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「笑顔が繋がる」オンリーワンの黒豆おかき

1.新米30キロ、届きました!

私たち中央軒煎餅が使用しているもち米は、全て国産の契約栽培米を使用しています。北海道、山形県、そして宮城県の3地域の契約農家さんに生産していただいています。そのうちの一つ、宮城県加美郡の契約農家さんから、毎秋新米の季節になると、収穫されたばかりの玄米30キロが届きます。こんなことをしていただかなくても、しばらくするとJAさん、米問屋さんを通して、もち米は私たちの元に届きます。でも、そうなる前に、収穫したばかりのお米をわざわざ直ぐに贈ってくださる農家の皆さんのお気持ちを本当に有難いことだなと思います。今年も順調に稲が育っていると伺っているので、この秋にもきっと新米を贈ってくださるのではないかなと思います。(ねだっているわけではありませんので(笑))

昨年の2021年10月、「今年も届きましたよ」という知らせを聞いた時、せっかく贈ってくださった採れたての玄米を何か特別な形で使いたいなと思いました。そこで普段農家さんやJAさんとコミュニケーションを図ってくれている社員の安田さんに「この玄米の『笑顔が繋がる』使い方を考えてください!」とお願いしました。

「笑顔が繋がる」?何それ??

と思われたかもしれません。今回はこのことについてお話したいと思います。

2.契約農家さんとの「顔が見える」関係

さて、冒頭で北海道、山形県、宮城県の3地域から契約栽培米を仕入れていると言及しましたが、定期的にこの3つの産地を訪問し、これまで関係を築いてきました。中でもとりわけ宮城県加美郡の農家さんたちとは、近年より深い関係性を築いてきています。

蒸かしたてのもち米はモチモチで香り豊か

ここでは、宮城県産のこがねもち「みやこがねもち」という最高級品種のもち米が生産され、もちろん私たちのあられ・おかきにもこのみやこがねもちが使われています。お米の香りが豊かで、粘り気も強く、お餅として食べてもとっても美味しいもち米です。私たちが契約栽培米として使用を開始したのが2008年。当初は「顔が見える」関係性を大切にしようと、前社長(現会長)が度々産地を訪問し、農家さんと食事をしたり、逆に、弊社工場や直営店の見学にお越しいただいたりして信頼関係を築いてきました。

3.田植えと稲刈り

そのうちに、さらにもう一歩踏み込んだ関係性を持てたらなと私たちは考えるようになっていきました。そんな時ひょんなことから、「5月の田植えと10月の稲刈りを体験させていただけないでしょうか?」とお願いしてみると、快く受け入れてくださることに。しかも、一度に10数名を。その上、田んぼの一部分を私たちのためだけに特別に空けておいてくださり、「機械を使わず手で植えて、鎌で刈り取れるようにしましょう」と提案してくださいました。煎餅屋の息子として生まれ育った私ですが、実はそれまで田植えと稲刈りの体験をしたことがありませんでした。ですので、どんな体験になるのかとてもワクワクして私も当日を迎えました。

手で一つ一つ苗を植えていく田植え

少しだけ、私の田植え&稲刈り体験についてお話すると、田植えも稲刈りも「大変」の一言に尽きます。本当に重労働でした。田植えは泥に足を取られて田んぼの中を一歩進むだけでも一苦労ですし、一苗一苗腰をかがめて植えていくので、腰は痛い、、、。最初は珍しい体験を楽しんでやっていましたが、植えても植えても残る空白のスペースに一体いつになったら終わるんだ!という思いの中必死に体を動かし続けました。

稲刈りは稲の根元を鎌で引くのに力がいるので、田植え以上に腰が痛く、その上時間もかかる。農家さんは私たちの苦労を見かねて、途中からコンバインを出動(笑)。私たちも運転させていただきましたが、その前の苦労もあり、コンバインの上から見る黄金色の景色は圧巻でした!泥だらけになり、体はクタクタだったけど、気分は清々しく、心は満足感でいっぱいでした。田植えと稲刈りをした夜は生産者の皆さんと酒盛りタイム。どぶろくで乾杯し、みんな笑顔で大盛り上がりでした。

刈った稲を干すために棒に掛けている私山田

この田植えと稲刈りの体験を2016年から2019年まで毎年やっていただき、そのたびに大歓迎を受け、既に40名以上の弊社のメンバーが経験をさせていただきました。(コロナ禍の中で、2020年と2021年は残念ながら実施できていません。)本当に、本当に有難いことです。

4.「顔が見える」から「笑顔が繋がる」へ

このような経験をさせていただく中で、「顔が見える」関係から、「笑顔が繋がる」関係に発展していきたいと考えるようになり、この「笑顔が繋がる」が合言葉のようになっていきました。私たち中央軒煎餅のミッションは、「100℃の思いやりで、笑顔を膨らます」ですが、生産者の皆さんの笑顔を、私たちがつくるあられ・おかき・煎餅を通してお客様の笑顔に繋いでいく。またお客様の笑顔を生産者の皆さんにも繋いでいく。そんな関係を築いていきたいと思っています。

一緒に作業をすることで心の距離がますます縮まる

「笑顔が繋がる」ような取り組みをもっと他にできないだろうか?

その想いから地元のJA加美よつばとJA宮城に相談し、2019年5月に地元の加美町立宮崎小学校にて、出前授業として、おかきづくりの体験学習を提供する機会をいただきました。小学生たちに地元で収穫されたもち米がどのようにしてあられ・おかきになるのかを体験を通して学んでもらいました。田植えと稲刈りでは、農家とJAの皆さんにいつも歓迎していただき、心のこもったおもてなしを受けてきました。私たちも農家や地元の方々のお役に立ち、笑顔になっていただきたいと思っています。この出前授業が、地域の子供たちが農業に興味をもったり、誇りに思ったりするきっかけとなり、後継者問題や過疎化問題の解決に微力ながらも貢献できたら嬉しく思います。

出前授業で仕掛りのもち生地を初めて見る地元の子供たち


5.「笑顔が繋がる」黒豆おかき

さて、昨年10月にいただいた新米の使い道ですが、この新米だけを使って、黒豆おかきをつくり、農家さん、JAさん、米問屋さん、そして弊社の従業員全員にプレゼントすることにしました。

一つ一つに手書きのメッセージを添えて

たくさんのアイディア(中には斬新なものも)が挙がりましたが、餅は餅屋ということで、黒豆の芳ばしさとみやこがねのお米の香りを楽しんでいただける、オンリーワンの黒豆おかきをつくりました。本当は限定品ということでお客様にも笑顔を繋げられたらと思ったのですが、いただいたお米の量に限りがあったことから、社員のみんなで農家さんの想いを噛みしめさせてもらうことにしました。農家さんの想いが私たち中央軒煎餅のメンバー一人ひとりに届き、私たちの感謝の想いが農家の皆さんにも届いていると嬉しいなと思います。