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「教える」よりも「引き出す」と「導く」#日本語教師

日本語「教師」だから、「教える」のが仕事だと思われるかもしれません。ですが、私自身が授業で大切にしているのは、学生の知識や能力を「引き出し」て、答えに「導く」ということです。

「引き出す」「導く」とは?

もちろん新しい語彙、漢字、文法といった日本語の知識というものは「教え」なければなりませんし、学生自身が記憶しなければなりません。しかし基礎的な知識がある状態であれば、今ある知識を組み合わせたりして新しいことが学習できます。

例えば「本を読む」という文を、漢字も含めて知っている人が「読書」という言葉を習うとします。

教師が「『読書』は本を読むことという意味です」と説明するのが「教える」という方法ですが、「引き出す」「導く」というは以下のようなやりとりになります。

教師:「読書」の「読」は何の漢字ですか?

学生:読みます

教師:「書」は何ですか?

学生:本

教師:じゃ、「読書」はどういう意味ですか?

学生:本を読むという意味です

教師が説明した方が時間がかからなくていいじゃないか、と思われるかもしれません。ですが、実際に日本語を使用することを考えたらどうでしょうか。

なぜ「引き出す」「導く」が大切か?

例えば上記のように漢字の意味について触れる場合、どのような効果があるでしょうか。

日本語にはひらがな・カタカナ・漢字、と文字が3種類もあり、しかも漢字にいたっては何百個も覚えなければなりません。日本語を学ぶ外国人からすれば大変なことで、すべての言葉の正しい読み方を覚えるなんてことはとうていできません。

しかし「漢字の持つ意味」を覚えれば、読み方がわからなくても「この漢字の意味から考えると、この言葉の意味はこうかな?」と推測することができます。

また、このような場面も考えられます。”kitchen”を日本語で言いたいが「台所」という言葉を知らないとき、「料理をするところ」と言うことができれば、何のことを言いたいかはわかりますね。

何か日本人に伝えたいことがあっても、自分の国の言葉に該当する日本語がわからないとき、簡単な言葉で言い換えることが必要です。教師が普段から学習者の力を引き出して練習していれば、いざ困ったときに自分の持ってる知識を上手く使って説明し、相手に伝えることができます。

そして何より、自分の持っている知識を使って新しいことが学べる、というのは人にとって「喜び」だと思うのです。ただ教師の説明を聞いて、暗記ばかりするわけじゃなくて、「わかる」「できる」という実感を得て、自身の成長を楽しんで欲しいと考えています。

なぜ日本語を勉強するのか?

勉強などそもそもはやりたくない人が大半だし、日本語は「仕事のため」とか「日本人とのコミュニケーションのため」とあくまでツールとして身につけるものです。

だから私が大切にしているのは、「学習者が実際に日本語を使えるようになる」ように「学習者が主体的・積極的に学習に取り組める」状態にすること。

そうして彼らの日本語が上手になって、私にいろいろなことを伝えてくれるようになったとき、私は最大のごほうびをもらったと感じられるのです。

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