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ワールド・ビジョン・ジャパンを寄付先に選んだ理由

きっかけは社員からの一通のメール

ロシア軍によるウクライナへの軍事侵攻が始まってから二月近くが過ぎようとしています。毎日ニュースで、爆撃により荒廃した街並み、恐怖と悲しみで涙する人々・絶望する人々を目にします。紛争が長引くにつれ、民間人の殺害があちこちで起き、ウクライナからの避難民は既に人口の1割に当たる400万人にまで達したと報道されています。キーウに留まり陣頭指揮をとるゼレンスキー大統領は、国連、各国の国会、授賞式など様々な場面にて自分の声で支援を呼びかけていてます。

こんな悲惨な状況をリアルタイムで目にし、支援の呼びかけを毎日耳にしていると本当にいたたまれない気持ちになると同時に、この状況で何もできない自分に無力感を感じます。私たち中央軒煎餅は、「社会問題を解決する煎餅屋になる!」と決意したにもかかわらず、問題が大きすぎて、複雑すぎて、解決が困難すぎて、何も行動できない自分を情けなく思う感情が湧いてきます。

そんな中、ある社員から私(代表取締役・山田 宗)は以下のようなメールをもらいました。

「寄付の用途に関して悩んでいます。

今、国際的にみるとすぐ支援が必要なのはウクライナの紛争で苦しむ方への人道支援、また国外に避難した方を受け入れた地域への支援だと思います。最も緊急度が高く、命に係わる問題だと思うからです。

先月、追加寄付の決定をした際には、新たに追加する対象商品の久助(欠けや割れたおかき・煎餅の総称)は長期的に寄付を継続していくものだと考えていました。なので水と食糧のための募金でと考えていましたが、ウクライナの紛争が起き本当に水と食糧のための募金でいいのかなという気持ちでいます。

 迷いがありつつの提案ですが、[緊急援助募金]または、[難民支援募金]として久助の売上の3%を寄付する。この情勢がいつまで続くのか先が読めないため、(状況によって)更新時期に資金用途を再検討してもいいのかなと思います。

 ただ久助と難民支援での繋がりはないため、ストーリー性はないです。久助である必要はなくなってしまうため迷いがあります。

 報道を見ると何かしたくても何もできない無力さを感じる日々です。同じような想いを多くの方が感じているのではないかと思います。中央軒で働く方も、自分の商品の売上が少しでも難民支援に役立つならばうれしく思うのではないかなと思いました。」

フードロス削減に向けて、「カケをエコに」から始まった寄付

欠けと割れをあつめたKakecco(かけっこ) ※画像はイメージです。

わたしたちは2020年12月から、「Kakecco(かけっこ)」というシリーズ17品の売上高の3%を国際NGOワールド・ビジョン・ジャパン(以下、WVJ)の「水と食糧のための募金」に寄付しています。Kakeccoは、欠けや割れたおかき・煎餅を商品化したシリーズですが、このシリーズに含まれていない欠けや割れの商品(弊社では「久助」と総称しています)も寄付対象とすることをこの2022年2月に決め、3月1日からの久助売上高の3%をWVJ・ウクライナ危機緊急支援募金に寄付することを開始しました。

製造工程で出てしまう欠けや割れのおかき

上述のメールは、その寄付の使途を決めるにあたって、開発担当者が想いを語ってくれたメールです。みんな同じ想いを抱えている。大きなことはできないけど、自分たちにできることをできる形でしよう。そう思えた瞬間でした。

上で少し触れましたが、2020年10⽉に「カケをエコに」というコンセプトの基、フードロス削減をめざしたシリーズ「Kakecco(かけっこ)」 を発売いたしました。 製造過程でどうしても発⽣してしまう欠け・割れのおかき・煎餅を、より⼿軽に、よりファッショナブルに販売することで、 フードロスを減らし、エコロジカルでサステナブルな社会に貢献したいという想いを形にしたのが「Kakecco」です。その中で再認識したのは、先進国のフードロスは開発途上国での飢餓問題につながっているということ。この⾷の不均衡問題に対しても少しでも貢献できたらと思い、12⽉からKakecco売上⾼の3%をWVJ「⽔と⾷糧のための募⾦」に寄付することを開始しました。 2022年4月1日現在で、累計支援金額は998,205円となりました。

事務局の方がわざわざ届けに来てくださった感謝状

なぜワールド・ビジョン・ジャパンをパートナーに?


ところで、なぜWVJさんの「水と食糧のための募金」に寄付することを決めたのか?

最初からWVJさんにお願いしようと決めていたわけではありません。というより、その時はどんな機関や団体があるのかすらわからない、というのが正直なところ。ただ、わたしたちは食品製造業ですので、飢餓の直接的な解決策となる食糧に対する寄付をしたいなという考えはありました。

そこで、まずはググってみました。

検索結果は、ユニセフ、WFP、ハンガー・フリー・ワールドなど、たくさんの候補が上がってきました。学生時代に授業で、社会人になってニュースで名称は聞いたことがあり、何となくはわかるけど活動詳細はよくわからない、そもそも名称さえ聞いたことがない、というNPOやNGO、団体ばかり。そこで一つひとつホームページをじっくり確認していきました。

いくつもの団体のホームページを見ていくうちにわかったことが一つ。売上の一部を寄付するというやり方(コーズ・リレーテッド・マーケティングと専門的には言うらしい)ができる団体とそのようなプログラムを持っていない団体がそもそもある。今回は、この売上の一部を寄付するという方法を取りたいため、まずこのプログラムを持っていることが前提となりました。

その上で、以下の3つの理由からWVJさんを寄付先のパートナーとしてお願いすることに決めました。

1.資金用途の透明性
2.スタッフブログ(決め手)
3.「何もかもはできなくても、何かはきっとできる」(ダメ押し)

1.資金用途の透明性
1つ目の資金用途の透明性に関してですが、寄付した資金をどのように役立てるのか、その使途が明確であることがまず重要だと思いました。お客様の中には売上の一部が寄付されることをご存知で購入される方もいらっしゃいます。「どうせ買うなら世の中に少しでも貢献できるものがいい」という声や、中には「こんな素晴らしい取り組みをされている商品を探していた」と仰る方もいらっしゃいます。(このような言葉を頂けるとわたしたちもこの取り組みをスタートして良かったと嬉しい気持ちになれます。)そんな想いに応えるためにも、寄付した資金がどのように使われているのかをきちんと報告している団体が良いと思いました。WVJさんは、ホームページで決算報告書と監査報告書を公開しています。さらに毎年寄付者に対して送る年次報告書の中で、どのように資金を集め、どのようにそれを役立てたかを、活動報告とともに詳細に記載しています。それによると集めた資金の80%以上を現地事業活動に使っています。団体の維持費や宣伝費が当然かかる中でできる限り多くの資金を支援活動に使おうとする想いと、活動と報告の透明性にとても好感と共感を抱きました。

WVJ2021年度年次報告書:https://www.worldvision.jp/about/about/pdf/WorldVisionJapan_annualreportFY21.pdf

2.スタッフブログ
2つ目のスタッフブログですが、私の中ではこれがほぼ決め手となりました。開発途上国に赴任している日本人スタッフの方々がホームページでブログを公開しています。スタッフの方々が現地で体験し、感じた様々な感情を率直に語り、それぞれの言葉で支援や応援をブログを通して訴えています。寄付が実体としてどのように使われているのか、数字からだけではなく、よりリアルにイメージできたらと思い、そのブログを読み始めたのですが、直ぐに私は食い入るようにブログを読んでいました。スタッフの皆さんの真剣さ、深い思いやり、そして強い意思を強く感じました。現地の人との関わりの中で感じる喜びや悲しみ、時には喪失感のような感情が伝わってきましたが、不思議とそこには悲壮感はないように感じました。前向きで、時にはユーモアさえありました。こんな想いを持った人達に、私たちの想いを託したい、そんな風に思いました。

WVJスタッフブログ:http://blog.worldvision.jp/

3.「何もかもはできなくても、何かはきっとできる」

最後に、ダメ押しとなったことが、WVJ創設者ボブ・ピアスさんのこの言葉です。

「何もかもはできなくとも、きっと何かはできる」

今世界は様々な問題で溢れている。自分には大したことはできないのではないか。こんなに恵まれた毎日を送っている私たちが発する言葉や起こす行動に説得力がないのではないか。私たち中央軒煎餅から出るフードロスを減らしたところで、先進国全体のフードロスには全くと言っていいほど影響がないのではないか。いくつかの商品に対する売上の一部を寄付したぐらいで、飢餓で苦しむ人々は減らないのではないか。そもそも自己満足や売名行為なのではないか。今回Kakeccoを開発する際に、こんな自問自答を全くしなかったかというと嘘になります。こんな考えも頭をよぎりました。それでも私たちの起こす行動がほんの少しでも良い影響・良い結果を生むのならという想いで、上のようなネガティブな考えを振り払って、私たちはKekeccoを開発し、その売上高の3%を寄付することを決めました。なので、この言葉を聞いて、私は「それでいいんだよ」と勇気づけられたような気がしました。今の私たちの考えにWVJさんは一番近い団体なのではないかなと感じ、寄付先のパートナーとしてお願いすることに決めました。

「何もかもはできなくとも、きっと何かはできる」

今回、久助を寄付対象に加えたことで、その「何か」が少しだけ増えました。まだまだできる「何か」があるはずです。引き続き、「何か」を起こしていきます。

中央軒煎餅ホームページ
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