父のこと
私の父は、山口県の港町で長男として生まれ、祖父から受け継いだ以東底引網漁業の会社を経営していました。幼少の頃、昭和40年代は、漁獲量も多く、大人になって気づいたことですが、当時にしては、贅沢な暮らしをさせてもらっていたようです。仕事から帰ると幼かった私たちをお風呂に入れ、母の作った魚料理とビールでの晩酌が欠かせませんでした。魚料理とお酒。それが父の楽しみでした。昔気質の頑固で厳しい人でしたが、反面、子煩悩で面倒見がよく、かわいがってもらいました。三女で末っ子の私は、姉たちに言わせると、特別甘く育てられたそうです。本人は自覚ないんですが、、、。
母は、隣町の商売屋の次女として生まれ、お嬢様育ちだったようです。高校を卒業して東京の洋裁学校(現文化服装学院)に2年間通い、卒業後は実家で洋裁をしながら花嫁修業。お見合いで父と出会い、結婚。働いた経験はありません。長男の嫁として苦労はあったようですが、一昨年、84歳で亡くなるまで、ちょっぴりわがままなお嬢様気質は健在でした。
父のことを思うと、胸が詰まり言葉が出なくなります。そして、母を思うと、また胸が詰まります。
そんな父が亡くなったのは、家族にとっては、ほんとうに突然の思いがけない朝。
父63歳、私28歳の6月1日、推定午前8時のことでした。
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