は感じていたのは確かであった。
川上:「面白いね。いいんじゃないですか?
これ、ナントカPointっていう会社を増やしていったら、面白いんじゃない?」
他の管理職も、悪い印象の意見はなかった。
実際は、自身に関係もないから、名前までは興味がなかっただけかもしれないが。。。
川上:「じゃぁ、これでいいね。佐藤さんの会社の名前だから、好きに決めてくれていいので、文句はないんだけどね。」
確かにそうである。
川上:「もう、手続きは進めてるんだよね?村上くん?」
村上:「はい。もう、登記するだけにしています。」
約半年前、昨年の12月に入社し、管理部の責任者となった村上さんが答えた。
山田:「え?新会社、本当に作るんですか?議論するって言ってませんでしたっけ?」
川上:「まぁ、議論もそうだけど、会社作ることは問題ないだろうから、あとはどのように進めるかを議論すれば良いんじゃないですか?」
山田:「え・・・」
さすがの山田も、これには何も言い返せなかった。
相反する思い
新しい会社を作ることは決まっていても、それをどのように運営していくのか?というのは、確かに別の話である。
そして、僕1人で会社を運営していくのであれば、1年目は間違いなく、黒字で終えることができるはずであった。
一方で、その先に、グループのリソースを受け入れていくことになるだろう。
しかし、これは、1年、もしかしたら、もう少し先の話になるかもしれない。
だから、既存のグループの事業が回るように、僕1人だけ新会社で動き、受け入れ態勢を整えることで、グループ全体としての影響は最小限になるから、とても合理的な考えだと感じていた。
だから、新会社名を決めて、村上さんに伝え、登記するだけの状態にできたのは、ある意味スピーディーに動けてよかった。この村上さんのスピーディーで良いと思った動きは、自身の会社設立の実績づくりだった、ということが分かるのは、少し先のことである。
そして、僕の脳裏には、冨岡さんから聞いた、コンプライアンスの問題で、販売ができなかったことが、大きな心配として深く残っていた。
『もしかしたら、金融機関からの融資を引き出したいだけなのか・・・』
そんな、疑念も持ちながら、自分一人で会社を進めること、新しいことに取り組む前向きな気持ちも湧いてきていた。
『O&Mと兼任は少し大変だけど、できるだろう』
管理職会議の他の議事が進む中、一人で進めれば、どうにかなるだろう、と、自身の気持ちを一旦、納得させたのだった。
不可解な呼び出し
管理職会議が終わり、翌日の新会社の登記の準備をしていたときだった。
滅多にならない、机の上の内線が鳴った。川上会長であった。
川上:「少し、時間いいですか?」
僕:『はい』
きっと新会社のことだろうなぁと思いながら、社長室に足を踏み入れた。
そこには、川上会長と村上さんがいた。
つづく
※この物語はフィクションです。
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